初のドキュメンタリー映画『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』JAM Projectインタビュー|アニソン界のトップランナーの光と影を鮮明に描いたリアルムービー
アニソン界のレジェンドJAM Project。数多くのアニソンを手掛け、唯一無二の存在感を放つ大御所ユニットの光と影を映し出した映画『GET OVER -JAM Project THE MOVIE-』が、2月26日から2週間限定で劇場公開されます。
今回は映画公開に先駆けて、メンバーの影山ヒロノブさん、遠藤正明さん、きただにひろしさん、奥井雅美さん、福山芳樹さんにインタビューを実施。これまでの活動の振り返りや映画に関してたっぷりと語っていただきました。
厳しい状況下で迎えた20周年は印象深い年に
――結成20周年を迎えた感想と、ここまでの活動の中で印象深かった出来事を教えてください。
福山芳樹さん(以下、福山):20周年を迎えた2020年は何もできなくて、とんだ20周年になってしまったなと。印象的な出来事といえば、2003年に加入したことですね。
あと最初から代表曲である「SKILL」をレコーディングさせていただいて、今でもライブ終盤で歌っていて。こういう素晴らしい曲に出会えて、その曲が今もJAM Projectの礎にもなっていることも嬉しいです。
きただにひろしさん(以下、きただに):加入した最初の頃は「自分はこのグループの中で機能しているのだろうか?」と不甲斐なさを感じていて。やっとJAM Projectの一員になれたかなと思えるようになったのは最近のことです。
だからあっという間だったし、これからもっと頑張れる、躍進できるという期待感のほうが大きいかもしれません。
影山ヒロノブさん(以下、影山):こんなとんでもない時に20周年が重なってしまって、海外も含めて20本以上計画していたコンサートツアーが全部なくなってしまって。
でも世界中の人たちと、同じものと戦っているんだと実感するような初めての出来事ですし、乗り切るまで頑張るしかないなという気持ちです。
ここまでで印象に残っているのは2003年に今のメンバーになってからメンバーチェンジや解散もなく、いつGOサインが出てもコンサートを再開できる体制で存在できていることが嬉しいです。
そして、これだけ年数を重ねてきても常に音楽的に進化しているので、1日も早くまた進んでいきたいです。
奥井雅美さん(以下、奥井):2003年に福ちゃんと一緒に加入してから、20周年をこのメンバーで迎えられるとは思いもしなくて。でも実際、迎えてみると早くて。
残念ながら20周年記念ツアーはできなかったけど、もしツアーを完遂できていたとしてもやりきった達成感で「じゃあ、これからどうしよう?」となっていたかもしれないし、映画の中で各メンバーが話していた漠然とした不安を感じていたかもしれません。
それよりはできなかった悔しさをバネに「まだまだ止まれないぞ」という気持ちが湧いてきて。大変な状況をポジティブに捉えようと思えました。この状況下でもJAM Projectを続けることができて、映画も作ってもらって、あとは「ツアーをいつできるかな?」と思っている今が一番印象深いかもしれません。
遠藤正明さん(以下、遠藤):20年もやれるとは思っていなかったけど、考えてみたら早かったし、あっという間でした。いろいろなことにも挑戦させてもらえたし、それだけ充実していたんでしょうね。
音楽活動の中でソロ以外でもバンドやユニットなどいろいろやってきましたが、こんなに続けているグループはないし、18歳の時に上京しましたが、このメンバーとは家族よりも長く一緒にいるので、とても愛着があります。
ずっと夢だった日本武道館のステージにも立てたし、世界で歌ったり、そういう景色を見せてくれたのがこのグループで。様々な夢を叶えさせてもらえたことが印象的です。
――この映画を制作することになった経緯を教えてください。
影山:東北新社さんから突然のオファーをいただいて、正直ビックリしました。『牙狼
――制作にあたって、皆さんから大澤嘉工監督やスタッフに要望を出されたのでしょうか?
遠藤:カッコ悪いのは嫌だなとは思いましたけど(笑)。JAM Projectの映像作品の特典なら「このシーンはカットして」と言えるけど、今回は監督に完全にお任せしたので。
福山:だから試写会で見るまでどんな内容で、どんな映像になっているのかわからないままで撮影されている感じでした。
影山:JAM Projectのスタッフは7割くらいできたあたりで意見交換していたけど、僕らは2回見たけどほぼ完成形と変わっていなくて、音が整理されてよくなったくらいで。
福山:最初はドキュメンタリーと聞いて嫌で嫌で。でも1年半もずっと密着されているとそのうちに慣れてきましたけど。
影山:撮影スタッフはニューヨークにも一緒に行ったし、20周年記念アルバム『The Age of Dragon Knights』のレコーディング中もずっとカメラを回していたので、どうなるのかなと。
みんなも最初はちゃんとしたこと言わなきゃいけないのかなと思っていたけど、あまりにも毎日来てくれるので、最後の方は平気で日常をさらけ出すようになっていたと思います。
奥井:それが監督の狙いだったんでしょうね。
影山:ライブパッケージの特典映像ではいいところやおもしろいところを選んで収録しているけど、この映画ではメンバーの心の底まで伝えたいというリアルな監督の想いを、撮影中にも感じました。
――映画のタイトル「GET OVER」はどのように決まったのでしょうか?
影山:つけたのは僕らではないんですけど、僕らの曲の歌詞からつけたんじゃないかな?
遠藤:「Get over the Border」という曲があって、たぶんが由来かなと。
影山:アニソンには国境がないんだよと確認する意味で、『No Border』というツアーをやった2008年に作った曲で。
遠藤:コロナ禍で映画の結末も予定していたものと変わったりしたけど、素敵なタイトルだなと思いました。
奥井:インタビューの中で「乗り越えたこと」なども話したので、もしかしたら構想にはあったのかもしれないけど、それと世の中がマッチして、神がかってしまったのかも(笑)。
プロデューサー:監督が皆さんに会った時からこのタイトルにしようと決めていたそうです。他にもいろいろな候補がありましたが、最終的にこのタイトルに決まりました。
奥井:やっぱり予言者みたいですね!
影山:正直、ドキュメンタリー映画を作ると言われてもピンと来なくて。今まではツアーやTVの撮影くらいしか経験がなかったので。
でも監督はいつも僕らに問いかけたり、質問してくれる中で何かを引き出そうとしていた気がします。
ただ撮影するのではなく、僕らの内面を探ってくれて。JAM Projectという集団の奥のほうにあるものに最初から興味を持っているのを感じたし、どん欲に追求してくれた気がします。