アーティスト・高野麻里佳さんが紡ぐ、大切な人たちが笑顔になる“ずっとハッピーな物語” 1stシングル「夢みたい、でも夢じゃない」インタビュー
高野麻里佳さんの1stシングル「夢みたい、でも夢じゃない」が、2021年2月24日(水)にリリースしました。
数々のTVアニメや番組に出演する一方、唯一無二な楽曲を世に送り出してきた声優ユニット「イヤホンズ」のメンバーとしても活躍の幅を広げてきた高野さん。キャラクターソングでも素敵な歌声を披露してきた彼女が、待望のソロアーティストデビューとなります。
“アーティスト高野麻里佳”が見せる顔はいかなるものなのか、これからどんなアーティストとして羽ばたいていくのか――アニメイトタイムズでは、彼女の音楽のルーツから各収録曲の制作秘話までたっぷりとお話をうかがいました。
悩むことは必要だと認めていただいたことで、慎重な私も前向きになれました
――ソロアーティストデビューおめでとうございます! デビュー発表時、Twitterに書かれていた「応援してくれる人を喜ばせたい」「みんなが笑顔になれる曲にしたい」の言葉は高野さんらしいなと思いましたし、「声優としての表現も引き続き磨いて参ります」との姿勢も素敵だなと感じました。改めて、気持ちをお聞かせください。
高野麻里佳さん(以下、高野):実は、お話は数年前からいただいていたんです。アーティストデビューしませんか?と言われた瞬間は、嬉しくもありましたが、同時に「あれ? 声優として求められている私ってなんだろう。アーティストデビューしていいんだろうか?」と思う瞬間もたくさんありました。
「やらせてください!」と言うには、自分の意志だけでは心もとないところもあって。周囲の環境も変わったばかりだったので、私が何をすることを求められているのか、それを気にしてしまっていたんです。気にするべきだとも思いましたし。「私だけの人生じゃない」という責任感を持って踏み出したい気持ちもあったから、慎重だったんですよね。
この度、ソロアーティストデビューをさせていただくことになりました!
— 高野 麻里佳@2/24ソロデビュー (@marika_0222) December 7, 2020
このような機会をくださった日本コロムビアさん、UNIVERSAL MUSIC JAPANさんありがとうございます。
「夢が叶った!」だけでは伝えきれない思いと、応援してくださる皆様へのメッセージを綴りました。 https://t.co/23rAkEXcvn pic.twitter.com/fgg6mJcsfE
――そうだったのですね。
高野:ただ、Twitterにも書かせていただいたように、気にしたほうがいいことがたくさんあっても最終的に決めるのは私自身。改めて、私がこの業界を目指したきっかけは何だったのか考えた時に、(小さい頃に音読を褒めてくれた)母の笑顔や、大切な人たちの喜びが一番に浮かんできて。今、アーティストデビューしなかったらきっと後悔すると思ったんです。
来年、再来年にまたお話が来るかどうかわからないですし、もし来たとしても、その時の自分がどうなっているのか。先の見えない怖さがこの業界にはありますからね。いろいろ考えて、2020年に発表させていただいたのはベストなタイミングであり、すごく素敵なめぐり合わせだったと思っています。
――声優を目指したきっかけは「母親に音読を褒められたから」だと話していましたからね。ベストなタイミングだったとのことですが、具体的になにかきっかけはあったのですか?
高野:やはり、周囲の環境の変化が大きかったと思います。7年間声優として歩んできた中で、支えてくださる方はたくさんいましたが、優柔不断に悩んでしまっている自分もちょっと嫌だったんですよ。悩むぐらいなら、やめた方がいいんだろうかと思ったこともありました。
そんな時にマネージャーさんから、「悩むことは絶対に必要な時間。悩むのがいいとか悪いとかじゃなくて、悩む必要があるから悩んでいるわけで。そこに対して自分を責める必要は一切ないんだよ」と言われて。悩むだけ悩んでいいんだと思ったんです。
このようなありがたいお話に、すぐお返事したい気持ちはもちろんありましたけど、悩むことが罪ではないと教えていただきました。自分の優柔不断さも、大切なことだからなんだと。しっかり考える時間をいただけたことで前向きに考えられたと思っています。
高野麻里佳の音楽は、ジャンルよりも好きなゲームがスタート地点
――デビューシングルということで、高野さんがどのような音楽を聴いて育ってきたのかもお聞きしたいと思います。アニメよりもゲームが好きだった、カラオケではロックを歌っていた、との認識はあったのですが、音楽となるとイメージがなかったんですよね。
高野:その認識が全てです(笑)。私の中で、音楽は歌うために聴くのではなく、好きだから聴くものだったんですよ。自分の気持ちをあげる曲だったり、街中で散歩する時に聴きたい曲であったり。なので、アーティストとして歌いたい曲はなんだろう、好きな曲=歌いたい曲ではないし……といろいろ悩みました。
――ちなみに、初めて買ったCDは覚えていますか? ゲームのCDでも構いませんので。
高野:初めて買ったのは『FINAL FANTASY X』のサウンドトラックですね。主題歌の「素敵だね」(歌:RIKKI)も入っていましたが、それも別に歌いたいからではなく、ゲームや物語が好きだから買ったんですよ。
――あくまで、好きなゲームに紐付いて、という感じなのですね。
高野:そうなんです。声優さんが歌っている楽曲という意味では、乙女ゲームが好きだったので『遙かなる時空の中で』のCDは買いました。コーエーテクモゲームス(当時はコーエー)さんの乙女ゲームは全部プレイしていて、最初に遊んだのは『金色のコルダ』でしたけど、『遙かなる時空の中で』のCDがオススメだよと言われて。その頃買ったCDは本当にそれぐらいですね。
――では、その後も含めてアーティストのCDを買ったとかは?
高野:高校生になってお小遣いを(アルバイトなどで)稼ぐようになってから、自分へのご褒美として買ったCDはありました。
――どういった方のCDを?
高野:ONE OK ROCKとマキシマムザホルモンのアルバムを1枚ずつ買いました。せっかくだから、その時に流行っている曲にしようと思って、ランキングの一番上にONE OK ROCKの「アンサイズニア」があったので買ったんですよ。聴いてみたら、ロックな曲ってこんなに元気をもらえるんだ、私はロックが好きなんだと気づいたんです。それからは、ONE OK ROCKとマキシマムザホルモンは私の心のミュージックみたいな感じになりました。
それまではジャンルを気にして曲を聴いたこともなければ、言ってしまえば母親がカーオーディオで流しているもの、ぐらいの認識だったんです。ジャンルや楽曲を選んで買い始めるようになったのは、ロックな楽曲に出会ってからですね。
――音楽との触れ合い方は人それぞれですからね。自分もゲームが好きだったので、サントラに入っている曲を聴いたりしていましたし。
高野:わかります。なんなら私は『シャイニング・ティアーズ』を遊んでいて、主題歌「Shining Tears」を歌っている保志総一朗さんが声優だと知らずに口ずさんでいましたから(笑)。ゲームの曲を中心に聴いていて、(小さい頃は)音楽に関しての視野が狭かったんですよね。
――そんな高野さんですが、声優になってからはユニット活動やキャラクターソングなどさまざまな音楽に触れてきたと思います。その中で、特に刺激を受けたものはありますか?
高野:そういう意味では、覚えるために曲を聴くことはなかったので、毎回が刺激でしたね。
その中でも、やっぱりイヤホンズの曲はいい意味で変わっているというか、私の日常では出逢うことがなかったようなクセの強い曲が多いです。もちろん、ユニット曲なので1人ではないんですけど、自分が歌うべくして歌ったような存在意義を感じられる曲が、イヤホンズには多かったなと思います。
――そして、今回ついにソロアーティストとしてデビューします。キャラクターソングではないアーティストとしての意識の違いや、感じたことをお聞かせください。
高野:ゼロから曲を作っている感覚がすごく強い気がします。キャラクターソングは、キャラクターの性格があるからどうやって歌うか想像が膨らみやすいんです。かつ、ファンが求めているキャラクターの表現も想像しながら歌うので、“歌”というよりも“演技”の延長線上といった認識で歌わせてもらっています。
でも、ソロアーティストではキャラクターがいないから道筋はないんですねよね。楽曲の色はあっても、その色って私の歌い方次第でいろいろな受け取り方ができるじゃないですか。それが不安であり、難しいと感じるところでもありました。