春アニメ『MARS RED』原作者・藤沢文翁さん×畠中祐さん×諏訪部順一さんインタビュー|「共感するセリフばかりだった」、ヴァンパイアと人間を描いた物語に迫る!
畠中さんのままで演じる栗栖&諏訪部さんボイスで人類最強になった前田!?
――そんなヴァンパイアたちの姿が描かれる本作ですが、キャストのお2人はご自身が演じるキャラクターの第一印象や、役作りの取っ掛かりとして注目した点(性格)などはありますか?
畠中:急に「君はヴァンパイアだよ」と言われることを想像した時に、どうしてもそれを受け入れられないというか、人間であり続けたいと思うんですよ。
それが、栗栖は一番人間臭い立場というか、特に人間らしい反応なので、本当に突然ポンとヴァンパイアの世界に入れられた普通の人、素直な青年というイメージで演じさせてもらいました。
何に対しても一番素直に反応し、素直に驚き、素直に疑問を持つみたいな。そういう彼が持っている素直さみたいなものを大事にできたらいいなと思うし、僕もそこに一緒に素直に反応できたらいいなと思って、この役を作っていきました。
――オーディションの段階で、スタッフの皆さんから「栗栖だ」という反応があったそうですね。
畠中:最初のオーディション要項を読ませてもらって、どうやってこの役を演じようかと思った時に、僕の引き出しの中にはそのままやるという手段しかなくて。
役をしっかりと作って出してというよりも、そのままポンと出しちゃった感じだったので、すごく不安はあったんですけど、そこを「栗栖だよ」と言ってもらえたのは一番うれしかったです。
――ご自身が感じる栗栖との共通点などはありますか?
畠中:そうですね、結構ヌケているところがあるというか……ヌケてるで大丈夫ですか?
藤沢:ヌケてます、ヌケてます(笑)。
諏訪部:(笑)。
畠中:僕自身、あまり器用に色々なことができるタイプではないので、すごく気持ちが分かるというか。みんなと居ても一人別の所にいるというか、そういう風に勘違いされたり、あきれられるところはすごく似ているなと思います。
――藤沢さんから見て、畠中さんの栗栖らしいポイントは?
藤沢:一番最初に、音響監督として(キャスト陣に)どう演じるかという話をさせていただいた時に(畠中さんが)「ベテランの方に囲まれて緊張します」みたいなことをおっしゃっていたんです。
諏訪部さんや山寺宏一さんがいて、鈴村健一さん、石田彰さん、沢城みゆきさんがいて、だけど畠中くんが主役で……みたいな中で、緊張しますとおっしゃっていた時に「そのままでいいです」と。
まさに栗栖たちが所属する「零機関」も同じで、自分よりも階級や年齢は上なのに、なぜか新人の栗栖だけが国内最強のヴァンパイア(Aクラス)という居心地の悪さみたいなものを、(畠中さんも)「僕、これでいいんですか。ここにいて大丈夫ですか」と残していて。
なので、「そのままやってください」とお願いしたのを覚えています。
――畠中さんご自身の姿が伺える活動を知るファンの方から見たら、栗栖は似ていると感じるかもしれませんね。
畠中:自分自身のままというわけではないですが、かなり共感できます。むちゃくちゃ「気持ちわかるよ!」というセリフばかりでした(笑)。
――では、前田についてはいかがですか?
諏訪部:今回のテレビアニメシリーズで描かれている前田は、音楽朗読劇の中の前田と人物設定に変わりはありません。ですから演じる上で変わったことはありませんが、彼の背景が深掘りされているので、キャラクターの理解度が増したような気がします。
――朗読劇の初演時から諏訪部さんが演じるドSな前田は、スタッフさんに好感触だったというお話を伺いました。
藤沢:前田というキャラクターの8割は、諏訪部さんが作ったみたいなところがあって。
諏訪部:(笑)。
藤沢:もちろん、脚本は僕が書いて、セリフもあるんですけど、ニヒルな言い方だったり、諏訪部さんが演じられて回を追うたびに、前田がどんどん力を増していって、最終的には人類最強ということになっていました。
一同:(笑)。
藤沢:もともと強い人ではあったんですけど人類最強ほどではなかったのが、今はランク外のヴァンパイアくらいだったら倒せるぜみたいになっていて。
前田というキャラクターはどんどん僕の手から離れて、諏訪部さんの中で大きく成長していったキャラだと思います。
諏訪部:音楽朗読劇『MARS RED』は二度上演されています。実は自分、再演時は山上を演じているんです。ですが、初演時の諏訪部版前田を気に入ってくださった方が多くいらっしゃったようで。藤沢さんはじめ、今回キャラデザで関わっていらっしゃる唐々煙先生も。
音楽朗読劇では脇役然としていた前田ですが、アニメではかなり引き立てていただいております。本当にありがたいです。
藤沢:面白いのが、朗読劇の衣装では前田は軍服をきちんと着ていたのに、諏訪部さんの声のイメージで、唐々煙さんから上がってきた絵ではどんどん着崩していっていて。
畠中:「はだけてる!」と思いました。
一同:(笑)。
藤沢:全ての服を着崩していっているので、そういう声を出しはじめたんだなと(笑)。
――アニメ第1話・第2話を拝見させていただきましたが、確かに胸元が(笑)。それに、朗読劇では描かれていないエピソードもあって、前田にこんな設定があったんだなと。
諏訪部:音楽朗読劇の中には出てきませんでしたが、当初から設定にあったものです。尺があるので、アニメではより丁寧に人となりを表現するべくそこを描いたという感じですね。