本渡楓さん「皆さんが今日からハッピーな道を歩めることを願っています」「ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュ LIVE OF THE DEAD “R”~」ライブレポ
2021年2月27日(土)、「ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュ LIVE OF THE DEAD “R”~」が配信さたれた。
本公演は、2020年3月8日に開催予定だった「ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュ LIVE OF THE DEAD~」が、自粛のため中止となってしまったことを受けての“リベンジ”ライブだ。
また、2021年4月から放送の待望の続篇、TVアニメ『ゾンビランドサガ リベンジ』への起爆剤となることも間違いない。
開場・開演時間の変更など様々な問題が現実のゾンビィたちにも降り掛かった訳だが、何とかこの日を迎えることができて、1人の作品ファンとしても嬉しく思う。
最近、時間が過ぎるのが早い。カレンダーの日付を見るともう2021年の2月も終わりである。もう明日がライブなのだと待ちきれない気持ちと緊張感が河瀬茉希さんを襲ったよう。それを宥める田中美海さん。
このやり取りを見て、改めてライブが明日に迫ったことを実感した方も多いことだろう。
え、明日ライブ?ほんとに?
— 河瀬 茉希 (@maki_kawase) February 25, 2021
僕が、「フランシュシュ」を演じる声優陣のライブを見るのは2019年7月27日の「ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュみんなでおらぼう!~in SAGA」以来。
このライブのためだけに現地まで飛び、とんぼ帰りした。ただ、本作が佐賀県にとってどれだけ大切にされているかを知るために必要な“密航”だったように思う。
各所でポスターが貼られていたり、会場の外まで大勢のファンが詰めかけていたり(早くこの時代に戻って欲しい)。
とにかく佐賀県がら「ゾンビランドサガ」を推していた。
この日は、2期が発表されると会場の外では号外が配布されるなど、ライブ、演出、PRまでとにかく凝ったイベントだったと記憶している。
あれから1年半。久しぶりに見る彼女たちのステージは一体どんな形で幕を開けるのか。
フランシュシュに見る“令和のアイドル像”
開演のブザーが鳴ると、エントランスムービーが流れ始める。ライブ当日に寝坊した6人が大慌てで特殊メイク(ゾンビであることを隠す)をするというもの。準備が一段落?ついたタイミングで我らが巽幸太郎(CV:宮野真守さん)が登場。
PRIDEで一世風靡したレニー・ハートさんを彷彿とさせるような独島の抑揚と巻き舌を交えた「フランシュシュ」のメンバー紹介を行った。
ちなみに、活字にするとこんな具合だ。
「みなもとぉ...さくらやくぅぅ。ほんどぉぉぉ!!!!かうぇぇでぇぇ!」(源さくら役 本渡楓)
「にかいどうサキやあぁくぅぅ!たのぉぉぉおぉぉぉ!!アサミィィイィィィ!」(二階堂サキ役 田野アサミ)
「みずのあいやくぅ。たねだぁぁぁぁぁぁ〜〜〜!りさぁぁぁぁぁ!」(水野愛役 種田梨沙)
「こんぅのぉじゅんんこやくぅぅ!かわせまぁぁぁぁあぁぁあぁーきぃーー!」(紺野純子役 河瀬茉希)
「ゆうぎるぃぃやーく!きぬがわぅぁ.....ぇりかぁぁぁおう!」(ゆうぎり役 衣川里佳)
「星川リリィ役♪♪♪たなかーーー♡♡♡みなーみーー♡♡♡」(星川リリィ役 田中美海)
カウントダウンが終わって姿をリベンジのステージに姿を現した「フランシュシュ」の6人。オープニングナンバーは「佐賀事変」。
ゆうぎり(衣川里佳さん)をメインボーカルに据えた和テイストのビッグバンドジャズ。キレのあるアレンジに色気たっぷりのヴォーカルが混じり合う。ライブ初披露ということで、待ち望んでいたファンも多かったのではないだろうか。
出来る方法...見つけようZE!
メンバーの自己紹介が終わると、オフショットの写真がスクリーンに映し出される。すっぴん(傷だらけ)の写真が次々に表示されると「フランシュシュ」の正体(ゾンビ)がバレると、源さくら(本渡楓さん)がキレる。
「だからゾンビ隠せよぉぉぉ!!!」
「DEAD or RAP!!!」だ。「ゾンビランドサガ」の人気を不動のものにしたインパクト抜群のラップバトルの“リベンジ”がはじまった。
「出来ない理由考えんじゃねぇ! 出来る方法...見つけようZE!」
社会状況の変化により、エンタメは危機に晒された。本来であれば多くの人々が詰めかけたいだろう今回のライブだって、半数しかチケットを売ることができないし、会場で声援を送ることもできない。
それでも、どうやったら人々に元気を届けられるか?出演者やスタッフたちが“出来る方法を見つけるべく行動した結果がこのステージ”なのだ。
出来ない理由なんていくらでもあった。大人の事情を話すのもあまりよくないが、無観客の配信ライブのほうが収益的にはプラスになることは少し考えれば分かる。
それでも、「ゾンビランドサガ」は有観客にこだわった。ファンと一緒じゃなければ意味がないからだ。
今回のライブがはじまった段階から感じていたが、とにかく出演者の気持ちが強い。「ゾンビランドサガ」に対して愛情がとにかく伝わってくる。
「ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュ LIVE OF THE DEAD “R”~」の幕間は「前回のライブが中止になった時を振り返る」のインタビューが流れていた。
この時、作中で水野愛と紺野純子が昭和と平成のアイドルの違いについて衝突シーンがふと頭に浮かんだ。
ステージの上からファンを魅了するのがアイドル(昭和)であり、チェキ会などの触れ合いがあるアイドル(平成)の価値観は相容れないというものだ。
では、令和のアイドルとは何か。これは僕の価値感だが、裏も表も引っくるめて愛される存在なのではないか。
本記事の序盤に記載した河瀬さんと田中さんのやり取りも現代的な盛り上げ方の一つだと言える。
アイドルは「アイドルの前(本作ではゾンビ)に人間である」。だからこそ、そのステージにたどり着くまでの葛藤や辛さもファンとアイドルをつなぐものになりえると今は思う。