「本気」について考えさせる深い作品――冬アニメ『無職転生』エリス役・加隈亜衣さん 最終話目前インタビュー│キュンときたり、ドン引きもしたルディについても
「異世界転生系ラノベ」「なろう系小説」の先駆者的な存在である、“なろう系ラノベのパイオニア”『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』。超強力なスタッフ陣によるハイクオリティな映像でも話題となっている本作が、いよいよ第1クールの最終話を迎えます。
アニメイトタイムズでは、そんな本作に出演中のキャスト陣にインタビュー。今回は大都市ロアの町長の娘であり、想像を絶する凶暴な性格のエリス(エリス・ボレアス・グレイラット)役の加隈亜衣さんに、本作の魅力や演じる上で意識したこと、家庭教師として出会ったルディ(ルーデウス・グレイラット)のことなど、たっぷり語っていただきました。
エリスの第一印象は、とある考えをすぐに捨てるぐらい凶暴な子
――第1クールも最終話目前です。ここまで演じてきて本作の印象はいかがですか?
エリス役・加隈亜衣さん(以下、加隈):すごく濃い1クールでした。ひとつひとつの出来事がエリスにとって大きなもので。ルディと出会い、それまで生きてきた中で経験してこなかったことの連続、そして今度は育ってきた環境から離れてしまう。そういう初めての経験が多くて、本当に濃かったなと。
それから、この作品は「本気」について考える瞬間があるんですよね。前世の男は本気を出していなかったから上手くいっていなかったのか? 転生した先ではどこから本気を出しているのか? それって明確な答えはないですよね。振り返るとあの時は本気だったかも……といった感じで、自分では限界もわからないですし。
――タイトルだけを見たらライトな異世界転生モノに感じるかもですが、結構深いところがありますよね。
加隈:そうなんです。本気を出していない人がダメなのかと言ったら、必ずしもそうではないですし。本気を出さなきゃ生きるのが難しい人もいれば、本気を出さなくても羨ましがられる人生を送る人もいます。1クールを通して、本当に多面的な見方ができる、深い作品だなって思いました。
――その中でエリスは、普段の加隈さんの穏やかな喋り方からは想像できないぐらい強烈な性格をしています。第一印象はいかがでしたか?
加隈:これから先ちゃんと生きていけるのか、不安を感じさせる子でした(笑)。私だったら、(エリスと)友達になるという考えをすぐに捨てるぐらい凶暴だなって(笑)。
――近づいたら何をされるかわからないし、距離を置きたくなりますよね。
加隈:よし逃げよう!と防衛本能が働くというか、そんなタイプですよね(笑)。でも、ルディが重い扉を開いてくれたおかげで、エリスにはすごく魅力的ないいところがあると知ることができて。今は可愛くて仕方ないです。最初の凶暴さも、あれはあれで可愛かったなって思います。
――年月が経つに従って成長し、ルディに対する気持ちも変化していきましたからね。
加隈:エリスは良家の子ではありますが、ただ可愛い可愛いと育てられたわけではないんですよね。自分に向けられる嫌な声やプレッシャーに潰されないように、声を大きく出してバリアを作る。そうやって自分を大きく見せようとしたことが、あの性格になったひとつの要因だと思うんです。私だって苦しいのに……と思う気持ちを上手く出すこともできなくて。
それを、ルディが導いたり勉強を教えてくれたりして、ひとつひとつ丁寧に紐解きつつ成長させてくれました。もともとは吸収能力が高くて地頭のいい、心の熱い子なんだと思っています。
――ただ、勉学的な面でいえば、ちょっと頭の方が……。
加隈:人の話を処理して読解するのはあまり得意じゃないし、語彙力もそんなにないかもしれないけど、感覚は優れている子なのかなって。野生感が強い子だと思いました。