こんなに強い「奇跡」を聞けたのが印象的でした――Machicoさん&大西沙織さんが語る、第12話に仕掛けられたトリックの数々│冬アニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』キャストインタビュー【連載第13回】
メジロマックイーンをずっと演じてきたからこそ、ひとこと物申す!
――より具体的に振り返っていこうと思います。第12話は本当にマックイーンにとってつらい回となりました。
大西:そうですね。
Machico:今まではテイオーがマックイーンにずっと引っ張ってもらっていたのが、立場が逆になるんですよね。(マックイーンが)大泣きした後に声をかけるところも、あんなに強い表情、強い眼差しで描いてもらって。テイオーがめちゃめちゃ格好いいと思いました。
大西:そのシーンで、Machicoは最初にすごく優しく声をかけてくれて。でも、「もっと強く、芯のある感じで。引っ張っていく感じで」とディレクションがありました。
Machico:そうなんです。テイオーの中ではひとつの答えが見えているけど、それを言葉で理解させるのではなくて、自分の姿でマックイーンを立ち上がらせようとしていて。諭すような感情は入れず、「泣きはしないでください」とも言われました。
大西:完成した絵(映像)を見た時に、こういうことだったのか!と思いました。
――絵も強かったですし、テイオーが放った言葉もマックイーンの心に刺さる強さを感じました。
Machico:「奇跡」を口にしましたからね。この3文字はテイオーを語る上で絶対に出る言葉じゃないですか。「奇跡の復活」とか「奇跡を起こす」とか。テイオーの代名詞でもあると思うので、最終話のひとつ前にこんなに強い「奇跡」を聞けたのが印象的でした。
大西:後半の会話のシーンで第10話の回想が入るんですけど、第10話ではマックイーンが「奇跡は起きます。それを望み、奮起する者のもとに、必ず、きっと」と言っているんです。マックイーンがテイオーに渡した「奇跡」という言葉を、逆にテイオーに色付けして返してもらった感じがして。やっぱりこの2人のライバル関係、友情関係って素敵だなと思いました。
Machico:ただいがみ合っているわけでも、ただ仲良しなわけでもなく、ちゃんと距離感を保ちながらの関係だからね。
大西:本当に素敵です。
――それはそうと、大西さん的にはちょっと言いたいことがあるそうで。
大西:そうなんですよ! おばあ様が。主治医は医者として事実を告げているだけなので、それは置いといて……おばあ様ですよ!!
Machico:あはははは!
大西:おばあ様も孫が可愛くてしょうがないのもあるんでしょうね。孫が怪我をして、もう無理せんとき〜って思うところがあっての言葉だとは思うんです。でも、でもですよ! マックイーンをずっと演じてきた身としては、「もう終わりにしましょう」って。
Machico:いや〜、キツい。
大西:この言葉は結構くるものがありました。
Machico:「無理しないで」とかじゃないからね。しかも、マックイーンが頑張ろうとするたびに、「もう無理です」って。
大西:そうですね。マックイーン的には、フラッシュバックも精神的に効いていただろうし。
Machico:めちゃめちゃ心が揺さぶられていたと思う。
大西:マックイーンがここまでおばあ様に楯突くのって、初めてなんじゃないのかな。ディレクションでも「もっと拒絶してください」と言われたぐらいなので、すごく嫌だったと思います。
――おばあ様はメジロ家の中で絶対的ともいえる存在ですけど、それでもこの言葉は、って感じですよね。
大西:第5話でのTM対決、MT対決の時には「あなたはライバルばっかり気にしているから、ゴールを見据えて走らないとダメよ」みたいな、ちょっと精神論的なアドバイスをくれていたのに。そのおばあ様が、急に「もう終わりにしましょう」ってところが……。おばあ様も考えてくださっているんでしょうけど。
Machico:レースだけが全てじゃないよって言いたかったにしろね。
大西:いや、まだやるよ!って言いたいです。
ツインターボの走りに魅せられた第10話。印象的な言葉は?
――先ほど第10話の話題もありましたし、テイオーにとって重要な話数でもありますので、こちらも振り返っていこうと思います。まず率直に、第10話の感想からお願いします。
Machico:涙が止まりませんでした。本当にターボ(ツインターボ)の走りには魅せられましたね。テイオーって本当に人に恵まれているなと思います。マックイーンも、ターボも、キタちゃん(キタサンブラック)も。でも、この回で一番かわいそうだったのはキタちゃんだなって。
大西:そうだよね。
Machico:リハVの時から思っていたんです。あんなに一生懸命お守りを作ったんだから、受け取ったれや!って(笑)。キタちゃん、憧れている人にあんな拒絶をされたら、立ち直れなくなっちゃうよ。
でも、だからこそ(テイオーが)ステージに立った時、一番に声をかけてくれたのがキタちゃんで良かったなって思います。
大西:みんな行動で示すタイプだなって思いました。ターボもそうだし、マックイーンはずっと背中で魅せてきましたし。
完成したものを見たらマックイーンは「優しく寄り添う」よりは「早くこちらにおいで」って態度で。手を差し伸べてはいるけど、触れるのではなく、(テイオーが)自分の力でここまで戻ってくるのをしっかり待っている感じがして。他のメンバーとの言葉とはまた違ったニュアンスがあって、自分で言うのもあれですけど、いいなと思いました(笑)。
――絵の演技に負けていなかったですか?
大西:負けていなかったです(笑)。
Machico:すごく良かったよ! マックイーンは常に誰よりもさりげなくて。「テイオー!」って呼び止めるだけ呼び止めて、なにも言わないっていう。そういうところも、テイオー的には「自分でやらなきゃ」って覚悟になっていったと思うんです。
――マックイーンもターボも、それぞれの言葉や態度でテイオーの背中を押していましたね。
Machico:そうなんです。でも、やっぱりターボに言われた言葉はめちゃめちゃ印象的でした。それまではチーム<スピカ>のメンバーにも、トレーナーに脱退届を出す時も常に笑顔でいたんですけど、ターボとの掛け合いの時に初めて、こういう状況に置かれたつらい気持ちを引き出されたというか。テイオーはそこでやっと、怒りやもどかしさ、なんでわかってくれないの!って感情を出したんです。なのに、ターボは「そんなの知らない!」のひと言で(笑)。
そうやってターボが言ってくれたから、テイオーがずっと抱えていたものがバッと表に出たんですよね。あそこの掛け合いは、テイオーにとっても自分自身の心情を認める重要なシーンだったと思って、泣いてしまいました。