「アニソン界のレジェンド」が歩んできた軌跡と今、そして未来を語る! ささきいさおさんデビュー60周年記念スペシャルインタビュー【第1回】
「全界合体!ジュラガオーン」は新たな宙明節! 作り手の遊び心が豪華トリオの共演を実現!
――3月からスタートした『機界戦隊ゼンカイジャー』の2話の挿入歌「全界合体!ジュラガオーン」を堀江美都子さんと歌われていますが、こんな序盤に豪華なシンガーの組み合わせで驚いた方も多かったと思います。
ささき:よくこんなに古い2人を使ったなと(笑)。でも宙明先生が音楽を担当されて、僕らに歌わせるということは狙いがあるのかなと思いました。新しい音楽があふれる中で、古き良き昭和ソングが見直されるいいきっかけになってくれたらいいですね。子供たちにも。
――戦隊シリーズの曲で、ささきさんと堀江さんがデュエットされたのはシリーズ1作目の『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)以来とのことで。アニメの曲でも『秘密忍者隊ガッチャマンII』のED曲「明日夢みて」以来、43年ぶりなんですね。
ささき:先日、オフィシャルコメントにも書きましたが、シンガーと作曲家(渡辺宙明さん)の年を足したら230歳を超えるというすごいトリオだねと(笑)。ミッチ(堀江さん)とは「40年以上経って、また2人で、新曲でデュエットできるということはお互いに努力してきたからだね」と。「年をとってくると声も出なくなるし、歌えなくなる人もいる中で、現役でできることは幸せだし、これからも頑張ろうね」と話しました。
――お2人でのレコーディングはいかがでしたか?
ささき:「進め!ゴレンジャー」の時はミッチと並んで歌いましたが、今回は同じスタジオの別ブースで、お互いに顔が見えない状況でのレコーディングだったから音しか聞こえない状態でした。長い付き合いなのでミッチはこんな風に歌うんだろうなと想像はできたけど、その場で合わせていく部分もあって、そこは2人の呼吸感なので、やりにくさもありましたね。
またレコーディング前のキー合わせの時に、1つキーを下げて歌えばミッチも上が歌いやすいかなと思ったけど、僕のベストキーは上のほうがいいとディレクターが考えたみたいで、ミッチはハーモニーにしたけど、いろいろ試してみてもよかったかなという反省もあったりして。
あとコロナ禍で、最近は2人共、歌う機会が少なかったので、自分のキーといえども、ちゃんと出せるのか心配でした。でも本番は声もちゃんと出ていたし、毎年一緒にステージをやったり、歌っていたので、安心感がありました。でもミッチはこだわって、レコーディング後も何度かやり直していました。僕はいい加減なので、「あとはやっておいて」という感じでしたけど(笑)。
――「全界合体!ジュラガオーン」は、覚えやすい歌詞のキャッチーさとオケの熱さに、ささきさんの雄々しさと堀江さんの強くも優しさを感じる歌声の絶妙なハーモニーが素晴らしくて。まさに昭和の特撮ソング、これぞ「宙明節」という曲ですね。
ささき:宙明先生らしいなと。よくも同じ展開で、ひねってメロディを付けるなと感心しました。最初のコード展開もおもしろいし、リズムも強調されていて、今までとはちょっと違うなと。リスナーの心をつかまなきゃいけないところははずさないのはさすがですね。新しい宙明節で、素晴らしいなと思いました。
――渡辺宙明さんが戦隊シリーズの音楽を手掛けるのは39年ぶりとのことで。もう1人の音楽担当は大石憲一郎さんですが、この曲では編曲をされていて、作品の音楽を支えるお2人のタッグということにもスタッフ陣の意気込みを感じます。
ささき:この曲に限らず、『ゼンカイジャー』は作り手のほうが楽しんでいるのかも(笑)。みんなが楽しみながら作っているからこそ、おもしろいものができるんでしょうね。もちろん古くからの戦隊ヒーローファンだったり、僕らが歌う特撮の主題歌や挿入歌を聞いてくれるのは嬉しいけど、今のアニソンには珍しいラテン系なので、若い方に新鮮に感じてもらえたらいいですね。
――『機界戦隊ゼンカイジャー』をご覧になった印象をお聞かせください。
ささき:まず挿入歌が流れる2話の映像を送っていただいて見たら、曲が流れた時、ジュランが出てきた時に僕の声が、ガオーンが出てきた時にミッチの声で、「これって女性キャラなの?」と困惑しました(笑)。
――1人の人間と4人のキカイノイドと呼ばれるロボットという編成も初めてですし、変身後の姿は過去の戦隊ヒーローがモチーフになっていたりと斬新な仕掛けがたくさんあって、話題になっています。
ささき:僕も最初に見た時、ロボットばっかりで驚きました。でも『トランスフォーマー』とは違うし(笑)。今、撮影はいろいろな部分で制約があるし、大変だと思うけど、皆さんの熱意や愛でいい作品をこれからも作ってもらえたらいいですね。そして、昔からのファンにとっては懐かしさが感じられる作品だけど、若い人たちには「これ、おもしろいじゃん!」と楽しんでほしいです。