『チハ生』を通して感じた“みんなとワイワイがやがやと音楽を楽しみたい”という想い――沢城千春さんのバンド、STREET STORYの1stミニアルバム『Way of life』発売記念インタビュー【前編】│今後の目標はアニソンを担当すること！

2020年から2人体制へ。でも、気持ちは4人の時のまま

――4人で始めたバンドも今は2人体制になりましたが、その理由を教えてください。

沢城：今は僕とFinさんの2人体制ですが、太陽君も高田さんもケンカ別れしたわけではなく、個々がやっているバンドや活動が忙しくなってきて、4人で集まって、動くことがなかなか難しくなって。そこで僕とFinさんの2人で回す形になりました。、でも、ライブなどには来てもらっているので、気持ち的には4人でやっている感覚のままです。

――今、複数のバンドをやっているミュージシャンも珍しくないし、「あのバンドではできないけど、このバンドならできるかも」と音楽性や可能性を広げることにもつながっている気がします。

Fin：自分のバンドではできない経験や挑戦をさせてもらえているので、すべてが新鮮です。ストスト（STREET STORY）の活動を始める前は、自分がメインで歌い、自分が歌うための曲を作っていたので、自分の中では「これが音楽の正解」という凝り固まっていた部分もあって。でもストストを始めたことで、新しい視点で見られるようになって、音楽性も広がったと実感しながらやれているのは楽しいです。

ストストがきっかけで、沢城さんは歌を、Finさんはギターを弾くことに!?

――そもそも沢城さんがギターを弾くのが好きで、歌い手が欲しくなった時にFinさんと出会ったそうですが、元々、Finさんはご自身のバンド（SEPTALUCK）ではボーカル担当でギターは弾いていなくて。そして沢城さんも歌っていなかったのに歌うようになったと。

Fin：そうなんです。『チハ生』に誘われた時も歌うだけでいいからと言われて、軽いノリで引き受けたら、バンド形態にしていきたいから「Finさんも何か楽器やってくださいよ」というプレッシャーが日ごとに強くなっていって（笑）。SEPTALUCKではボーカリストとしてやってきたので、ギターを持ってステージに上がることには抵抗があって、最初は頑なに断っていました。

――タンバリンで逃げていたとか。

Fin：はい。タンバリンも自分で買いましたからね。

沢城：でも自分がメインのバンドなのに、僕はギターを弾くだけで、全部Finさんが歌っているとFinさんがメインっぽく見えますよね（笑）。

Fin：「チハ生」って言っているのに（笑）。

沢城：よく裏で、他のバンドメンバーと「Finさん、頑なに楽器持たないな。どうやったら持たせられるかな？」と小さな声で話していました。

Fin：中学時代にギターを買ってから音楽にのめり込んだので、中高の時は家などでよく弾いていました。でも大学に行ってから段々弾かなくなったし、バンド活動もボーカルとして始めたので、ちゃんとギターを練習する機会がないまま、10数年経ってしまって。だからもう一度、ギターを練習し直す気にはなかなかなれなくて。でも「オリジナル曲を作りたいよね」という話が出た時、「これはもう逃れられないな」と思って、練習し始めました。

沢城：上から目線みたいですけど、めっちゃ弾けるようになりましたよね？　最初はパワーコード（2つの音を指で押さえるだけでシンプルかつパワーのある音を表現できる奏法）しか弾いてくれなくて。「もしかしたら普通のコードを押さえられないのかな？」って。

Fin：昔はやっていたので少し練習すればできるんだけど、弾けるとわかったら、「アレもやって」、「コレもやって」と要求されるのが嫌だったので、「これくらいしか弾けないよ」アピールをして（笑）。チハ生は楽しかったし、協力することは全然良かったけど、自分のバンドも「がっつり頑張ろう！」とメンバーが一丸となっていた時だったので、こちらにもパワーを振り分ける余裕もなくて。ギターの練習もできないから「これくらいしかできないよ」と遠回しに。

沢城：そういう戦略だったんですね（笑）。

沢城さんとFinさんの声質が違うツインボーカルから生まれる素敵な奇跡！

――結果的に、沢城さんとFinさんのツインボーカル&ツインギターでバンドの音に厚みが加わったのでは？

Fin：今までの僕の曲作りは、自分が歌うための曲を作って、後は自分の声でコーラスをのせるだけでしたが、今は千春と僕のアンサンブルをどう出すか、僕自身もただコーラスするのは嫌なので、自分も歌うパートも出していきたいとなって。僕と千春の声って違う声質を持っているのに、合わせてみるときれいにハモるんですよね。

普通は声質が違う2人が声を重ねると合わなかったり、音程が合っていても分離しちゃったりするんです。でも僕らの場合は音源でもライブでもうまくハマっていたので、それは奇跡かなと思います。