この記事をかいた人
- 篭法
- 内向的で口下手、典型的な陰の者。テーマやメッセージ、登場人物の心情を考えさせられるアニメが好み。小説も好き。
——DAXAくんはいろいろな宇宙の知識を教えてくれますが、実際にムロさんが知らなかった、この作品で初めて知ったことで、なにか印象的だったことはありましたか?
ムロ:宇宙船で星に行ってそこから帰るとき、できるだけ軽くしたいから物を置いていく、というのは驚きましたね。自分が来たという証、記念になにか置いていっていると思っていたんですけれど、どうやら軽くするためみたいで。
——旗を立てている映像なんかは有名ですよね。
ムロ:あれはきっと記念だとは思うんですけど、ほかのものもけっこう置いていっているみたいで。すごく原始的というか、シンプルな理由なわけですけど、そういったことも必要になるくらい安全を考慮しているんだな、と。行くたびに物を置いていって月は怒んないのかな、とも思いますけど(笑)。
あとは、昔は星占いも天文学の一部というか、星の軌道を予測して未来を予測する、ということでちゃんと勉学として行われていた、昔の天文学者はみんな占いもできた、という話も勉強になりましたね。僕はあんまり占いを信じないようにしているんですけれど、そんな昔から信用できるの!? と知って、一概に否定できなくなったというか。
——長い時をかけて培われたものなんですね。
ムロ:そうなんですよ。占いというのが統計学だとして、そこに歴史もあるとなると信用せざるを得なくなるので、これからは星占いを見ないようにします(笑)。
一同:(笑)。
ムロ:見たくないんですよ! 予想されたくないんですよ。頼っちゃうし。
——「宇宙飛行士」と聞いてパッとなにが思い浮かびますか?
ムロ:オレンジ。みんなオレンジの服を着てません? こてつくんもそうなんですけど、あれってみんな共通なのかな? こてつくんを見ているからオレンジって出てくるのかな? ……でも、たぶんそういうことじゃないよね? 聞きたいのって。「そういうことじゃない」ってマスクしてても分かるくらい顔に出てたもん。
——「それも面白いな〜」とは思っていましたけれど、そうですね(笑)。
ムロ:そんな短絡的な話じゃないよね(笑)。やっぱり、すごく厳しい訓練をくぐり抜けてきた「選ばれし人」というイメージは強くありますね。簡単にみんながなれないものだと思います。役者はみんななれるものですからね。
——ええ!? そんなことはないと思いますが。
ムロ:そんなことあります! カッコつけでもなんでもなく、劇場を借りて舞台に立ったらみんな役者なんです。「台詞をよく覚えられますね」と言われますけど、本番があって、役があったら、みんな絶対覚えますよ。恥をかきたくないですから。人の記憶力ってやると決まったら絶対やるんですよ。
やらなければ「すごいな」と思うかもしれませんが、絶対覚えますから。役者だけですからね「子役」があるのは。子供の医者も、子供の作家も、子供の会社員もいないんです。
でも、役者だけは子供でもできるんです。言い方は悪いですが、子供でもできることを僕たちはやっているんです。これは絶対忘れてはいけない。以上、ムロでした。
どうですか? この「オレンジ」からの飛躍! ふり幅大きいでしょう?
——たしかに(笑)。ちなみに子どもの頃宇宙への憧れなど抱いたことはありますか?
ムロ:映画とかニュースを見て、やっぱり地球の姿を自分の目で見てみたいとは思いましたね。僕らがホントに星に生きているって分からないじゃないですか。飛行機に乗って、土地を見るのがせいぜいで。地球の輪郭は見たことないですし、ホントに「地球は青かった」と言えるのかと。その経験はしてみたいですね。
——確かに、実際に見て信じたいですね。
ムロ:「見て信じたい派」。それ。
——本作は夢を持つこと、目標を持つことがひとつ大きなテーマとしてあると思います。ムロさんはこれからどんなことを叶えたいですか? あるいはこれまでどんなことを考えていましたか?
ムロ:「いい役者」ではなく、まず「ご飯を食べていける役者」になりたいと思っていたんです。そこからあとは自分の好きな、試してみたいことをしなさい、と自分に言っていました。
2年後、5年後、この先どうなるかは分かりませんが、今は「ご飯を食べていける役者」になっています。なのでここからは、もっと好きなやり方を試してみて、ご飯が食べられなくなるのかどうか、という実験をやってほしいな、と思います。「ここからは自分の理想像を目指していいですよ」と過去の自分は言ってくれるようになったので。
今までは自己アピール、セルフプロデュースの場、「公開オーディション」と呼んでいましたけれど、今年からは自己表現、自分の面白いことはこれです、ということに重きをおいてやっていきたいな、と思っていますね。なので、今は夢の途中というか、自分なりにいい役者とはなにかを考えながらやっていければな、と。
——最後に、放送を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。
ムロ:お母さん、お父さんと一緒に観られる時間、あるいは晩御飯の準備をしているときにお子さんたちが集中して観られるアニメだなあ、と思っているので、そういう風に家族の共有時間として使っていただけたら嬉しいです。
——宇宙や宇宙開発に関するニュースも尽きないですし、関心がより高くなっている時代でもありますしね。
ムロ:そうですね。宇宙を夢見る、夢を持つっていいよね、ということを無意識に、ふんわりと伝えられたらいいな、と思います。
——ありがとうございました。
【インタビュー・文/篭法】
中学までは運動部だったが、だんだんインドア趣味になり、今では完全に陰の者。小説が好き。ライターを志すきっかけになったアニメは『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。その他に好きな作品は『91Days』『SSSS.GRIDMAN』『ワンダーエッグ・プライオリティ』など。アイドル系の作品にはあまり触れてこなかったが、1年ほど前から『シャニマス』にハマり、ライブにも足を運ぶようになった。
【スタッフ】
原作:にしむらゆうじ
監督:作田ハズム
シリーズ構成:加藤陽一
アニメーション制作:ファンワークス
主題歌:RHYMESTER
製作:ちょっくら月まで委員会
【キャスト】
こてつ:藤原夏海
ニコ:榎木淳弥
ルー:玉木雅士
ひかる:竹達彩奈
おたま:山口 茜
じいちゃん:山口勝平
ナレーション&DAXAくん:ムロツヨシ