さまざまな色を見せていきたい──春アニメ『バトルアスリーテス大運動会 ReSTART!』EDテーマ「桜舞い散る夜に」でアーティストデビューする近藤玲奈さんにインタビュー│ファンから募集した質問にも回答!
カップリングは自分自身を歌った曲に
──カップリングの「Listen~真夜中の虹」はガラッとイメージが変わって壮大でシリアスなムードの曲。訴えかけるような言葉も印象的です。
近藤:「桜舞い散る夜に」は登場人物になりきって歌ってたんですけど、「Listen~真夜中の虹」は自分のことを歌っているような曲で。最初に歌詞をいただいたときはそれに気づいてなくて「この曲の主人公はなにを考えてるんだろう?」って思っていたんです。
でも<聞こえてるか 聞こえてるか まだ見ぬ人の大きな拍手が>という言葉を見たときに、これはファンの皆さんの拍手なんじゃないかと。その瞬間に「あ、これ私の曲じゃない?」って気づいたんです。声優のお仕事を始めたときの私に当てはまる歌で、なかなか結果が出せなくて閉じこもってた自分を今の自分のところまで連れ出してくれる曲になっていたんだって。
「大丈夫、今の私には応援してくださる方がいるんだよ」って今の私が昔の私に訴えかけるような曲だなと思いました。
──近藤さん自身を歌った曲であると。他にも“自分であること”を感じた言葉はありましたか?
近藤:<奇跡が今 奇跡が今 すぐ隣を通り過ぎている>という言葉もチャンスはすぐそばにあって、それを掴むか掴まないかは自分次第だよっていまの私が昔に言ってあげてるのかなって。<真夜中の虹 渡るための鍵を持つのは 君自身だったのさ>というところも、昔の自分に向かって「大丈夫だから一歩踏み出して進みなさい」って言ってあげてるような感じがしています。
昔の自分が考えていたことも入ってるし、今の自分が昔の自分に言ってる言葉もあるので、感情移入がしやすかったです。サビの<聞こえてるか 聞こえてるか>はすごく印象的なフレーズなんですが、自然と歌うことができました。
──作詞された大西洋平さんはMachicoさんや、和氣あず未さんの曲も手掛けられている方で。そこまで見抜いてたのがすごいですね。
近藤:そうなんですよ! 昔の私のことを知ってたのか、タイムスリップして昔の私を見てきたのかってくらい(笑)、パーソナルな部分を表してくださって。「桜舞い散る夜に」もそうなんですが、私の人柄を考えながら作ってくれたんだなぁと感じています。
──そこはプロデューサーの方、周りの方の愛を感じますね。
近藤:本当に愛情を感じました。「Listen~真夜中の虹」は、私が以前ディズニーソングやミュージカルっぽい曲が好きと言っていたので、それを汲み取って壮大な曲にしてくれたんだろうなって。
──ああ、なるほど! まさにミュージカル調でオーケストラのようというか。
近藤:そうなんです! めちゃくちゃ壮大で、イントロから引き込まれました。きっと私の意見を取り入れて、それでこういった唯一無二の曲になったのかなと思いました。
──<夜>というキーワードにく敢えて、さらに<灯>(灯す/灯り)という言葉も2曲の間で共通しています。これは意図されたものなのでしょうか?
近藤:あっ、ホントだ! 灯すの部分、今言われて初めて気付きました(笑)。この2曲は真反対のようで似ているように感じています。どちらのタイトルにも反対の言葉が入ってるんですよね。「桜舞い散る夜に」というタイトルは、桜といえば希望があるような明るい雰囲気ですけど、夜は少し寂しげな感じがあって。「Listen~真夜中の虹」は、真夜中と虹ですけど、真夜中に虹は出ないじゃないですか。
どちらも共通しているのが、暗い中でもすぐ隣に希望があると教えてくれること。そう考えると、深い考察ができる曲なのかなと思ってます。
──明るさと暗さって紙一重ですもんね。
近藤:すぐ近くにあるけど気づけないものだなぁって。私は集中すると周りが見えなくなってしまうタイプで空回りしてしまうんです。でもふと周りを見渡して気づくことってたくさんあって。こんなにも頑張ってくれる方がいるから、それを噛みしめて今の時間を過ごしていかなきゃって思うんです。
それが成長の一歩になる。直接的な言葉はないんですけど、聴いていくうちにそういうものを考えていく曲になるなって。だから聴いてくれる方にとっても自分を見つめてみる時間になってくれたらなって思ってます。
──近藤さんにとってもそうであったように、さまざまな気付きをくれる曲になると思います。ところで、前半に「ロックっぽい曲にも挑戦してみたい」とおっしゃっていましたが、他にも今後チャレンジしたいことはありますか?
近藤:さきほどのお話しと少しかぶってしまうんですが……「桜舞い散る夜に」は登場人物の気持ちを想像して、その人物になりきって歌っていたんです。歌もお芝居の一つなのかなという感覚というか。歌の専門的な技術よりも、感情表現でアプローチしていきたいなと思ってます。
だから、歌のなかでもいろいろな人物に挑戦してみたいなって。声優だからこそできることもあると思うので、声の変化を使って歌うことにもいずれチャレンジしたいです!
──今後も期待しています! ありがとうございました。
[インタビュー・逆井マリ 撮影/鳥谷部宏平]