石原夏織6thシングル「Plastic Smile」インタビュー|作品の世界観に寄り添いつつ、自分もこの曲に救われた気がします!
自分の曲の歌詞に自分が救われた気がします
――レコーディングはいかがでしたか? 石原さんはこれまで、結構すんなりいけたと話すことも多かったですよね。
石原:この曲は出だしから結構キーが高くて、ちょっと声を張っていかないとキツいんです。でも、1番のAメロやBメロは歌詞の内容的にネガティブな状態で、メロディもしっとりしていますよね。そのニュアンスを出さなきゃいけないのに声を張ってしまうと、パワーバランスがおかしいというか。この歌詞なのに、こんなに強い歌声にしたら違うな、かといって抑えすぎてもそれはそれで違うし……と、掴むまでが結構大変でした。fhánaの佐藤さんに録っていただいたのですが、何度もテストして決めていったので、いつもよりは苦戦したと思います。
――出だしの〈何気ないフリして笑いながら〉に作品の要素が詰まっていますからね。バランスも含めて、やはりそこは重視したと。
石原:そうですね。(1曲を通して)最後の落ちサビに向けて悩みがどんどん解消していき、取り繕っていたものがなくなって、本当の自分になっていくんです。そこに向けて変化していかなきゃならなかったので、冒頭は結構こだわりました。
――とすると、サビは気持ちよく歌えた感じですか?
石原:はい。1番より2番、2番より3番という感じで、悩みが解消していくので、特に落ちサビが一番歌っていて気持ち良かったです。それに、落ちサビだけちょっと変わるところがあるので、そこも個人的に好きです。MVにあるような、青空が広がる中、緑の丘の上で歌っている姿をレコーディングの時からイメージして、とっても気持ちよく歌えました。
――そのほか、特に好きなフレーズを挙げるとしたらどこですか?
石原:2番のAメロの〈いつからだろう 一歩引くクセ 身に付けて 慣れてしまってた〉というフレーズがすごく好きなんです。電車に乗っていた時に歌詞をチェックしていたんですけど、自分の経験とも結びついて胸にきました。いろいろと自分から発言しなくちゃいけないことってあるじゃないですか。でも、円滑に進めるために言わないでおくことも結構あるんですよ。
それは学生時代からそうで。事を荒立てないのは楽ではあるんですけど、「あぁ、またやってしまった」「そういう自分は嫌だな」と思う瞬間も多く、こんな自分じゃなきゃいいのに……と思っていた時期もあるんです。
でも、この歌詞を読んだ時に、多くの人が同じ経験をしているんだな、自分だけじゃなかったんだって思えたんです。自分だけじゃないなら、自分のことを否定するのは間違っているかもしれない。だったら、こういう自分も受け止めつつ、発言できる時はちゃんとしようと思ったんです。自分の中でずっとずっとあった悩みだったので、すごく刺さったというか、そういった自分も悪くないんだよって受け止めてくれた感じがして、ここは特に好きなんです。自分の曲の歌詞に自分が救われた気がします。
――気持ちはめちゃめちゃわかりますね。そして、この曲は先日のライブで初披露しました。実際に歌った感想もお聞かせください。
石原:ライブで初解禁だったので、どんな反応をしてくれるんだろう?ってドキドキしました。自分はすごく好きな曲だけど、どう受けてもらえるんだろうって。レコーディングではキーが高くて難しかったこともあって、これはライブでは歌えないわ……と思っていたんです(笑)。でも、ライブに向けてどの曲よりも練習したおかげで、当日は不安な気持ちもなく、本当に楽しく歌わせてもらいました。