アニメ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』放送祝10周年! ~平成オタクのバイブルだった『俺妹』で僕は「ヲタ」になった~
平凡で良い主人公
ラブコメでは常套手段である「何故かモテる平凡な主人公」ですが、本作品の主人公である高坂京介もしっかりそのDNAを受け継いでいます。
大体この手の主人公は優柔不断で、顔もパッとしませんが、すっごく優しかったり大きな夢があったりと何か一つのポイントにヒロインたちが惹かれていきますよね。
主人公・京介の良い点はズバリ
「オタクに優しい」
ということです。実妹の桐乃だけではなく、その友人のオタクたちにもすごく優しいのです。家族や他人の趣味を尊重し、付き合うことができる「共感力」と「寛容な心」を持ったいい男なのです。
器の大きな主人公と個性を爆発させるヒロインたちの相性が良く、テンポよくアニメを見ることができます。そして何でも受け入れて振り回される性格が、当時の時代とマッチして人気になった部分もあるでしょう。家族や友人のために体を張る京介、かっこよくて人情深いところもあります。
その頃私は、純粋なオタクです。そんな京介を見て
「これが、モテる男……目標にすベき男か……」
ってなっちゃいました。普通は「漢像」ってスポーツマンガや格闘マンガの主人公から学ぶもんですが、私は「ハーレムラブコメ」から学ぶという進路選択をしてしまいました。
ですが、今でもいろんなことに関心を持てたり、誰かの価値観を許容して自分も楽しむ姿勢を持てたことは、彼の態度を見て学んだからなのです! これはオタクにとっても、生きていくためにも必要な要素だと思いませんか?
その代償に私は彼に影響を受けすぎて、オンラインゲームのハンドルネームを「きょうすけ」にしていました。今でもその当時一緒にプレイしていた友人には、「きょうすけ」と呼ばれています。本名とはかすりもしません。
今後も『俺妹』から目が離せない!!
今後も10周年記念のイベントや、グッズの販売など盛りだくさんです!
そして、アナザーストーリーとして人気ヒロインとの今後を描いた『俺の妹がこんなに可愛いわけがない あやせif』のコミック版1巻が絶賛発売中! もちろん私も即買いしました。
また『俺の妹がこんなに可愛いわけがない 黒猫if』のコミカライズ連載開始も決定しております!
これからもとても楽しみですが、今書きながら振り返ってみると『俺妹』は大事なことを思い出させてくれたかもしれません。
あれから10年が経ちオタクを取り巻く環境はほんとうにガラリと変わりました。「オタクはキモい」という感情が限りなく少なくなっていることを感じます。
2016年頃から長編アニメを中心に、日本のアニメは国内外でさらに注目されました。多くの年代の人がアニメを見に映画館に行き行列を作ったり、朝のニュースで作品が取り上げられたり、ゴールデンの番組で人気声優さんが引っ張りだこになっていたり当時では考えられない状況です。
アニメを見ることが、もはや「流行」の域に達しているのではないでしょうか。この状況は私達アニメオタクにとって非常に良いことであるし、生活もしやすくなりました。しかしだからこそ、あのときのような情熱を持ってアニメに接したい。
誰もが簡単にオタクになれるからこそ、もっともっと好きでいたいです。これはカジュアルなファンをバカにするということではなく、「オタクの姿勢」を見せることでもっともっとこの文化を盛り上げていこうということです。
オタクの良いところは、「ヘンでバカバカしくて魅力的」なところです。盛り上がっている今だからこそ、私達の人生を彩ってくれた文化にお返しができるのではないでしょうか。
『俺妹』のキャラクター達、桐乃や黒猫達のように「オタクがオタクらしくあること」がアニメのためになることなのではないでしょうか。
オタクは気持ち悪くあれ!!!!
大事なことを教えてくれた『俺妹』に、ありがとうそしておめでとう!
[文/ヨウイチロウ]