アニメ『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』小ネタまとめ! 特撮&ゴジラファンを唸らせる仕掛けが盛り沢山!
第9話「たおれゆくひとの」
第9話「たおれゆくひとの」。みなさんご覧になったでしょうか。『ゴジラSP』はアバンタイトル(OPテーマまでのアニメーション)が独特です。独特すぎるくらいです。海上などで怪獣と相まみえることが多いんですが、物語の時系列とまるで関連が無い、というよりも日付や日時を判断する材料が少ないため、本編中のどの段階で起こった事象なのかがわかりづらくなっています。テーマの1つとして、「時間」、「未来」が描かれているため何か意図のある演出なのかも知れません……
それにしても、今週も濃密な20分間でした。アーキタイプによる時空のズレで放送時間5分弱ではないかと思ってしまうくらい。そしてついに待ちわびた、彼がやってきましたよ。
目覚める怪獣王???
『シン・ゴジラ』を彷彿とさせるオペレーション開始のシーンで始まります。投下された爆弾が着弾し、サナギから出てきたのは緑の大型怪獣。地面が唸るような咆哮をあげると、周囲の紅塵もまたたく間に活性化。赤く大きな積乱雲を発生させます。これは『ゴジラSP』のOP映像に出てきた渦ですね。
そしてOPテーマが終わるとすぐに、アバンタイトルの続きに(今回は珍しい)。すると足音と共に怪獣王・ゴジラのBGMが!
構わず攻撃を続けるものの、紅塵を利用した「リアクティブアーマー」(走行に爆弾を設置し敵の爆撃のダメージを軽減する仕組み)により攻撃を防ぐゴジラ。爬虫類のような大きな口を開き、「光の輪」を発生させます。これには「熱線か!? 」と身構えましたが、失敗に終わった様子で、更に紅塵を身にまとい、ゴジラは姿を消してしまいました。
何よりその見た目に注目です。放送前までは、3形態のゴジラしか発表されていませんでしたが、今回は「ゴジラ・アンフィビア」と「ゴジラ・ウルティマ」の中間形態である「ゴジラ・テレストリス」だったのです。(これまたソフビ商品名ネタバレです)
ラテン語で陸生を意味するテレストリス。その見た目は「恐竜」そのものでした。デザインの元ネタは、ゴロザウルス(東宝怪獣特撮に登場する怪獣 『キングコングの逆襲』など)や”エメゴジ”と呼ばれる初代ハリウッド版ゴジラ『GODZILLA』だと言われています。
緑色をベースとしたカラーリングになっており、『ゴジラvsメカゴジラ』に登場する「ベビーゴジラ」や『ゴジラvsデストロイア』の「ゴジラジュニア」のオマージュなのではないかという意見もありました。また今回は失敗に終わったかのように見えた、ゴジラ・テレストリスが発生させた「光輪」は『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』に登場する怪獣「ミニラ」のものと類似しており、成長段階のゴジラとしてのオマージュが無数にされていることがわかります。
投下される爆弾を吸収しているようにも見えますが、今作のゴジラは高次元的な存在であり形態の変化が単なる成長と捉えることができません。今後ゴジラがどの様な姿になり、どの様な概念になるのか、目が離せませんね。
バガヴァッド・ギーター
葦原ノートの解読を急ぐメイ。葦原によれば未来を先取りするという「超時間計算機」を使って予想できたのは、この世界の「破局」だとのこと。アーキタイプの真相にたどり着けなかったのは、計算機の不具合や答えが間違っているのではなく、世界自体が「破局」(この場合は単純な世界の滅亡か、物理法則など既存のルールの崩壊が当てはまりそうです)をしてしまって結果が出ないということでした。
その「破局」の根拠としてペロ2が朗読する詩は「バガヴァッド・ギーター」と言われるインドはヒンドゥー教の聖典の一部でした。つくづくインドに関連する内容が多い今作ですが、バガヴァッド・ギーターは初の核実験が行われた際にも引用されたものらしく、強大な力や人知を超えた存在などを示唆する意味合いもあるとか。
ペロ2が滅んじゃうの嫌だよぉ……
オール怪獣vsジェットジャガー
前回登場したクモンガが、歴代の怪獣たちを含んだ小ネタの宝庫であることは記述しましたが、今回もまたこだわりの塊に。クモンガに掛かるプレッシャーは凄まじいものではないかと思います。心配。
クモンガに追い詰められたユンとジェットジャガー達は、巣に囚われた漁港の職員を救出。船で一時沖に逃げることに。ジェットジャガーは時間を稼ぐために、クモンガとの大立ち回りを続けます。
「えっほ、えっほ」と釘宮さんも大奮闘。ジェットジャガーを異性として意識してしまいそうです。そんな中、圧倒的な数で攻め立てるクモンガ達。その中には、なんと前足が前回記述した怪獣「メガロ」のようなドリルから、巨大な鎌に変化している個体が現れます。この形状は『地球進撃命令 ゴジラ対ガイガン』に登場した悪の怪獣ガイガンの前足に似ています。その他、体の棘なども類似しています。そして鎌だけで言えば、『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』に登場の、「カマキラス」のオマージュとも言えます。
さらにさらに、羽が生えて飛行可能となったクモンガも登場。この特徴もカマキラス、そして『ゴジラ×メギラス G消滅作戦』に登場のメガニューラの成分も入っているとの声もありました。
詰め込みすぎですよ。クモンガ大活躍。そしてそれを蹴散らすジェットジャガーも大活躍です。一体誰が、こんなにかっこいいジェットジャガーを予想することができたでしょうか。逆に、背部のバッテリーをパージしたあとの、アクロバティックな戦闘シーンに痺れなかったファンはいないでしょう。
クモンガもジェットジャガーユング(CV:釘宮理恵)もイカスぜ!
「はきょくのはじまり」
命からがら沖へ逃げることに成功したユン達。メイから重要そうな「葦原ノート」のPDFが送られてきてました。いやあ見せてくれ~、そこに何が書いてあるんだ。
そこにいつになく神妙な大滝の声が。ユンが甲板に出てみると、冒頭のゴジラ・テレストリスが原因と思われる巨大な渦のような積乱雲(のような紅塵? )が立ち上っています。
この画は、ダンテの「神曲」に登場する「地獄図」を基に描かれたものだそうです。筆者も検索してみてあまりに酷似しているため鳥肌が立ってしまいました。ダンテの神曲は、『ゴジラSP』5話「はやきことかぜの」にて、BBが引用していたこともありました。神曲は、ダンテが地獄、煉獄、そして天国を旅した旅行記のような内容になっておりこれをどこまで引用しているのかも気になるところ。
そして、地獄図以外にも、キノコ状の煙に恐怖を感じざるを得ない。メイが辿り着きつつある、葦原、そして破局。東京で変化を続けるゴジラ。自我を持ち成長し続けるジェットジャガーユング。ついに物語も佳境に差し掛かっています。明かされていない謎、ゴジラの存在、そして明らかに稀有な存在である、ユン、メイ、ペロ2(ユングと同じプログラムなのに完成された自我を持つ)、大滝吾郎(ラドンやゴジラの襲来を予測していた)の面々の情報、そしてなぜ彼らは破局に立ち向かうのか、語られていないことが明かされる日が来るのか。10話、座して待つ。
第10話「りきがくのげんり」
毎度みなさんに、今週も見ましたか? と訪ねておりますが今週はもう聞きません。見たはずです。第10話「りきがくのげんり」ではついにゴジラファンが待ち望んだ展開でした。
SNSでも大興奮。実は私先行配信で地上波放送よりも1話早く見ているのですが、はやくTwitterでつぶやきたくてたまらなかった……。
謎解きパートでも段々と真実に近づいて来ましたが、以前謎も増え続ける。全13話で一体どうやって風呂敷をたたむのか、楽しみです。
□春アニメ『ゴジラ S.P』第10話あらすじ・先行カット公開
未完の輪
自衛隊との膠着状態が続くゴジラ・テレストリス。そこに今まで見たことのない形状のラドンが飛来します。全身は黒く、形を正常に保っていない様子。口元は赤く発光していました。過去シリーズで口から炎を発射できるのは「ファイヤーラドン」のみであり、そのオマージュとも取れます。ラドンがまた形質変化をしまた暴れまわるのかも知れません。
さてその大型ラドンと退治するゴジラテレストリスですが、背中のヒレが光を帯び、ついに熱線が発射されるかと思ったのですが、先週の放送でも観せた”光の輪”を飛ばし、ラドンを撃墜しました。やはりあの光の輪は「ミニラ」(『ゴジラの息子』に登場)のオマージュのようです。
はるかなるいえじ
アバンタイトル後には、ユンとハベルが葦原の謎の館に向かうところから始まります。紅塵や怪獣たちを止める手段について、カミムシ(神野銘)からのメッセージを参照しつつ考察しています。
一連の流れを視聴して気づいた方もおられると思いますが、この展開は第1話「はるかなるいえじ」の冒頭と完全に一致しています。時間帯こそ違いますが、写っているものや写し方、すべてが意図的に「はるかなるいえじ」の再現となっています。妙な既視感から、館に向かうシーンを見直してみたところあまりにも同じで鳥肌が立ちました。そして本作の「時間軸」について考察している方によると、8月あたりからメイとユンの時間にズレがあるとのこと。この繰り返しのような演出にも何か意図がありそうです。
そして、同じシーンを見て気づいた点として、葦原の館に入った際に、魚の骨の標本を全面に撮影されているカットがありました。それは初代『ゴジラ』でオキシジェンデストロイヤーの実験で、水槽の魚が一瞬にして骨になるシーンのオマージュカットになっています。
リー博士の行く末を暗示?
ユンらの考察シーンが終わると、メイとリー博士が食事をとっているシーンに移行します。これに違和感を覚えた視聴者の方いるのではないでしょうか。第9話のラストでラドンに襲われたリー博士が普通にご飯を食べていました。通常なら回想シーンだと理解するはずですが、私はこのシーンで混乱し、世界軸が複数存在しているのでは? と深読みをしてしまいました。ここは素直な受け取り方をしたほうが良さそうです。
このシーンでも、かなり意味深で少々ややこしい話をしています。その食事の中にペガサスの折り紙のようなものがアップで映されます。これは有名SF小説を映画化した『ブレードランナー』のオマージュのようです。『ブレードランナー』では、ペガサスの夢を見るシーン(いくつかのバージョンで観ることができる)と、ラストにペガサスの折り紙を見つけるシーンがあり、それが元ネタになっているのでは、という考察がありました。
『ブレードランナー』という作品自体も、考察が今でもされている作品であるため「ペガサス」がどのような意味を持つのか多くの解釈が存在しています。『ゴジラSP』のこのシーンでは、リー博士の情報とんちクイズの最中であり、「マイナス1」という物理的に存在しないメイの答えの流れもあったので、嫌な予感がしますね……
気になる方は、『ブレードランナー』も合わせて調べてみることをおすすめします。
メイのヲタT
BBの娘と合流するメイ。かなり疲弊している様子です。彼女のTシャツに書かれている数式が気になったので調べてみました。
彼女のTシャツには 「m{cos(1)+isin(1)}」この数式が書かれています。どうやら複素数の式のようですが、この式を解くと「me^i」 となるそうです。メイとも読めるので彼女の名前ですかね。可愛いです。
ちなみにBBの娘から渡されたスーツケースはBBが使用したオーソゴナルダイアゴナライザーが入っていたものと同様の物なので、そういうことかも知れません。
佐藤の仮説
10話後半で、ミサキオクの2人が久しぶりに登場し話をしていますが、佐藤が発言した葦原の遍歴がどこかで聞いたことのあるものでした。葦原の故郷である港町はかつて、怪獣のようなものによって滅ぼされ、命からがら倒したものの、その記憶や記録は忘れ去られてしまう。葦原は故郷を滅ぼした怪獣の骨を保管し監視をし続けた。というのが佐藤の中での葦原の遍歴のようです。これは初代『ゴジラ』での大戸島のエピソード、そして芹沢博士がオキシジェンデストロイヤーを使って心中したことにより一切のデータが消えてしまったのと似ています。これもまだ佐藤の仮説に過ぎないため、真実はわかりませんが、葦原という男が一体何なのか明かされるのが楽しみです。
「ゴジラ・ウルティマ」
全視聴者が待ちわびた5分間。SNS上でかつて無いほど話題になっていました。それもそのはず、第10話にしてついに、私達に馴染みのある姿の「ゴジラ」が登場しました!!! 正式名称は「ゴジラ・ウルティマ」。これまたソフビ情報で劇中での呼び名ではないですが、たしかにゴジラでしたね。今回のゴジラのテーマは『ゴジラ』(1984)あたりのアレンジだと言われており、『シン・ゴジラ』や『エヴァ』を想起させるようなコーラス付きでしたね。まさか「デデデン、デデデン、デデデデデデデン♪」が令和に聞けるとは……。
イントロと登場キャラクターたちが次々にカットインする演出や、紅塵の中ゆっくりと顔を上げる「ゴジラ・ウルティマ」。口から発射する光の輪が7つにまで増えて、葦原ノートに描かれていた破局を表す7重の円も見せてくれました。その後は、ゴジラらしい青白い熱線により、戦車やビル、都庁を「溶かして」切断! そのあたりの演出も、熱感が伝わってきてリアルであり怖かったです。公式サイトの「ゴジラ・ウルティマ」の情報欄では、さらなる姿をほのめかす文章も綴られており、何かが隠されていること請け合いです。
今回に限ったことではありませんが、毎エピソードごとに、我々の期待や前回の興奮を超える『ゴジラSP』。完結まで残すところあと3週ですが、この勢いのまま駆け抜けることができるのでしょうか。ODはまだ完成しておらず、シャルンガも一時的に動きを止めただけのようですし、ゴジラに関しては、リアクティブアーマーもあり物理的には打つ手がない状況です。絶望的な状況の中、ユンとメイは人類を救うことができるのか、11話、座して待つ。