茅原実里さんがリリース順に全シングルを熱唱した15周年ライブのBD『15th Anniversary Minori Chihara Birthday Live ~Everybody Jump!!~』発売記念インタビュー! 毎年恒例の河口湖ステラシアターでの野外ライブファイナルは8月7、8日に開催!
「純白サンクチュアリィ」で初心に! おなじみの「フレディ・スタンド」にまつわるエピソードとは?
――後ろのスクリーンに映る茅原さんと、ステージ上の茅原さんがまったく変わっていなかったことも驚きで。「純白サンクチュアリィ」から最後まで。
茅原:本当ですか!? 個人的には結構変化があるように感じていたんですけどね!このMVは食いしん坊だった頃、このMVはストイックに筋トレしてた頃…みたいな振り分けが自分の中ではありますよ(笑)。だけどその変化も含めて私の歴史の一部ということで楽しんでもらえたらいいなってポジティブに考えていました。あと今回のライブ映像では前髪があったのが自分でも新鮮でしたね。たぶんこれまでのライブ映像の中で前髪ってないんじゃないかなぁ?
――「純白サンクチュアリィ」を1曲目で歌うのは2015年のシンフォニックコンサート以来ですね。
茅原:ランティスさんから初めてリリースしたはじまりの曲なので、イントロを聴くだけで初心に戻れるんです。会場が一瞬で純白に染まる光景は何度見ても美しくて大好きです。「さあ、始まるぞ」ってワクワクした気持ちと同時に「さあ、戦いのはじまりだ!」って思いました。私とみんなを繋いでくれた大切な楽曲なので、みんなと心をひとつにしてスタートできた幸せな始まりでした。
――あと「Paradise Lost」では、茅原さんのライブではおなじみの短いマイクスタンドを手に歌われていて。アレを見るたびに、茅原さんのライブに来たんだなと実感しました(笑)。
茅原:昔、お世話になっていた舞台監督さんが「これ持って歌ったら?」とおもむろに出してきたんです。クイーンのフレディ・マーキュリーさんが使っていた、通称「フレディ・スタンド」なんですけど、使い方が分からなくて「どうやったらカッコよくパフォーマンスできるんだろう?」って他のアーティストさんを参考にしようと思って色々な動画を見漁っても、フレディさんしか見つからなくて。
しかもフレディさんの持ち方も独特で、さすがに私が同じようなパフォーマンスをしたらギャグになっちゃいそうだし…(笑)。私なりに試行錯誤しながらあの使い方にたどり着いたんです。今となってはライブでは欠かせない定番アイテムになっているので、当時の舞台監督さんには感謝しています。
――セットリストを見ていくと初期はノータイアップの曲が続いて、「Paradise Lost」が初めてのアニメタイアップだったんですね。
茅原:「純白サンクチュアリィ」も『キディ・ガーランド パイロットDVD』のテーマソングでしたが、曲をリリースした数年後に採用されて。「君がくれたあの日」も『Planet:Valkyrie』のテーマ曲ですが、曲をテーマにしたアニメプロジェクトで、これもリリースから何年も後のことでした。
だから「Paradise Lost」がはじめてのアニメタイアップ曲です。『喰霊-零-』のOP曲を唄わせてもらうことが決まった時はすごく嬉しかったし、ランティスの会議室ではじめてデモテープを聴いて感動したのを今でもはっきりと覚えています。声優としても土宮神楽役で出演することで、養成所時代からの、「自分が出演するアニメの主題歌を唄う」という夢が叶って、すごく嬉しかったです。
――そして中盤の13曲目「TERMINATED」から最後まですべてタイアップ曲で。
茅原:ありがたいことですよね。一番最初の『アニサマ』に出演した時、「純白サンクチュアリィ」と「君がくれたあの日」を唄いましたが、どっちもノンタイアップ曲でした。
徐々にタイアップ曲が増えていったことで、それまではあまり意識していなかったことなんですけど、アニサマに出演する時はアニメのタイアップ曲を唄うべきなんじゃないかって思うようにもなりました。振り返ると本当にたくさん出演させていただきましたが、そのたびに私の唄を一緒に大合唱してくれるアニソンファンのみなさんに出会って、本当に嬉しかったです。ああ、アニメを通して私の楽曲を認知してくれてる人がこんなにもたくさんいるんだなぁ…って、毎年喜びを味わわせてもらっていました。
野外ライブのテーマ曲&初作詞曲の「Freedom Dreamer」への想い。
――そして「Freedom Dreamer」や「purest note 〜あたたかい音」という野外ライブのための楽曲も。
茅原:「Freedom Dreamer」はシングルとして初めて自分で作詞した曲で。それまで主に畑 亜貴さんとこだまさおりさんが素晴らしい歌詞を書いてくださって。茅原実里の楽曲の世界を築いてくださったのに、私が作詞することで壊してしまうかもしれないという恐怖があって。
「何度か書いてみる?」と言われても断っていました。でもテーマがライブだったので、それであれば、私らしく真っ直ぐな気持ちをみんなにシンプルに届けられればいいのかなって。
このライブのサブタイトルにもなっている「Everybody Jump!!」のフレーズは、当時プロデューサーから「ちょっと変化させたほうがいいんじゃない?」って言われたけど、「簡単なほうがみんなも覚えやすいと思うので、どうしてもこれでいきたいんです!」って希望を貫かせてもらいました。
やっぱり自分が書いた歌詞で、みんなとライブで1つになれたことは嬉しかったし、これまでとは違った感動もありました。今となってはライブに欠かすことのできない1曲になって、「これで始まるか? これで終わるか?」くらいの。また「Freedom Dreamer」や「purest note 〜あたたかい音」は夏の野外ライブに向けて作っているので開放感もあるし、素直な自分の気持ちをみんなに届けられる楽曲なんです。
――今回のライブのMCで「Planet Patrol」のMVにみのりんポリスはどうしても入れたかったんですと熱く語っているシーンも印象的でした。
茅原:プロデューサーの提案で、歌詞とはちぐはぐなMVを作ろうって言い出して、打ち合わせの中で多数決の結果「競技かるた」に決まったんですけど、私はどうもしっくりこなくて根に持っていたんですよ…(笑)。後日ファンクラブの企画でMVを作り直すことが決定して。やりたいことを全部詰め込んでCMBの無駄遣いまでさせてもらうという本当に今では考えられない贅沢な遊びでした(笑)。
――「TERMINATED」の後、MCを挟んでからの後半戦は「Celestial Diva」から7曲連続でパワフルな曲が続きました。
茅原:「TERMINATED」から「ザ・アニソン」というパワー強めの楽曲が最後まで続くので、過酷なゾーンに突入するわけなんですけど、これがなかなかハードでした。CMB(サポートバンド)のみんなのことも心配で。
特にドラムのガンちゃん(岩田ガンタ康彦さん)は大変だったと思います。ドラムって全身運動じゃないですか!私だったら鼻血でちゃう…。もちろん会場のみんなも立ちっぱなし、ノリっぱなしだし。でも終盤になるとしっとりしてくるしで目まぐるしい…(笑)。
――ずっとタイアップ曲なので、会場の皆さんもノリながらも作品や当時のことを思い返していた方も多いのでは?
茅原:そうだったら嬉しいです。私自身はこのゾーンの時の記憶がほとんどなくて。今回の映像で「こんな感じだったんだ〜」って(笑)。
――またカッコいい曲たちを凛々しく、パワフルに歌うシーンが多かったんですけど、「SELF PRODUCER」では一転して笑顔で楽しげで、「大好き」を要求したり、歌のお姉さんみたいで。茅原さんのいろいろな表情も見られました。
茅原:確かに「SELF PRODUCER」は、どんなフェスや単独ライブの中でも良いアクセントになっているかもしれません。女の子の恋を応援するかわいらしくて元気な曲で、おまけに振付もキャッチーなんですよね〜。私はかっこいいシリアスな曲が多いので。浮かれ気分で唄える貴重な曲でもあります(笑)!唄っていると私自身もすごく楽しくなれちゃうんですよね〜!
――終盤に入るとミディアム系の曲やせつない曲が続きます。
茅原:楽曲だけではなく、『涼宮ハルヒの消失』や『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』など作品自体もメッセージ性が強くて儚い。これまで自分が歩んできた道のりを振り返りながら、人や作品、キャラクターとの出会いをかみしめながら唄ったブロックでした。
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のED曲「みちしるべ」と『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝-永遠と自動手記人形-』のED曲「エイミー」も、やっぱり私にとっては特別すぎる楽曲なので、私の中に伝えたい想いが溢れていて。
声も出にくくなっていたけど精一杯唄うことしかできなかったし、声や歌がどうなったとしても想いだけは絶対に最後まで伝えようと思っていました。
――「エイミー」でシングル26曲を歌い切って本編が終了し、アンコールでは清々しい表情の茅原さんが再登場して。
茅原:「エイミー」を唄い終えた時、心の底から「よかった~!」って安心しました。あとのアンコールは打ち上げみたいなもので、ただひたすら楽しめばいいだけ…と思いつつも、「Christmas Night」と「We are stars!」はライブ初披露だったので、映像チームも入っているので余計に心臓がドキドキしていました(笑)。
茅原実里のライブといえば「旗曲」。なので、アンコール1曲目にはみんなが大好きな「Lush march!!」を選びました。みんなが旗を振ってくれている光景がいつも本当に美しくて。ファンのみんなは思いやりがあって本当に優しいんです。昔からライブ会場では旗を持っていない方に、近くのファンの方が旗を貸してあげたりして、みんなで協力し合ってライブをいいものにしようって、みんなで楽しもうっていう気持ちで臨んでくれているんです。ファンのみんなは私の永遠の誇りです。
――アンコールでは茅原さんへのバースデーサプライズもありました。
茅原:みんなへのプレゼントとしてたくさんお知らせするつもりで、スクリーンを見たら「ハッピーバースデーみのりん」の文字とケーキが運ばれてきて。すごくビックリしました!この日は楽屋で事前にスタッフのみんなに誕生日のお祝いをしてもらっていたし、タイムスケジュール的にもキツキツなので絶対ないだろうなって思っていました。
これまで数々のバースデーサプライズをされているので、あの手この手で私を驚かせようと試行錯誤してくれてるスタッフのみんなの気持ちが嬉しいしありがたいです。以前は唄っている途中に「Happy Birthday」が流れてきて「あれ、曲が違う! 誰か演奏を間違えたのかな!?」とイラっとしたこともありましたもん(笑)。
――「We are stars!」は15周年記念ソングとして作られた曲ですね。
茅原:唄ったのはこの時と「さっぽろ雪まつり」の2回だけです。自分の歴史に携わってくださったQ-MHzの皆さんが作ってくださった楽曲で、すごくカッコいい曲で大好きな曲!だけど、ラップ、セリフ、歌、どれをとっても私のスキルではすべてが難しくて…。万が一セリフを1つでも噛んだらリカバーできないテンポ感だし、すごくプレッシャーでした(笑)。
――締めくくりにこの日、2度目となる「Freedom Dreamer」を選んだ理由は?
茅原:最初と最後に「Everybody Jump!!」できたら最高だなって思ったんです!これ以上ハッピーな締めはないと思いました。誕生日だからやりたいようにやろうって振りきれてたところもあって(笑)。フリドリは何回唄っても楽しいライブソングだし、みんなも喜んでくれたのでよかったです!