春アニメ『フルーツバスケット』The Final 草摩慊人役・坂本真綾さん|「自分らしく生きること」はいつからでも遅くない【声優インタビュー第7回】
2021年4月より、テレビ東京・テレビ愛知・テレビ大阪ほかで放送中のTVアニメ『フルーツバスケット』The Final。
本作は2019年4月より新スタッフ&キャストにより全編アニメ化となったTVアニメ『フルーツバスケット』の最終章となっており、ついに“十二支の呪い”を軸に繰り広げられてきた物語が結末を迎えます。
アニメイトタイムズでは最終回に向けて、キャスト21名のメールインタビューを毎日連載でお届け! 第7回目は、草摩家の当主で十二支たちにとって神のような存在である草摩慊人役の坂本真綾さんです。
私だけは嫌いにならないように、味方でいよう
——The Finalで心を鷲掴みにされたシーンやセリフ、好きなシーンなどがあれば教えてください。
坂本真綾さん(以下、坂本):The Finalはずっとクライマックスのような感じですよね。フィーチャーされるキャラクターが毎話変わるので、その度に泣けるポイントがあって……ずっと鷲掴みにされっぱなしでした(笑)。
慊人と透でいうと、最後にふたりで対面したシーンやその後の病室は印象的ですね。
もちろん原作や台本で目を通してはいましたが、やはり透役の(石見)舞菜香ちゃんと一緒に収録した際には、ぐっとくるものがありました。舞菜香ちゃんの演技は、本当に嘘がないので刺さるものがあります。
——これまでのシーズンとは違い収録形式にも変化があったと思いますが、アフレコ現場の様子はいかがでしたか? ディレクションや印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
坂本:慊人は当初“男性”としてみられる必要があり、しかも「少年」ではなくある程度成長した「青年」だったので、そこを演じるのは難しかったです。
今まで男性役を演じたことはありましたが、もっと若い役でしたので。皆さんに青年として、違和感なく見てもらうようにするのには苦労しました。
さらに、改めて本編を最初から見直した時に、“女性”の部分を心のうちに抱えて生きてきたことが分かった方がいい部分もあって、その匙加減は悩みました。
視聴者の皆さんが慊人が“女性”だと知った後も、慊人自身の人生が変わった訳ではないので演技を変えるということはなかったです。
慊人は周囲から恐れられていた存在でしたが、本当は弱く脆い人間だということを感じてもらえたらなと思います。
——慊人は「草摩家」の当主として幼少から複雑な感情を重ねてきたと思います。ある意味、1番“呪い”に囚われている人物ともいえますが、坂本さん自身「草摩慊人」という人物をどのように解釈されて演じられましたか?
坂本:慊人の立場は“神様”というある種のファンタジックな要素が入ってはいますが、現実世界でも周囲からのプレッシャーを感じながら育つ人っていると思います。
色々な期待を背負い、自分の中で「こう生きなきゃいけないんだ」と思い込み、自身に呪いをかけているような……。
なので、慊人については単純にお話の中の人という感じではなく、同情といいますか、そういった存在として理解していました。
慊人は恐らく、事情を深く知らない限り同情してもらえない人だと思います。だからアニメが放送される度に、視聴者から嫌われてないかと心配でしたね。
ただ私だけは嫌いにならないように、味方でいようとずっと思っていました。