春アニメ『フルーツバスケット』The Final 草摩紅葉役・潘 めぐみさん|彼と共有した「常に自分以外の誰かを思いやる心」【声優インタビュー第16回】
2021年4月より、テレビ東京・テレビ愛知・テレビ大阪ほかで放送中のTVアニメ『フルーツバスケット』The Final。
本作は2019年4月より新スタッフ&キャストにより全編アニメ化となったTVアニメ『フルーツバスケット』の最終章となっており、ついに“十二支の呪い”を軸に繰り広げられてきた物語が結末を迎えます。
アニメイトタイムズでは最終回に向けて、キャスト21名のメールインタビューを毎日連載でお届け! 第16回目は、十二支の「卯」の物の怪憑きである草摩紅葉役の潘めぐみさんです。
彼にとって呪いは絆であり、繋がりだった
——The Finalで心を鷲掴みにされたシーンやセリフ、好きなシーンなどがあれば教えてください。
潘めぐみさん(以下、潘):一つ、ひとつが、苦しくて、切なくて、愛おしくて、尊いので選び切れないですね。なので、ここは演じさせて頂いた紅葉の関わる場面から。
呪いが解けた翌日、慊人と話すシーンから紅葉のお母さんとのシーンにかけて。(第5話)
このときを待ち望んでいたはずのに、一度壊れてしまったものは元に戻ることはなく、想っている人に振り向いてもらえるわけでもない。彼にとって呪いは絆であり、繋がりだったんです。
だけど「それらが満たされないと"倖せ"になれないとか、そんなことを勝手に決めないで」と諦めない心。そして「ボクはここから歩き出す」と決意を新たにした彼に、お母さんからの「いってらっしゃい」が、もう……!!
原作で「しあわせ」という字が「倖せ」となっているのも、いいですよね。一人ではなく、共に歩んでいく、その人を、家族を感じて、グッときます。
——これまでのシーズンとは違い収録形式にも変化があったと思いますが、アフレコ現場の様子はいかがでしたか? ディレクションや演技面で気をつけたことがあれば教えてください。
潘:これまで皆さんと同じ時間と空間を共有しながら、掛け合ってきた分、今まで通りの体制で収録できないことが、とても残念だねという話をしていました。この「The Final」は、より一層、掛け合いが大切なシーンの連続だったので。
しかし、そんな状況下でも、掛け合う相手の方となるべく一緒に収録できるよう、タイムスケジュールを合わせて頂いていたように思います。現場にも創意工夫を施して頂いて、現場の皆さんのお心遣いに、終始頭が上がりませんでした。
演技面では……そうですね。この収録体制になって、あえて気をつけるようになったことはないのですが……紅葉は「The Final」で心身ともに成長します。
身長もぐんと伸びて、声変わりもする。どこで変化をつけていくか、2nd seasonの後半の段階でご相談させて頂いていたんです。
身長は実はほんの少しずつ伸びていたけれど、変化をつけるのは、原作通り(アニメでいう16話)のタイミングにしようと。試行錯誤あって、結果、あの紅葉になりました。
——1st seasonの第14話、2nd seasonの第16話と紅葉くんの家族に対する想いに涙しました。The FinalのOPでは少し成長した紅葉くんが映り、ファンの間で話題になっていましたが、これまでを踏まえて潘さん自身、紅葉くんはどのような大人に成長していくと思いますか?
潘:彼の夢を、これからの先の未来で、叶えていくのでしょうし、実際に『フルーツバスケットanother』の物語で描かれていきますが……それを実現することのできる思いやりが、ずっと彼の中にはありましたからね。人格者であるとも思いますし。
けれど、今回『The Final』で、やはり彼も草摩の人間なのだなと感じたんです。天真爛漫な明るさや温かな優しさとは反対にある、陰りであったり冷めた部分があるということ。
それでも、これからも変わらず、紅葉として居続けてくれると信じています。そう思わせてくれるのは、彼の行動原理が、常に『自分以外の誰かのため』だからです。