春アニメ『灼熱カバディ』武蔵野創先生×市川量也監督 対談|監督・原作者ともに思い入れのある主人公・宵越竜哉はカバディに対する“敵”として誕生!?
音楽が名シーンを際立たせる
市川:アニメも進んできましたけど、先生の中でアニメだから印象に残ったエピソードなどはありましたか?
武蔵野:勿論です。音楽が素晴らしいですよね。僕は王城と初めて会って練習するところとか。あそこで流れるピアノがすごくよくって『エクソシスト』や『ハロウィン』といったホラー映画でピアノが流れるシーンってあるじゃないですか。ああいうニュアンスで来たか、と思ってちょっと嬉しくなりました。
市川:確かに、伊藤さんの音楽が綺麗だけどホラー要素もあるような、ちょっとミステリアスな感じになっていて王城のキャラに合っていましたね。
武蔵野:イメージはしていなかったんですけど、聴いたときにすごくピッタリだと思いました。
市川:先生にも気に入っていただいてよかったです。盛り上がるところでかかるテーマソングのような曲もすごくカッコいいですよね。
アニメの劇伴は30~40曲くらい制作したら、後はそれハマるシーンに使っていくのがスタンダードなんですけど。今回はいくつかのポイントは伊藤さん(伊藤賢さん)に編曲もしていただいているんです。
その王城のシーンのように、映像がある程度できあがったところで一回音楽家のほうにお送りして、タイミングや曲調をそこに合わせてアレンジしてもらっているんですよ。
もちろん映画とかだったら全編そうやって作るんですが、TVシリーズだとどうしても予算の都合などで普通はできないんです。作ってもらったら作曲家さんの仕事はそこで終了なんですが、今回は一回お戻しさせていただいている箇所が何か所かあります。
武蔵野:12話の水澄のところとかもそうですかね?
市川:あそこもそうですね。
武蔵野:あそこもめちゃくちゃ音楽いいな! と思いました。
市川:僕が記憶にしっかり残っている範囲では、1話のラストの宵越と畦道のやり取り、先生が仰った王城のシーン、7話の伊達と井浦のところ、12話などメインになるところはだいたい編曲していただいてます。
武蔵野:どうしてそこまで音楽にこだわろうと思ったんですか?
市川:実は音楽のジャンルだけは原作を読んでいたときから決めていて。
武蔵野:そうなんですね。
市川:ええ。ダンスミュージックの中でもダブステップがこの作品に合うと思いました。音楽家さんが決まったところで相談させていただいたら、伊藤さんも同じようなイメージで。
武蔵野:本当に素晴らしくて作業中も聴いています(笑)。
市川:自分らも今回の音楽は本当に気に入っていて。伊藤さんにも乗っていただいて。
歌入りの曲が2曲、7話と12話であるんですけど、あれは実はアニメサイドは発注していなかったんですよ。伊藤さんのほうから「この曲合うと思うから使って!」と提供してくださって(笑)。
武蔵野:そうなんですか! めちゃくちゃカッコよかったです。
市川:いいですよね! ぜひ視聴者の方も盛り上がってほしいですし、サントラも出してほしいです。次があったら曲も揃っているし、イメージが最初からある状態でやれるので、さらにピッタリ合わせてなにかやりたいと思うんですけど。