「DDTは“銀魂”みたいな感じ」プロレスラー・竹下幸之介選手&上野勇希選手にアニメイトコラボの話を聞きに行ったら、プロレスの深い話を訊くことができた話
2.9次元ミュージカル「まっする」
――DDTプロレスリングといえば、今話題沸騰の「まっする」についても伺いたいです。
竹下:……ちょっと説明が難しいですね。
――こちらで補足しますね。
▼『まっする1』オープニング
【まっするとは】
2.5次元ミュージカルのプロレス版。それが「2.9次元ミュージカル まっする」。
もともとは2004年10月からスタートした「マッスル」が発祥の興行。2020年1月に「まっする(ひらがなまっすると読む)として現在の若手選手を中心に据えた形でリニューアルした。
艦隊や日本刀、最近では馬が擬人化して人気を博す中、“まっする”はプロレスの必殺技を擬人化。
今回のインタビューに登場している竹下選手は投げ技の神である思切投太郎、上野選手は飛び技の神・高久辛飛光を好演している。
その魅力は、マッスル坂井さん(スーパー・ササダンゴ・マシン選手)がトレンドを絶妙に踏まえたメタファーをストーリーに盛り込んだ脚本と出演者たち(プロレスラーだけでなく、DDTのスタッフやお笑い芸人も出演している)。
中でも一番大切なセリフやシーンは敢えて演者に全てを任せるというマッスル坂井さんのスタンスから生まれる“生の感情がほとばしるカタルシス”は多くのファンの心を掴んで離さない。そして、公演毎にハードルが上がり続けている。
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— DDT ProWrestling (@ddtpro) September 21, 2020
まっする3~必殺技大乱発~大公開通し稽古
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『語れ!涙!戦え!平田!』スペシャルシングルマッチ
平田一喜 vs HARASHIMA#ひらがなまっする pic.twitter.com/n2yXsawmbU
※こちら令和2年のベストバウト候補とも呼ばれた平田一喜選手の名シーンである。
また、キャストが漫才やクインテット(寝技の格闘技)、ラップ……システマ。興行の度に何かしらにチャレンジしている模様も見応え十分。
プロレスをまだ知らない方にも届いてほしい超蒼穹に最高のエンターテインメントミュージカル。それが「まっする」なのだ。
――ちょっと説明が長くなりましたが、実際「まっする」は本当にエンターテインメントとして特出した世界観だと思います。前回はリングの上でお二人もラップを披露していましたし。
▼竹下選手(竹下幸之介a.k.a.思切殴太郎)のラップ
ひらがなまっするフェス2021
— DDT ProWrestling (@ddtpro) March 18, 2021
@ COOL JAPAN PARK OSAKA SSホール
⚡フリースタイルマイクパフォーマンス⚡
LAST BATTLE
竹下幸之介a.k.a.思切殴太郎 vs 樋口和貞a.k.a.コクヨカズサダ#フリースタイルマイクパフォーマンス#ひらがなまっする#ddtpro pic.twitter.com/NLdQXvMsk5
▼上野選手(上野勇希a.k.a.毒吹・ワグナーJr)のラップ
ひらがなまっするフェス2021
— DDT ProWrestling (@ddtpro) March 18, 2021
@ COOL JAPAN PARK OSAKA SSホール
⚡フリースタイルマイクパフォーマンス⚡
3⃣rd BATTLE
上野勇希a.k.a.毒吹・ワグナーJr vs MAOa.k.a.ハーマンミラーマオ#フリースタイルマイクパフォーマンス#ひらがなまっする#ddtpro pic.twitter.com/vTUOjQPcwu
上野:あはは(笑)。『ヒプノシスマイク』も流行ってますから。プロレスラーがラップをやるというのも面白いですよね。
――バトル相手との因縁というか生の感情がぶつかり合って、すごい空間になっていました。本番一発勝負なのでドキドキ感もありますし。
上野:いやぁ。すごかったですね、緊張感が。体で闘えるならまだいいんですよ。普段からやっていることなので。ラップとなるとね。
竹下:誰も台本読んでなかったもんね。
上野:もう全然読んでなかった! みんなラップに集中してて。
竹下:ラップの練習しかしてないっていう(笑)。
上野:で、終わったらみんなヘラヘラしてる(笑)。「まっする」はすごく挑戦しているコンテンツですね。そのハラハラ感もぜひ楽しんでほしいです。
プロレスの間口としては、一番端っこを捉えたような...ある意味一番スタートにも成り得るものなのかもしれないなと思います。
竹下:「まっする」は観てもらうのが一番早いですね。口じゃうまく説明できないことをやっているので。
――文章だと……中々に説明できないことをやっていますね(笑)。
竹下:「まっする」もそうですし、プロレス自体もそうですけど、僕は「分からなくても来てほしい」と思っています。
映画を観に行くときも、あらすじは知らなくても流行っていたら観たりするじゃないですか。分からないままでも、いざスクリーンに座ると楽しい。
それと一緒で、プロレスもなにも知らなくてもいいんです。まず来て、会場の席に座ってもらって。そこで、目の前で起こっていることを観てもらうだけで面白いと思います。
――DDTの試合はレスラーが喋る試合もありますからね。「こういう状況なんだ」、「こういうお作法があるんだ」ということが分かりやすいです。
上野:どの試合も分かりやすいと思います。コミカルな試合をしている人はそこに注力している部分もあるし。コミカルな試合でも、メインイベントとなるようなガッチリした試合にも負けないようにしているので。
各々がそれぞれの一番を目指し続けているので、どの試合を見てもきっと分かるし、ひとりは確実に印象に残る選手がいると思います。
竹下:DDTには20年以上の歴史があって、アニメで言うならもう何100話目か分からないくらいなんですよ。でも『銀魂』みたいな感じで、基本的には1話完結、1興行で完結するのでいつから観ても大丈夫だと思います。それは僕らとしても心がけています。
――プロレスは大河ドラマ的な要素もあるので、長く観ていれば面白いのはもちろんですが、単話で観ても面白い。確かにそうですね。DDTにはそんな魅力があります。
竹下:最新話を観ても全然面白いと思います。
――そして、過去の試合が気になったら「YouTube」の公式チャンネルや「WRESTLE UNIVERSE」に加入すると更に深さが分かる……と。ちなみに、読者にお二人の試合をご紹介したいのですが、オススメはありますか?
上野:悩みますね(笑)。僕は大阪でやった試合ですね。
僕はDDTを知ってプロレスを好きになったんですけど、プロレスラーになってからは逆に僕も新しいプロレスをたくさん観るようになって。その中で特に好きになったのが大阪プロレスだったんです。
今はもう大阪プロレスはなくなってしまったんですが、そこで活躍していた選手が今もバリバリにやっていて。その強さと楽しさを表現している、リスペクトしている選手と組んでやった試合が自分としても非常に好きな試合です。
竹下:じゃあ僕は変化球で。YouTubeでDDTの公式が上げている、僕とYUNIという当時小学5年生のプロレスラーがやった試合をオススメします。
YUNIは男の子ですがまだすごく小さくて。背が140cm代。体重も30kgくらいの子が、187cmの男とシングルマッチをしたんです。あれは僕の中で、プロレスのひとつの理想形かなと思っています。
試合の最初は僕もプロレスごっこというか、小学生の男の子と遊んであげて、最後に大人げなくいこうかなと思っていたんですけど……。
子どもってすごくピュアで。勝ちたいというか、勝てる可能性を信じているんです。体格差的に、観ている大人たちも誰一人としてYUNIが勝つとは思っていないですし、僕も100%負けることはないと思っています。その中で、彼だけが自分が勝つ可能性を信じているのを闘いながら感じたんですよ。すごく感動した試合ですね。
▼“13年後の前哨戦”竹下幸之介 vs ゆに Konosuke Takeshita vs Yuni 2019.1.13 大阪大会
上野:どっちも大阪の試合というね(笑)。
――そろそろ取材も終了のお時間が迫ってきました。2021年6月6日に開催の迫るサイバーファイトフェスへの意気込みをお聞かせください。
竹下:サイバーファイトグループがほぼ全員集合といってもいいくらいで、フェスと聞くとお祭りな雰囲気、楽しい雰囲気をイメージすると思いますが、僕らの試合は対抗戦なので、楽しい気持ちもありながらも若干ピリついてるかなという感じで。
正直、同じグループといえど、団体としては勝敗はもちろん、試合内容も負けられないな、という気持ちがあります。ケンカも勝ちたいし、10何試合も並ぶ中、僕ら若い世代のタッグマッチになるので、その日の一番を獲りたいなと思います。
――お二人は両団体映え抜き同士の試合ということで非常に楽しみです。
※お二人はDDTvsNOAH対抗戦 竹下幸之介&上野勇希vs清宮海斗&稲村愛輝にエントリーしている。
竹下:純度100%のDDT対ノアの形になると思うので、そのあたりもぜひ注目してほしいですね。
上野:特に我々DDTとノアってサイバーエージェントグループとして一緒の会社になったわけですけど(2020年9月にサイバーファイトが設立)、一緒になる前はホントに両極端というか、なかなか交わることもなかったですし。
僕は普段プロレスをしていく中で、なによりも楽しんでやろう、という思いがあって。でも向こうにはたぶんその感覚ってあまりないんじゃないかと思うんですよ。特に清宮さんも稲村さんも闘って、よりぶつかってという方だと思うので。
もちろん僕たち2人も闘いという部分も頭にありますが、さらに楽しむということに関しても高いモチベーションを持っています。
高校のころから一緒にいる僕とタケで、この大舞台で重要なカードをやれるということで……。今、やる気が非常に高いです。
――ありがとうございます。さいたまスーパーアリーナで開催されるサイバーファイトフェス。本当に楽しみな大会です。最後に、お二人からアニメイトのお客様へメッセージをお願いします。
竹下:プロレスとアニメや漫画とかってすごく共通する部分があって、なんならレスラーの僕がアニメを参考にすることもけっこうあるくらいです。一回騙されたと思って、会場に来てDDTのプロレスを観ていただければ、きっと僕の言っている意味が分かると思います。今のご時世、なかなか強く言うことはできませんが、それでも会場でお待ちしております!
上野:僕も最初はプロレスのイメージは大男やパイプイスといったものだったのですが、会場に行ってDDTのプロレスを観たら、本当にいろんな選手がいて、いろんな空気感があって。「世の中にこんなに面白いものがあるんだ」とアニメ好きな方にもきっと思っていただけると思うので、ぜひお待ちしております!
[取材・文・写真 川野優希]
DDT×アニメイト コラボ情報
★埼玉・さいたまスーパーアリーナ・メインアリーナ
「CyberFight Festival 2021」にて販売開始!
【商品名】
クッキー&アクリルチャームセット(全14種類)
【価格】
1,000円(税込)※会場特別価格
【販売開始】
2021年6月6日(日)
【種類/全14種】
・赤井沙希
・彰人
・秋山準
・アントーニオ本多
・上野勇希
・遠藤哲哉
・勝俣瞬馬
・佐々木大輔
・高木三四郎
・竹下幸之介
・男色ディーノ
・HARASHIMA
・平田一喜
・MAO
【仕様】
アイシングクッキー:直径約80mmのビッグサイズ
クリルチャーム:30×45mm以内(選手により異なる)