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TVアニメ『スーパーカブ』レビュー|「あの頃」へ帰る旅に出よう。

圧倒的没入感! 趣味系アニメの新しい形TVアニメ『スーパーカブ』で「あの頃」へ帰る旅に出よう。

皆さんは、趣味や好きなもの、ありますか? 私はもちろん「アニメを楽しむこと」が趣味なオタクです。これを読んでいるあなたもアニメ好きな方かと思います。自分が愛してやまないモノがあると、毎日も自然と楽しくなっていきますよね。

何もなかった日常が、とある相棒との出会いで少しづつ色づいていく……。

私は今、そんなアニメ作品にハマっています。

大人気放送中のTVアニメ『スーパーカブ』です!

4月に放送が開始された、TVアニメ『スーパーカブ』。その名のとおり、日本のみならず世界中で愛される二輪車「スーパーカブ」と1人の女子高生が織りなす物語。

家族も友達も夢もない、主人公・小熊がカブと共に生活し、仲間ができて日常が少しづつ彩られていく。カブに乗る女子高生というキャッチーさ、キャラクターも可愛くてストーリーも面白い、素敵な作品です。ですがこの作品、「どう観るか」を意識すれば、より味わい深くなるんです。そしてそれはどのアニメーション作品にも当てはまります! 

なので今回は、「アニメをより楽しむ」ことをテーマに、『スーパーカブ』の魅力をどどんとご紹介! 話題の『スーパーカブ』が気になってました……! という方も、バリバリの『カブ』ファンの方も、本作そしてアニメーションの自分だけの楽しみ方を発見してみませんか?

『スーパーカブ』はオタクの「原点回帰」である!

私は『スーパーカブ』を「原点回帰」として観ることにしました。

実は、放送開始前の個人的予想だと、近年メジャーになりつつある「趣味系アニメ」作品という印象だったのです。釣りやキャンプ、スローライフなどを通しキャラクター達の会話にくすっとしたり、思わずアクションを起こしてしまいたくなるような作品なのかな、と思っていましたが『スーパーカブ』は一味違います(もちろん趣味系アニメも大好きです)。このアニメ、作品への没入感が桁外れなのです。

我々アニメファンには、大好きな作品や演者、趣味など、自身のアイデンティティにもなりうる程の「好きなもの」があると思います。主人公の小熊が、カブと出会い、カブを好きになり、カブが生活の一部となり、カブと共に走っていく道、その一部始終は我々が通ってきた「オタク道」と重なっていくのです。

そしてそれは、アニメだけではなく、趣味や食べ物、部活動などでも同じ。つまり『スーパーカブ』を見て、小熊とシンクロし「何か」を好きになる感覚を追体験していく。これはまさに原点への旅路。本作品は優れたリアリティアニメ、バイクアニメでありながら、私達に「好きなもの」を再確認させる「原点回帰アニメ」でもあると私は思います。

どのようにして、私達は主人公に共感していくのか。主人公の特徴や印象的なシーン、アニメーションとしての表現方法など『スーパーカブ』の数々のこだわりを通して、より作品を楽しみ、あなたの趣味道・オタク道の原点に帰る旅に出ましょう。

私は「主人公・小熊」をこう観た!

私達に、原点回帰をさせる本作ですが、それを語るのに欠かせないのが主人公・小熊のキャラクター性にあります。

小さなアパートの一室で淡々とした日常をこなす彼女。なぜ両親が居ないのか、なぜ一人暮らしをしているのか、それどころか彼女の下の名前さえ未だ明かされておりません。

大人しく、他のクラスメイトとの深い接触を避けますが、人間関係のトラウマや人見知りなどは見受けられません。自立し一人で生活をしてはいるものの、何か目的や強い気持ちがあるわけでもない。食事も白米にレトルト食品をかけるだけ。

容姿も地味、髪型も普通のショートヘア、スタイルも一般的(キャラデザは凄く可愛い)。

設定、容姿、精神面、全てにおいてもれなく特徴がない少女、それが小熊です。

無色透明な女子高生

そんな無色透明すぎるキャラクターが主人公の物語。そんな彼女であるからこそ、私達は強く刺激されます。なぜならそこに「リアリティ」と「新鮮さ」があるからです。

現実世界で私達は、日々大笑いしたり慟哭したりすることが頻繁にあるわけではなく、小さな感情を積み重ねていっているはずです。また大きな喜びや悲しみはかえって現実味がわかなかったり、静かな感情の場合も多い。その「リアルさ」と、感情の起伏の少ない彼女が初めて楽しさや喜びを感じ、初めてその表情の変化を観せてくれる事によって、「新鮮さ」と共に彼女に強く共感することができるのです。

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』での主人公・ヴァイオレットが愛を学んでいく姿を観る事により、私達自分自身の家族や友人への思いをより再認識できるように。『エヴァンゲリオン』のヒロインである綾波レイがポカポカするのを見て、心が突き動かされるように。何もないキャラクターたちが変化していく様には、一種の魔力のような強い力があります。

小熊とカブのように、その存在が現実味を増すほどに、繊細だけれども印象強く、自身の気持ちが想起されていきます。小熊を見ていると、自然と「好きなものとの思い出」が心に滲んでいくのです。

そんな小熊とカブのエピソードの描き方がまた魅力的です。第1話で小熊は原付き通学の同級生を見て、なんとなく思い立ち免許を取得。街の小さな整備店でいわくつきのカブを購入します。初めての体験に悪戦苦闘しながらも、コンビニへいったり、帰りに給油したりと、通常なら描かずにスキップしてしまうような些細なことを、濃密に描いています。そんな展開にもかかわらず私達の心はなぜか満たされてしまう。その原因は、小熊の微小な表情や行動の変化にあります。

朝目覚めても、カーテンなんか開けなかった彼女は、カブを駐車し帰ってくるや否やカーテンを開け、自分のマシンを見ながらニッコリと微笑むのです。確かに可愛らしいですが、それだけじゃない。初めて自転車を買った時、ギターを買った時、ゲームでもプラモデルでも構いません。自分が初めて好きなものを手に入れた時のあの感覚が、たった数カットの少女の笑顔でグッと心の中を駆け抜けていくんです。

用もないのに触ってみたり、行く必要のないところへ行ってみたり、うまく操作できず説明書とにらめっこしてみたり。誰もが経験するあの興奮や不安がないまぜになった感覚。小熊という少女の中に何も無ければ無いほどに、あの感覚がビビットになっていきます。そしてまたカブという題材が、リアリティをグッと上げています。

1話見ただけで、なんだか懐かしくノスタルジックな気持ちになれる。小熊が感じる新鮮さを帯びつつも、彼女とはまた違った味わいが私達の心に溢れていくのです。

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