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- 逆井マリ
- 神奈川県横浜市出身。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。
ここで、TRUEの「memento」をイメージして、本イベントのために小玉 励氏(『探偵オペラ ミルキィホームズ』シリーズ等)が脚本を書き下ろしたオリジナル朗読劇のコーナーへ場面を移す。
現実逃避をして異世界転生を夢見ていた主人公のOL(東山奈央)、天使(芹澤優)、死神(伊藤美来)、ピザ屋でバイト中の占い師(斉藤朱夏)という個性豊かなキャラクターを4人が演じた。
物語序盤では、決して死ぬつもりではなかったのに、ひょんなことから仮死状態になってしまったOLの元に、天使と死神が登場。驚くOLに対して、天使役の芹澤さんが「見て分からないかな? 背中から生えた純白の羽、頭上に輝く輪っか……芹澤優ちゃんそっくりの愛らしいルックス」とアドリブで話すと客席から拍手が(笑)。
中盤は仮死状態になる直前に頼んだピザ(とハイボール三杯)を配達に来た霊感の強い占い師も加わり4人で会話を展開。占い師がOLの手相を見ながら「もっと人とたくさん言葉を交わすのを大切にしてください。言葉を交わすのが重要なんです」と伝えると、考えを改めて自分の身体に戻ることに。
「memento」が流れる中、占い師と天使・死神でハイボールを飲み交わしながら、ハッピーエンドを迎えたのだった。ハートウォーミングな内容と、コロナ禍で制作されたという「memento」の世界とが重なって、言葉の一つ一つが心にすっと入ってきた。
ちなみに、斉藤さんは初めての朗読劇で、伊藤さんも「イベントで朗読はありましたがオリジナルの朗読劇は初めて」だったそう。緊張しながらも4人とも掛け合いを楽しんでいた様子であった。
温かな余韻が残るなか再びライブステージへ。3番手を務めた芹澤優さんは、TVアニメ『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω』のオープニングテーマ「EVERYBODY! EVERYBODY!」をライブ初披露。DJ KOOさんとラッパー・MOTSUさんとタッグを組んだアゲアゲのダンスチューンがキラキラと輝く衣装によく似合っている。
MCでは「皆さん、盛り上がってますか!? 今日もみんなの推しは可愛いですか!? ついでに、芹澤優ちゃんも可愛いですか~?」と問いかけ、徐々に拍手が大きくなっていくと「優しくて本当にありがとうございます」と照れたように芹澤さん。
さらに、同コラボレーションによる「YOU YOU YOU」(ちなみに、5月に発売された「EVERYBODY! EVERYBODY!/YOU YOU YOU」は、“ウェイウェイのシングル”と表現・笑)、さきほどの天使から一転「デビきゅー」と続き、さまざまな表情・パフォーマンスで、強烈な一体感を作り出していく。
最後は「私のすごく大好きな曲で、いつもは(お客さんから)声が聴こえるんですが、今日は心でみんなの声や思いを感じ取れるように。いっぱい気持ちを届けられるように、思いっきり歌いたいと思います!」と気持ちを伝えたうえで、『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』エンディングテーマの「最悪な日でもあなたが好き。」を贈った。
トークコーナーでは「(コロナ禍前の)タイ以来のソロライブです。皆さんがいらっしゃったうれしさとアドレナリンでセーブが効かず、思いっきり弾けちゃいました!」と汗を拭きながら芹澤さん。
素顔について聞かれると「いま素だなぁって感じることはあまりなくて。皆さんの前で“セリコだよ~”ってやってるのも素と言えば素で。スイッチ入っている状態も無理して作ってるわけじゃないから、裏表なく、いつも素と言えば素ですね」と返答。
東山さんからの質問は「なんでそんなに可愛いの?」というストレートなもので、まんざらでもない表情を浮かべながら「パパとママが可愛く産んでくれたからかなぁ……」と上目遣いで回答(笑)。
ついついやめられないことは「前髪を触ること」で、「今日はやめておきましょうか!」と天津さんに提案された直後に前髪を触ってしまい、自分に対して「きゃーっ!!」と絶叫!(笑) 叫ぶ姿も可愛いからさすがだ。
ライブパートのラストを締めくくったのは伊藤美来さんは、「楽しく、夢のような世界をお届けしたい」という思いの元にセットリストを組んだそう。鮮やかなブルーで客席が染まるなかTVアニメ『武装少女マキャヴェリズム』オープニング・テーマ 「Shocking Blue 」を熱演すると、今度はピンク色にきらめく客席に向かって「all yours」をダンサーと共に届けた。
「皆さんにお会いするのを楽しみにしていたので、自分の出番までドキドキしていました。フェスの最後を任せていただける日がくるなんて思わなくて緊張していたんですが、マスク越しではありますけど、皆さんの笑顔を見られてホッとしています」
今回のフェスへの思いを伝えたあとは「次は優ちゃんと私が一緒に出ていたアニメの楽曲を歌いたいと思います!」とTVアニメ『上野さんは不器用』オープニングテーマ「閃きハートビート」、TVアニメ『戦闘員、派遣します!』のオープニングテーマ「No.6」とポジティブなナンバーをキュートな笑顔で歌ったのだった。
トークパートで素顔について聞かれると「寝ることが大好き! ダラーンとすることが好きで、予定がない日はいつまででも寝ちゃったりします! 誰かに誘われないと基本的に外に出ないです」とプライベートな話について言及。
斉藤さんからの「私は自分の思いを伝える音楽づくりがあまりうまくないんですが、どうやって自分のなかの世界観をどうやって伝えるんでしょうか?」という質問に、意外な質問と驚きつつ、「私は自分の好きなもの・ことは頻繁に口に出すようにしているんです。自分ひとりで(音楽の世界観は)作れないので、周りの方たちに助けてもらうためにも、自分の好きなものの種を蒔くようにしています」と、クリエイティブの種を伝授した。
続いて「最近あった衝撃の出来事はありますか? 特になければ好きな食べ物を教えてください」にという質問に対しては「好きな食べ物はお寿司!サーモン!」と即答。
「以前はウニって答えてたんですけど、ウニって高級だからお寿司屋さんに連れて行ってもらえないかなって……」と笑うと、天津さんから「“好きなもの蒔き”してる!」「というか、衝撃の出来事は!?」とツッコミが。ちなみに衝撃の出来事は前日にあったようで(天津さんが「あったんかい!」とすかさずツッコミ)、「アイスのサクレの上にレモンが入っていた」ことだそう(笑)。
またこの日、7月28日に発売する『ITO MIKU Live Tour 2021 Rhythmic BEAM YOU』のジャケットを特別に初公開。写真を見て思わず「すごく良い顔してる」と天津さんがこぼすと、うなずきながら「良い顔してますよね」と照れながらも笑顔を見せた。
「My Choice」は、声優となるキッカケとなった楽曲、影響を受けた楽曲などをテーマに、出演者自ら選曲したカヴァー曲を披露するコーナー。
芹澤さんが“原点”として選んだのは、TVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』のオープニングテーマ「Super Driver」。本ライブ後、選曲理由として「スパドラなら絶対みんなわかるんじゃないかなって。私はハルヒを見て声優という職業をしていまここにいます」と語った。
斉藤さんはサンボマスターが2010年に発表した「できっこないを やらなくちゃ」で力強くエールを送った。「こういう状況になって、止まりたくないのに止まってしまって、落ち込むことが多かったんですけど、サンボさんの楽曲を聴いて背中を押されました」とコメントした。
伊藤さんはTVアニメ『この素晴らしい世界に祝福を!』のオープニングテーマであり、レーベルメイトのMachicoさんの「fantastic dreamer」をセレクト。本楽曲は、この日披露した「Shocking Blue」「No.6」を手掛けた園田健太郎さんが作詞・作曲を手掛けており、「ずっと良い曲だと思っていて。じゃあ今日は園田さん祭りで!と、この曲を選びました」とのこと。
東山さんは『カードキャプターさくら』3期オープニングテーマで、レーベルの先輩でもある坂本真綾さんの「プラチナ」を。「小さいころから大好きな楽曲です。坂本真綾さんは、レーベルの大先輩かつ、事務所の鈴村健一さんの奥さんで、ご縁も感じています」としみじみと伝えた。
ライブを終えて、最後に一人ひとりコメント。
斉藤さん「今日初めて斉藤朱夏を知った人もいるかもしれませんが、こんな感じでやってますので、できれば顔と名前だけでも憶えて帰ってください! 本日はありがとうございました!」
伊藤さん「アンフィシアターという皆さんと距離が近いステージで、久しぶりでドキドキした感じもあったんですが、皆さんの笑顔が見られてうれしかったです。ライブが終わってすぐにトークや朗読劇があって、個々に迫ったパートもあって楽しかったです!」
東山さん「なかなかお会いできる機会が減ってしまってきた中で、皆さんの笑顔が見られて特別な時間になりました。個人的にも、ここにいるアーティストの皆さんと同じステージに立てることを楽しみにしていました! 舞台裏にいても楽しい1日でした、ありがとうございました!」
芹澤さん「私を初めて見た方もいらっしゃるだろうなと思っていたんですが、衣装からしてアゲアゲで、1曲目からテンションの高い曲を持っていったにもかかわらず、皆さんついてきてくださって。一緒に楽しんでくれてうれしかったです! 女性声優さんに寄り添ってくれている、とっても良いイベントだなと思ったのでまた出たいで~す!」
ここで終わりかと思いきや、最後の最後にサプライズプレゼント。
「次回開催するときは、声優・ファンの皆さんにとっても、ただいま、おかえりと言えるようなアットホームで居心地の良い場所で在りたい」という願いを込めて、TVアニメ『のんのんびより』の第ニ期『のんのんびより りぴーと』のエンディング主題歌「おかえり」を全員で歌唱した。
ライブ、トーク、朗読劇、カヴァーと多岐に渡る表現方法で、(衣装やヘアメイクも含めて)声優たちが“自分らしい”個性を発揮した「EJ My Girl Festival」。次回、「EJ My Girl Festival 2022」は、2022年3月5日(土)・6日(日)に舞浜アンフィシアターで開催予定。その時にはみんなで気兼ねなく一緒に歌えるような「世界一優しい おかえりが待ってる場所」になっていますように──。
[取材・文/逆井マリ]
[撮影/山内洋枝(PROGRESS-M)、青木早霞(PROGRESS-M)]
神奈川県横浜市出身。既婚、一児の母。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。パンクからアニソン、2.5次元舞台、ゲーム、グルメ、教育まで、ジャンル問わず、自分の“好き”を必死に追いかけ中。はじめてのめり込んだアニメは『楽しいムーミン一家』。インタビューでリアルな心情や生き方を聞くことが好き。
<東山奈央>
01.イマココ
02.灯火のまにまに
03.グー
04.群青インフィニティ
※素顔を知るほど、好きになるトークコーナー
<斉藤朱夏>
05.パパパ
06.Your Way My Way
07.しゅしゅしゅ
08.セカイノハテ
※素顔を知るほど、好きになるトークコーナー
オリジナル朗読劇「memento」
<芹澤優>
09.EVERYBODY! EVERYBODY!
10.YOU YOU YOU
11.デビきゅー
12.最悪な日でもあなたが好き。
※素顔を知るほど、好きになるトークコーナー
<伊藤美来>
13.Shocking Blue
14.all yours
15.閃きハートビート
16.No.6
※素顔を知るほど、好きになるトークコーナー
<My Choice>
17.Super Driver / 芹澤優
18.できっこないを やらなくちゃ / 斉藤朱夏
19.fantastic dreamer / 伊藤美来
20.プラチナ / 東山奈央
21.おかえり / 伊藤・斉藤・芹澤・東山
【日時】2022年3月5日(土)・3月6日(日)
【会場】千葉・舞浜アンフィシアター
EJ My Girl Festival ホームページ
EJ My Girl Festival 公式ツイッターアカウント