音楽
工藤晴香 1stSG「Under the Sun」インタビュー

音楽の冒険はまだまだ続く!「いろいろな自分を見せたい」「飽きさせたくない」くどはるの新境地は、“キャッチー”を意識した初めての胸キュンソング/工藤晴香さん 1stシングル発売記念インタビュー

「絶対に後悔したくない」

――ところで、レコーディングっていつされたんですか?

工藤:5月の上旬だったんです。

――結構最近!

工藤:めちゃくちゃ最近なんです(笑)。だからリリースまでが早いなって感じていて。制作が始まったのが4月下旬ぐらいで。歌詞の第一稿を1週間半で書いてほしいとのことだったので、書いて、プリプロをして、そこからまた1週間いただいて書き直して、いざレコーディング……という流れだったので、制作期間は意外と短かったんです。でもテーマが決まってたこともあって、歌詞は最速で書けました!

――レコーディングはいかがでしたか?

工藤:別のお仕事のあとにレコーディングしたんですけど、その日は珍しく疲れていたみたいで。「サビだけ別日でいいですか?」と初めて自分からお願いをしました。今までは「今日中に絶対に終わらせる!」って気合いで録ってたんですけど、今回は精神的に「絶対違う! このままサビを録っても絶対満足しないし、一生後悔する!」と思ってダメ元でお願いしたら「全然OK!」と言ってくださって。

――へえ! この曲のテンション的にもエネルギーが必要ですもんね。ナイスな判断だったと思います。そこで「全然OK!」と言ってくださるチームの関係性もステキですね。

工藤:すごくありがたいですね。お芝居やナレーションの場合は、その日のうちに録りきらなきゃいけないことがほとんどで、もちろん全力で頑張りますし、本番に向けてコンディションを整えていくんですけど、自分のソロの作品に関しては……「こんなこと言って良いのかな」って気持ちもありつつ「絶対に後悔したくない」という思いが強くて。後日録ったら「やっぱり今日のテイクのほうがいいね」という話になりました。良い感じにまとまって良かったなと。

――レコーディングには、今作の作曲・編曲を手掛けられている平地孝次さんも参加されたのでしょうか?

工藤:平地さんは大阪にいらっしゃるので、リモートでスタッフさんがアレンジの相談や、曲にまつわるやり取りをしていて。レコーディングしたあとに、平地さんから追加のアレンジが加わって、Bメロのところにピアノの音が加わったんです。私の歌を受けて「もっとこうしたらよくなるんじゃないか」って考えてくれたそうで。もともとすごくポジティブなサウンドだったんですが、ピアノの旋律が入ったことで、切なさが増したように感じています。

――すごく音が良いですよね。ドラムもかっこいい。

工藤:そうなんです。ラスサビのツーバスの音とか、「ここでドコドコするんだ!」って(笑)。聴いてて面白いです。

気になる“あの”新曲との関係性は?

――恋愛ソングではあるんですけど<人生は続いてゆく 別々でも同じ空の下で幸せでいて>のくだりは、このご時世にも重なるところがあると感じました。そのあたりはいかがですか?

工藤:いろいろな捉え方ができるようにしたいなと思っていました。もう二度と会えないけど笑顔で生きていくよ、いまは会えていないだけできっとまた会えるよねって希望も含めているんですが、いまのこの情勢と似ているところもあるなと。いまはまだ会えないけどきっとまた会えるよね、それまでお互い元気でいようねっていう意味もあります。

――いろいろな捉え方という意味では、「Under the Sun」は、3月に行われたライブ「MUSIKDHR ~Adventure of My Tape~」で披露されていた新曲の「Cry for the moon」とつながっているのかな、と。

工藤:そうなんです!

――やっぱりそうなんですね! そもそも「Cry for the moon」が先にリリースされるのかな?と思っていたんですが、そこも良い意味で予想を裏切られて(笑)。

工藤:そう!「Cry for the moon」は「せっかくライブをやるなら次があることを見せるためにも新曲を作りたいよね」という経緯でできた曲だったんです。だけどまさかのシングルに入らないという(笑)。でも先々のことを考えたときに「Cry for the moon」と対になる曲が欲しいなと思っていて、それでこの曲が生まれました。だから歌詞を書くときに最初に決まったのってタイトルなんですよ。

――タイトルから先に決まるってくどはるさんの曲では珍しくないですか?

工藤:はい。いつもタイトルは最後に決めるんです。仮の状態で「Under the Sun」にしよう、サビには<Under the Sun>って言葉を入れよう!って。だからライブ映像で「Cry for the moon」をめっちゃ聴いてもらうと、また新しい何かが見えると思います。

――ということは「Under the Sun」は「Cry for the moon」を受けての続編的なイメージなのでしょうか。でも、曲の中でも<続編は無いよ>と言ってますし、登場人物も違いますし……。

工藤:そこは意識してなくて。「Cry for the moon」は主人公が“僕”で、もうひとり“君”がいて。「Under the Sun」の主人公は“私”で、もうひとりが“君”。主人公が違うんです。「Cry for the moon」が男性視点、「Under the Sun」が女性視点というのはありますね。

――でも、他にもいろいろな仕掛けがあるのでは……?

工藤:実はあります! そこはいろいろ聴いて探してもらえたらと! 

――そこはあえて言わず?

工藤:そうですね! いろいろ考察して楽しんでもらいたいなという気持ちがあります。「Under the Sun」だけでも楽しめますが、せっかくこのライブの映像と共にリリースするとなったときに、仕掛けも入れたいなと思っていました。お楽しみにしておいてもらえると!

――この先、「Cry for the moon」は音源リリースする予定はないんでしょうか?

工藤:私も分からないですね(笑)。音源化してない、ライブだけの曲を持っているアーティストの方もいるじゃないですか。ゆくゆくは歌詞カードをつけて世に放ちたいなと思っているんですけど、まだそこまで考えられてなくて。制作は続けるので、これからどうしようかなっていうのは考えています。

初のリミックスにも挑戦! 「ハマってしまいました!」

――初の試みとして既存曲のリミックス2曲も収録されます。「MY VOICE」はナユタン星人さんが、「KEEP THE FAITH」はTeddyLoid さんが手掛けられていますが、お二人とのコラボレーションが新鮮ですね。

工藤:カップリングに新曲を作るのもありだなとは思っていたんですが、ミニアルバムをすでに2枚リリースしていて、飽和状態だったということもあって(笑)。「せっかく1stシングルをリリースするんだから面白いことをしたいよね」という話になったんです。

それでスタッフさんから「リミックスどうかな?」ってご提案をいただいて。その方がずっとTeddyLoidさんのお名前を挙げていて、「KEEP THE FAITHをTeddyさんにリミックスしてもらおう!」という流れで、お願いすることになりました。

もう1曲は同じEDMのシーンで活躍している方にお願いするより、まったく違うジャンルのかたで、声優のお仕事に近しい人でやったら面白いんじゃないかって。それでボカロシーンで活躍しているかたがいいなってなったんです。でも、私が直接選ぶよりも、レーベルのかたが選んだほうが予想がつかなくて面白いんじゃないかなと思って。それでレーベル側にお願いしたところ、「MY VOICE」はナユタン星人さんに手掛けていただくことになりました。

――スタッフのかたが「ぜひ聴いてみたい!」と思ってお願いされたお二人なんですね。

工藤:そうなんです! 私も新しいものを見てみたいという気持ちがあったので基本的に丸投げスタイルでした。

――2曲とも印象がガラりと変わって新曲のような印象があるんですが、ボーカルって録りなおされているんですか?

工藤:それ、いろいろなかたに言われます! どちらも録り直していないんですけど、私自身も「あれ? ボーカル録りなおした?」って思いました(笑)。

同じ素材なのに新曲のような気が自分でもしていて、めちゃくちゃフレッシュだなって。原曲もフレッシュなんですけど「料理する人によってこんなに変わるんだ!」と思いました。すごく良い感じにリミックスしていただき、リミックスにハマってしまいました(笑)。またやってみたいですね。マスタリングで3曲を聴いたとき、フルアルバムくらいのこってり感があるねって話になって。

――情報量がすごいですよね(笑)。フレッシュという意味では1stシングルらしい仕上がりですけど、ある意味シングルとは思えない濃密さ。

工藤:そう! 情報量がすごい(笑)。だから今作は少し曲間を空けているんです。いままでの作品は曲間がツメツメだったんですが、3曲とも世界が全然違うので、隙間を空けてハッキリと分けました。

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