『劇場編集版 かくしごと ―ひめごとはなんですか―』後藤姫役・高橋李依さんインタビュー|TVシリーズで演じた10歳の姫を見て、改めて芽生えた感情とは?
新録したナレーションは18歳での出来事を越えた19歳の姫
ーー劇場編集版は、どんな作品になっていましたか?
高橋:漫画では、姫が10歳のときをモノクロ、18歳のときをカラーで描かれていたんですけど、姫の18歳版がまとまって見られる感じで、すごく新鮮でした。こういう見方をしたかったと思っていたので、編集してくださってありがとうございますという感情でした。
自分で見ながら「そうそう、カラーページはこういう風に進んでいくよね!」っていう感覚があって、抜粋されている10歳のエピソードも、なぜここが抜粋されたのか、この一言のためだ!とか気付くんですよ。これが入ったのは、あのシーンを見せたいんだ!とか。だから、特に大事なエピソードを公式が選んでくれていてありがたい……という見方で見てしまったので、初見の方がどう思うのかは気になります。
ーー新録のシーンとなると、主にナレーションですか?
高橋:そうですね。神谷さんとは、姫が鎌倉の家で箱を開けて思い出がプレイバックするシーンを一緒に録らせていただいたのですが、久しぶりの掛け合いもほんの少しあって嬉しかったです。
ナレーションに関しては一人旅というか、一人で思い出を振り返るシーンの連続でした。実は、今回新録させていただくナレーションは18歳の姫だろうなと思っていたら、「19歳です」と聞いて、ちょっと驚いたんです(笑)。TVシリーズでは、目にハイライトが入っていない状態の18歳の姫でナレーションをすることが多かったんですけど、19歳の姫はハイライトが入った状態というか、18歳のときに起こった一連の出来事を越えた姫だったので、ちょっと明るい感じになっていると思います。
ーーこの作品にとって、大滝詠一の「君は天然色」という曲はすごくキーになっていて、劇場編集版でも感動的な流れ方をしましたが、この曲の印象を聞かせてください。姫としてもカヴァーをしていましたが。
高橋:このタイトルからイメージするような歌詞ではなかったことに驚きました。ちょっと切ない曲なんだなぁと思っていたら、キャラクターソングでカヴァーするアレンジは、すごくかわいくなっていて、ランラン歌う感じになっていて。なので、レコーディングのときはあえて歌詞を意識しすぎないようにしました。意識すると姫ちゃんから離れて、大人っぽく湿っぽくなっちゃうかなと。だから意味を理解しすぎないよう、資料の歌詞を全部ひらがなに書き直したりしてみたんですよ(笑)。そういう歌を、めぐろ川たんていじむしょのみんなで歌ってみましたっていう感じになるように。
ーー本編で流れるオリジナルはいかがでしたか?
高橋:やっぱり待っていましたし、原作の最終話を読んだときに頭に流れていて、これを映像として音と一緒に見たいと思っていたので、それが叶って嬉しいです。ここのために見てきたという気持ちになるくらいで大号泣でした。本当に音楽あってのシーンになっていたと思います。
ーー今回入場者特典として、久米田康治 特別描き下ろし漫画冊子が前後編で配られるそうですね。
高橋:劇場編集版の最後の一言がお気に入りで、まだまだちょっと続きが見たい、もうちょっと二人の表情が見られたらいいなと思っていたところに、この冊子が特典になると聞いたので、すごく嬉しかったし、先程見させていただいたんですけど、私が見たかったものがここにありました(笑)。なので前編後編、両方ゲットしてもらわないと!まだまだ続いているんだなぁという感じにもなれて、幸せですよ。
ーーでは最後に、この作品が久米田康治画業30周年記念になります。そのことについてはどう思いますか?
高橋:まずびっくりしました。30周年だから今作が劇場編集版にもなれたのかなと思うと、本当にタイミングが凄いですよね。原作の最終話を読んで、羨ましいなと思っていた気持ちを、こうやって昇華してもらえることなんて滅多にないので、30周年に感謝ですし、描き続けて下さってありがとうございますと言いたいです。
そして、これからも健康で描き続けてほしいですし、40周年の際にもまたお祝いできることを夢見ています。改めて、おめでとうございます!
アニメ映画『劇場編集版 かくしごと ―ひめごとはなんですか―』
7月9日(金)より全国劇場にて公開予定
イントロダクション
~久米田康治画業30周年記念~
愛と笑い、そして感動の父娘物語がスクリーンに!
漫画家の後藤可久士と一人娘の小学4年生の姫。
愛と笑いにかくされた2人の“かくしごと”に日本中が涙した――。
そして今回、劇場編集版として新規カットを追加し、TVアニメで描かれなかったもうひとつのラストを描き切る。
父娘のさらなる“かくしごと”の箱が今開く。
スタッフ
原作:久米田康治(講談社「月刊少年マガジン」)
監督:村野佑太
脚本:村野佑太
あおしまたかし
キャラクターデザイン:山本周平
美術監督:本田光平
美術:草薙
色彩設計:のぼりはるこ
仕上げ:緋和
撮影監督:佐藤哲平
撮影:旭プロダクション白石スタジオ
編集:白石あかね
編集スタジオ:瀬山編集室
音楽:橋本由香利
音響監督:納谷僚介
音響制作:スタジオマウス
アニメーション制作:亜細亜堂
配給:エイベックス・ピクチャーズ
製作:劇場編集版かくしごと製作委員会
主題歌:flumpool「ちいさな日々」(A-Sketch)
エンディング・テーマ:大滝詠一「君は天然色」(Niagara RECORDS)
キャスト
後藤可久士:神谷浩史
後藤 姫:高橋李依
十丸院五月:花江夏樹
志治 仰:八代 拓
墨田羅砂:安野希世乃
筧 亜美:佐倉綾音
芥子 駆:村瀬 歩
六條一子:内田真礼
マリオ:浪川大輔
古武シルビア:小澤亜李
東御ひな:本渡 楓
橘地莉子:和氣あず未
千田奈留:逢田梨香子
原作コミックス情報
久米田康治『かくしごと』
講談社〈KCデラックス〉
全12巻
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