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アニメ『ヒロアカ』山下大輝&佐倉綾音インタビュー【第5期2クール放送記念】

第2クールは正義対正義の争いへ! ヒーローたちが“綺麗事”を実践するときがついに? アニメ『僕のヒーローアカデミア』山下大輝さん&佐倉綾音さんが語る『僕の敵(ヴィラン)連合』の注目ポイントは? 【声優インタビュー】

どんどん先に進んでいくデク。お馴染みシーンで変わらない魅力も

——キャラクターそれぞれに魅力がありすぎてお話が尽きないですね。では、改めてご自身のキャラクターについて、第1クールからこれまでを通して、ここが成長したと感じるところを教えてください。

山下:デクはいつもすごい成長を遂げていて驚かされるばかりなんですけど、今回に関しては黒鞭の発現が目に見えてわかりやすいところですね。それと同時にメンタルも成長しているなと思いました。

今まではワン・フォー・オールの力をどうにかしようとがむしゃらに突き進んできましたが、今回はもっと広い視野で事柄を見ることができるようになっていて。もともと、分析して戦闘に活かすのが得意な性質だと思うんですけど、そこがさらに研ぎ澄まされているんです。

でも暴走しがちなんですよね。デクは意外と頑固な面があって、今回も周りが見えなくなっていましたが、過去にも同じことがありました。その経験が今でも自分の傷として残っているわけですが、それを続けていたらいつか身を滅ぼし、ヒーローにはなれないことをわかったうえで行動をするようになっていて。そこは彼にとっての成長なのかなと思います。ワン・フォー・オールも100%ではなく、コントロールをするようになっていきましたから。

この1クールでは、いろいろな状況に応じた戦い方をシミュレーションしながら人の戦闘を見ているんだと思いました。見えない部分ではありますが、きっとそういった分析力の成長は、今後どこかで見られる瞬間があるんじゃないかと思っています。

佐倉:たまにブツブツと分析している場面がありましたが、1話の頃のデクがちゃんと残っているんだとホッとしました(笑)。

山下:そこはもう、オタクとしての根底の部分だから(笑)。

佐倉:デクはどんどん先に行っちゃうから、たまにこういうシーンを見ると安心しちゃいます。

——デクのオタク気質なところは、お茶子も一番反応していました。

佐倉:そうですね。お茶子としてはそういうシーンを見ると、デクが最初から持っている良いところを残しながら成長しているということに安心するんだと思います。

山下:お馴染みのやつだ、みたいな(笑)。

佐倉:そうそう(笑)。これはお茶子も感じていると思うのですが、デクの変化とか成長は物理的にも精神的にも進化に近くて。いつか原型を留めなくなってしまうのでは?と思っているのではないかなと。

山下:危なかっしさもあるもんね。

佐倉:背負わされたものが大きすぎるからね。きっと他の人とは違う重たいものを背負っていることを、お茶子も感覚的に気づいているように思います。

山下:うん。薄っすらと気づいていると思う。

佐倉:お茶子は、デクを助けに行く直前のモノローグで「ヒーローを助けられるヒーローになりたい」と言いましたが、「ヒーローが辛いとき、誰がヒーローを助けてあげるんだろう」という考えは私も知らなかったので、この場面で彼女の内面を垣間見ることができました。

演じるにあたっても発見があって、テストのときにモノローグらしく淡々と演じているとき「今、そのモノローグのお茶子はどこにいるの?」とディレクターさんから聞かれたんです。それに対して「第三者的な目線だったり、過去のお茶子だと思って演じていました」と返したら「いや、今だ」と言われて。それは「お茶子が成長した“今”思っていることをモノローグで表現してほしい」ということでしたが、平和な回想シーンには少し似つかわしくない、シリアスで緊迫感のあるモノローグ演出になって。

私としては「そうか、きっとこのセリフもお茶子が成長していく中で、自分で掴み取っていた感覚なんだろうな」と思いました。昔から持っていたかもしれないけど、その思いを新たにしたのが今回のデクの成長で、感化されたお茶子も成長したんだと思います。なんとなく、その前の物間君との戦いで感じていました。あ、物間君をお散歩させているお茶子がとても可愛かったです(笑)。

――(笑)。

佐倉:でも、監獄に連れて行く途中に喋っている内容は物騒で、物間君がいろいろと煽ってけしかけてくるけど、それに対して非常に冷静に対応しているお茶子が印象的でした。きっと初期だったら全部顔に出ているし、デクのもとに走っていたかもしれない。だけど今回は、デクの言葉を信じて、自分でもしっかりと思考を巡らせ、最適解だと思うことをちゃんと選択できていて。そんなお茶子の成長を含めて、かなり変化したと感じました。

綺麗事を実践するときがついに!? 敵(ヴィラン)たちが動き出すドロドロの第2クールへ

——そんなワクワクするような成長が見られた第1クールから、今度はシリアスな第2クールへと突入します。

佐倉:第2クールのお話って……。

山下:後半は敵(ヴィラン)だね。

佐倉:トガちゃんとか、トゥワイスとかあっちのお話だ!

山下:洋画みたいだよね。

佐倉:たしかに『ジョーカー』とかの洋画っぽいよね。

山下:そうそう!『ヒロアカ』の大人バージョンみたいな。

——第1クールにはあまり登場しなかった敵(ヴィラン)たちが動き出します。

山下:今、グループに分かれてアフレコをしているんですが、一番掛け合いが多いメンバーで録っているので、敵(ヴィラン)側のお話になるとに僕らは取り残されてしまっていて。

一体どんな風に録っているのかわからないし、どんな仕上がりになっているのかわからないんですよ。蚊帳の外みたいな空気ではあるんですけど、僕はそれで良いと思っています。知ってしまうと変に影響してしまうかもしれませんし、僕自身影響されやすいので悲しいバックボーンとか知りたくないんです(笑)。

佐倉:知りたくないよね。倒せなくなっちゃう。

山下:だからオンエアは視聴者の方と一緒に楽しみにしたいと思っています。きっと、アニメならではの心を抉るような演出が入るでしょうし、敵(ヴィラン)連合推しが増えそうな気もしています。

佐倉:わかる。トゥワイスとかすごく可愛いところがあるから。

山下:そうなんです。ヒーロー派と敵(ヴィラン)派で分かれる怖さもありますね。

佐倉:『ヒロアカ』の好きなところでもありますがこういう正義と悪の戦いが描かれる作品で、私は「正義VS悪」だと思っていたものが「正義VS正義」に変わる瞬間がすごく好きなんです。好きというより「これでこそ」と言いますか。

現実世界でも「俺は悪だぜ」と言って悪になる人はあまりいなくて。自分が対峙している相手にも正義があって、向こうからするとこちら側が悪になっていると思うんです。結局、戦争ってそういうものじゃないですか。だから『ヒロアカ』でもそれが見られるのではないかと期待しています。きっと堀越(耕平)先生は敵(ヴィラン)側にもなにか考えを用意していると思うので。

山下:この作品はフックだらけなんだよね。

佐倉:2クール目はそのフックを解き明かすターンに突入していくのですが、本当に知らなければ幸せなことがたくさんあって(笑)。

山下:でも、知ったうえでどうにかしないといけないのもヒーローの形なのかな?なんて思ったりもしています。

佐倉:わかりあえなかったら暴力で解決するしかない、という悲しい運命とデクたちはどういう風に相対していくのかですね。

山下:本当にね。ヒーローとは綺麗事を実践する仕事だ、といったセリフがありましたけど、それを貫かないといけないときがきっと来るだろうなと。きっとまだ先のことだと思いますが、そういった意味でも2クール目はヘビーに映るのではないかなと思います。あと、今後は轟(焦凍)君の家に行きますよ。

佐倉:あぁ、そうだ!

山下:きっと轟君ファンは大喜びですよ。「家の構造はこうなっているんだ」とか(笑)。

佐倉:1クール目のパパ(エンデヴァー)の「既読スルーするな! 焦凍!」を思い出した(笑)。

山下:唐突な息子大好きパパだったもんね。

佐倉:エンデヴァーが出てきて、またなにを言い出すんだろう?と思っていたら「焦凍のアカウントを手に入れた」と(笑)。面白かったです。

山下:そんな不器用なエンデヴァーもまた見られるからね。視聴者のみなさんには家族の在り方や難しさみたいな家族物語も見てほしいです。いろいろな思いが詰まっていて、すごくほっこりすると思います。

——他に注目しているキャラクターはいますか?

佐倉:これからお茶子とも関わっていくことになるので、私はトガちゃん(トガヒミコ)です。すでにデクを挟んでなにかが起こる雰囲気がちょっと匂わされているじゃないですか。

山下:ドロドロしていくよね。

佐倉:『ヒロアカ』でこんなにドロドロな感情を見ることになるとは思わなかったです。これから放送されるそのドロドロ回の収録はいつも以上に背筋を伸ばして挑みました。

山下:トガちゃんは変身する“個性”だから、僕らが声をあてることがあって、彼女の気持ちで演じることがあるんですけど、オンエアではどうなっているのか気になります。

佐倉:今までも、茅原(実里)さんが演じられていた(現見)ケミィが出てきた際に、真似されたり乗っ取られることはあったのですが、今回はまたちょっと質の違う演じ方になっています。気合を入れて、様子を探りながら演じました。

山下:ナイーブなところでもあるからね。

佐倉:そう。トガちゃんのお話はすごく重たくて嫌なところもあるんです。

山下:メンタル合戦みたいになるので、視聴者のみなさん的にも、1話見たら休憩が必要になるかもしれません。

佐倉:人によっては今までみたいに勢いで全部見ることが難しいかも。

山下:カロリーが高いからね。1話1話の重みがあるので。先が気になってしょうがない展開になるとは思うんですけど。

佐倉:受け止めきれない人は休憩しながら楽しんでほしいです。

——なるほど。山下さんは気になっているキャラクターや注目ポイントはありますか?

山下:敵(ヴィラン)連合の動向はもちろんですが、個人的にはトゥワイスの葛藤に注目してほしくて。たまらないんです!

佐倉:トゥワイスは可愛いし、良い人だもんね。お芝居もすごく良かったです。

山下:そう! だから早く見てほしいんです。僕の気持ち的には、本当はヒーロー側にないといけないんですけど。

佐倉:でも、トゥワイスは人間臭さがあって、ヒーロー側にいそうなキャラクターだよね。

山下:どこかで分岐を間違えてしまったんだろうね。どのキャラクターもヒーロー側と敵(ヴィラン)側のどちらかに行く可能性もあったんだな、とトゥワイスを見ていて思います。そんなどこか憎めないキャラクターです。

きっとこれからのお話を見てもらったらトゥワイスのことを大好きになるんじゃないかなと思います。原作を読んでいたときも「うわぁ、トゥワイス!」となったのが、声が入ることでプルスウルトラされてしまうので。もちろんみんなそうなんですけど、絵が入って音が入ることで余計たまらなくなっちゃいます。そこは僕自身、完成版を見ることが楽しみです。

(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会
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