小野大輔さん、日野聡さん、菅沼久義さんとつくりあげる優しい作品――いしいのりえさん・岩田光央さんが“大人の女性の恋愛”をテーマに活動するカナタ、11年目の新シリーズ「トライアングル」特別インタビュー【後編】
小野大輔さん、日野聡さん、菅沼久義さんとつくりあげる優しい作品
――「トライアングル」の初回公演は、9月18日から京都と神奈川で行われます。どのような演になりそうですか?
岩田:神奈川公演はカナタで何度か使わせていただいているランドマークプラザホールですが、関西公演がキャパシティー920人の京都劇場です。この会場は京都駅に隣接している劇場で、劇団四季が使うような、僕らからすると敷居の高い立派な劇場なんです。正直に言うとビビっております!
――まだお話できない部分も多いと思いますが、物語の内容は?
いしい:物語の質がガラッと変わったので、気負わずに見られるんじゃないかと思います。いままではけっこうエッジの効いたテーマを提示をしてきましたが、「トライアングル」はみんながリラックスして、ニコニコ見られる作品になったと思います。
岩田:そうね。いままではヒリヒリした作品だったかもね。
――ですが、その緊張感も「あぶな絵、あぶり声」の魅力だったと思います。
いしい:もちろんそうです。我々が提示してきた大人の女性に向けた作品は、「恋愛は楽しいことばかりじゃない」というメッセージを含めてきました。でも、いまの時期はあんまりヒリヒリしたくないじゃないですか?(笑)
――いまの時期は、特にそうですね。
いしい:それに今回出てくださるゲストの3人は、すごく柔らかく、すごく優しい3人なので、物語も優しい気持ちになるように仕上がったと思います。見終わった方は、きっと優しい気持ちになって帰れるかなと思います。いままでの「あぶな絵、あぶり声」は、蓋を開けてみないと楽しいのか辛いのかわからなかったと思います。
岩田:受け止め方次第で、どんな感情になるかわからない部分もあったかもね。
いしい:「あぶな絵、あぶり声~霞~」の公演は内容が辛いお話だったので、公演中にべそべそ泣いている女の子がいました。あれは申し訳ないなぁ……と思いました。
岩田:悲劇を2連発だったからねぇ。でも、それがあったからできた効果もあるんだけど、さすがに辛かったかもしれませんね。
――今回の「トライアングル」では、その心配はいりませんか?
岩田:僕が読んだ感想は、このコロナの時期だからこそ作れた作品だと思いました。みんなが辛くて我慢して、ストレスが溜まってきている状態です。そんななか、優しい作品を書き上げてくれました。
いしい:そうですね。コロナ禍ならではの言葉も散りばめています。
岩田:カナタの作品は、ゲストのみなさんとのディスカッションで内容・方針が決まってくるんです。今回は小野大輔くん、日野聡くん、菅沼久義くんという、温厚な3人が集まってくれたから優しい作品になりました。
彼らはユニット「DABA」を組んでいるので、日常的に仲がいいようで。とても素敵なことなので、この関係性は作品に反映すべきだと、のりえちゃんも僕も感じました。
いしい:それは3人からのリクエストでもありました。物語のあらすじは、出版社に勤務する同期3人のお話です。
――なるほど! だから上司部下ではなく同期なのですね。
岩田:そして、もうひとり同期の女の子がいるんです……。