小野大輔さん、日野聡さん、菅沼久義さんとつくりあげる優しい作品――いしいのりえさん・岩田光央さんが“大人の女性の恋愛”をテーマに活動するカナタ、11年目の新シリーズ「トライアングル」特別インタビュー【後編】
「トライアングル」に込められた本当の意味
――「トライアングル」の意味は、もしかして三角関係という意味ですか?
岩田:それはどうでしょうねぇ(笑)。そして、岩田はどこにいるのか……。
――言われてみたら! でも出演者の欄に、岩田さんのお名前は書かれていませんが。
いしい:打ち合わせの初期のころの岩田さんは、「今回は演出に徹します」と言っていたんですよ。でも、ミーティングを重ねるごとに「出たい」という意欲が出てきてしまったようで……しまいには「僕も出たい」とか堂々と言うようになったんです(笑)。
一同:(爆笑)
岩田:いや、ちょっと僕にグチを言わせて!(笑) 今回は最初に声をかけた小野くんから、「日野くんと菅沼くんも入れて、3人でカナタをやったらすごく素敵ですよね~」と提案してくれたことがきっかけでした。僕もそのとき嬉しくなっちゃって、「それいいね、やろう!」とオファーしてしまったんです。そして、見事に素敵な3人が揃いました。でも、よく考えてみたら3人揃ったってことは、オレが出られないじゃん!
一同:(笑)
岩田:でも、そうは言っても、きっとどこかで出られるでしょ……と思ってたんです。
――登場人物がいたら、出られますね!
岩田:だけどよく考えたら、今回から題名を「トライアングル」に変えてるんです。「トライアングル」と名乗っておきながら、4人目の演者が出てきたらかっこ悪いじゃん!
――なるほど(笑)。
いしい:でもね、もともと「トライアングル」とタイトルをつけた理由は、「イラスト・音楽・演者」の3つを表現しているという意味だったんです。それがいつの間にか、「3人」とか「三角関係」とか、違う意味が出てきちゃって。
岩田:そうなんです。「トライアングル」って、いろんな捉え方ができるからいい言葉ですよね。本来のカナタの意味は、のりえちゃんが言ったとおり「イラスト・音楽・演者」のコンセプトなんです。
――ということは、岩田さんは出演できることになったのでしょうか?
岩田:それはまだわからないです……。完成をお楽しみにしてください。
いしい:補足しておくと、一応ここなら岩田さんが出ても大丈夫かな、という登場人物は出てきます。
岩田:でも、そこに僕が出て流れを壊してしまったら意味がありません。演出で効果的だったら、もちろん出たいです。どうなるかはわかりませんが、現段階では出演に否定的ですね。演出としては否定的だけど、演者としては出たい!
――答えが出ませんね(笑)。
岩田:そうなんですよ。だから、スタッフのみんなには「しばらく考えさせてください」と言ってます(笑)。いまは自分のなかで、頭の中で作品がぐるぐる回っていて、ぐっちゃぐちゃです。
――最後に「トライアングル」は、どのような方に見ていただきたいですか? 「あぶな絵、あぶり声」から変化ありますか?
いしい:いままでのカナタを踏襲していますが、この先の10年を見据えた作品になったと思います。なので、いままでのカナタが好きな人だけでなく、気になった方には見てほしいです。
この時期なので劇場に足を運ぶのをためらう方も多いと思いますが、そんな方々のために、「10th Anniversary」で培った配信技術を駆使したオンライン中継も行います。私は「10th Anniversary」を、自宅でお酒を飲みながら見ました。劇場もいいけど、あれはあれで、新しい楽しみ方だなと思いました。みなさんがお好きなスタイルで、カナタ「トライアングル」に触れていただきたいと思います。
岩田:いよいよカナタの11年目がスタートします。「あぶな絵、あぶり声」シリーズから大幅にリニューアルしたカナタを見せられると、僕たちもワクワクしています。18歳以上のくくりを撤廃し、多くの女性のみなさんに観ていただけるようにしました。
だからと言って、僕たちのコンセプト「大人の女性のための上質な作品」は変わっていません。若い女性のみなさんは、ちょっと背伸びしているような感覚で見ていただけるんじゃないかと思います。
演出家としての僕にとっても、今回のリニューアルはとても大きな意味があります。どのような演出ができるのか、どのような素敵な表現ができるのか、楽しみながら作っています。
みなさんに没頭していただけるような空間・作品づくりをしているので、完成を楽しみにしていただきたいです。