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- 逆井マリ
- 神奈川県横浜市出身。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。
──曲に関してはいつも朱夏さんからメモを渡すことが多いじゃないですか。「もう無理、でも走る」はいつもとは違う形で生まれた曲ですけど、他の曲に関してはどうだったんですか?
斉藤:基本的には全部歌詞のプロットを書いています。例えば3曲目「恋のルーレット」、4曲目「ぴぴぴ」もそうです。
──2曲目の「パパパ」もですけど、「恋のルーレット」「ぴぴぴ」も甘酸っぱい恋愛曲ですね。
斉藤:どちらも片思いの曲なんですけど、片思いの曲を書くのにハマっていた時期で(笑)。小説や少女漫画とかを読んでいる中で「片思いがいちばん楽しい気がする!」って。両想いになるといろいろトラブルも発生するじゃないですか(笑)。片思いだからこそ辛いこともあるとは思うんですけど「いつ両想いになれるかな」「いつこの想いを伝えられるんだろう」とかってワクワクがあると思うんです。それに恋をする女の子ってどんどん可愛くなるんですよね! 友だちが「なんか可愛くなった!」って時は、聞いてみると大体「好きなひとができた」と言われることが多くて。
片思いをしてると、外見を気にするようになるんですよね。「好きな人できたの?」「最近どうなの?」って。髪形とかのちょっとした変化にも気づくんですよね。気になったら聞きたくなっちゃって。
──朱夏さん、結構ダイレクトに聞くんですね(笑)。
斉藤:めっちゃ聞きます(笑)。
そういうこともあって、2曲とも片思いの曲になったんです。「恋のルーレット」は初恋のお話で、友だちから好きな人に変わっていく話なんですけど、友だちが好きなひとに変わる瞬間ってすごくドキドキすると思うんです。そこから恋ってルーレットみたいだなって思って、プロットにしてケイさんに渡しました。
──「恋のルーレット」の作曲は、1stシングルで「36℃」を手掛けられたにおさんですね。
斉藤:いくつかデモ曲があったんです。この曲自体は結構前からあったものだったんですけど、「恋のルーレット」の内容にこのメロディが合っていて。におさんのメロディの作り方がすごくオシャレで、一癖あるんですよね。だからこそ難しいんですよ(笑)。「なんかここ、半音上がってます!?」って。苦戦はしますけど気持ちの良いメロディなので、歌っていても気持ち良かったです。
──その1stシングルのもうひとつのタイトル曲が「パパパ」、期間限定盤に収録されていた「しゅしゅしゅ」、そして今度は「ぴぴぴ」で。
斉藤:もうみんながザワついてました(笑)。「ぴぴぴ!?」って。この曲は、もともと夏祭りを舞台にした曲だったんです。夏祭りの人混みの中でも、好きな人がいると「あ、いた!」って不思議と気づくと思うんですよね。そういうのってどこかにアンテナを張ってるんだろうなって。それで<ぴぴぴ アンテナ 君にアンテナ 伸ばすんだ>というサビになって。だったら、タイトルも「ぴぴぴ」でしょ!って。別の仮タイトルがあったんですけど、「パパパ、しゅしゅしゅ、じゃあ次は“ぴぴぴ”が良い」って自分からお願いしました(笑)。
──次は「ぷぷぷ」なのかなって……(笑)。
斉藤:それ、すっごいいろいろな方に言われますね(笑)。「これシリーズ化していくの!?」って。2曲目に「ぱぱぱ」が入ってるので、姉妹のような楽曲として思ってもらえたら嬉しいなって。どちらも恋の曲ですしね。
──姉妹といいつつ、あえて間に「恋のルーレット」を挟んでるというのが面白いですよね。
斉藤:そう。「そこはつながないんだ!」っていう(笑)。初恋の甘酸っぱさを挟んでから「ぴぴぴ」にいってほしいなという気持ちがあったんです。「ぴぴぴ」はもうちょっと、いろいろな恋愛を経験した女の子のお話なので。
「ぴぴぴ」は初恋というより、楽しい片思いを描きたかったんですよね。<君の前じゃ大きい声で笑ってみようかな><君の前じゃ大げさにはしゃいでみようかな>っていうのは、好きな人の前だとそういうことをしたくなっちゃうよねって。好きなひとにちょっとでも気にかけてもらいたいじゃないですか。「あれ、あいつの声聞こえるな」って思って欲しいからこそ、ふざけてしまう。個人的にはこの「ぴぴぴ」の女の子のイメージって「くつひも」の主人公に近くて。普段はポッケに手を突っ込んでるような女の子。男子とも仲が良いけど、好きなひとの前だと照れくささもあって、でも気にして欲しいからはしゃいでしまう。
──ああ、なるほど! クラスに一人はいる……!
斉藤:そう! クラスにひとりはそういう子いるんですよ!(笑) そういう子いるなぁって思い出しながら書いていました。
──スカ調の曲なので「Your Way My Way」と同じく、盛り上がる曲になりそうですね。
斉藤:レコーディング中はよく「しゅかパラ」って言われてました(笑)。
──しゅかパラ(笑)。朱夏さん、スカやパンクとの相性がいいですよね。
斉藤:それも言われますね。声質なのかもしれないんですけど。だからアルバムなどのタイミングで、自分でもこういう曲を入れたくなるんです。
──で、スカ調の曲があったかと思ったら、6曲目にはカントリー調の「あめあめ ふらるら」もあって。作曲・編曲は山口隆志さんですね。
斉藤:ぐっさんです。カントリーは初めて挑戦しました! アルバムの中ではいちばん難しかったです。プリプロの段階でケイさんが歌ってくれたものが届くんですけど、ケイさんも「難しい」って言ってました。でも歌ってて気持ちの良い曲なので、「すっごい良い曲だな、これ!」って。聴いてると「あ、歌えそう」と思うのにカラオケで歌おうとしたら全然歌えないってタイプの曲です(笑)。
──すんなり入ってくるんですよね。こんなに聴きやすくコーティングされているのに、歌うとなるとやはり難しいんですね。どういうところから生まれた曲なんでしょう?
斉藤:「あめあめ ふらるら」は日常会話から生まれた曲なんですよ。「またあした」もそうなんですが、今回のアルバムはケイさんと話していくなかでできあがった曲が多かったです。制作期間が半年あったことで、いつもの制作時の倍以上話していたように思います。で、いつの間にか違う話になってることも(笑)。
──でも脱線している話の中から、ハヤシさんが心情を拾ってる感じもします。
斉藤:そうなんですよ。全部それと言っても過言ではないです(笑)。特に「あめあめ ふらるら」はそうで。ケイさんと学生時代の話をすることが多かったんですよ。あと私自身が「休日は絶対に洋服に着替えて1日1回は外に出る」って話とか。休日でも休みっぽいことをしないって言ったら「たまにはパジャマのまま過ごしても良いんじゃないんですか」って言われて「確かにそうだな」って。
──気持ちの切り替え的な意味で、着替えて外に行くようにしてるってことですか? 朱夏さんのメンタルのお話、すごく興味があります。
斉藤:ありがとうございます(笑)。小さいときは「パジャマでもいいや」って思ってたんです。掃除もすっごく苦手なタイプだったんですよ。漫画の『スイッチガール!!』のような感じです。
──意外。部屋もすごく綺麗にされてるイメージがあります。
斉藤:いまは掃除が大好きで、リモコンの位置も決めるタイプになりました(笑)。部屋って心とつながっているものだと思うので、常にピカピカにしておきたいなって。私が小学校1年生のときから飼っていたワンちゃんが亡くなってしまったタイミングでそうなったんですよね。「ちゃんとしなきゃ」「綺麗にしないと」って。そこから絶対に着替えるようになって。でももともとテキトーな人間だったので「あめあめ ふらるら」の<掃除してたのにな 余計に散らかった部屋>という言葉を見たときに「めっちゃ分かる!」って。
──<押し入れの奥に着なくなった洋服 お気に入りだったのに いま広げたら変な動物の柄が>っていうのも「あ~分かる」と思いました(笑)。
斉藤:そうなんですよね! 洋服が大好きなのでいろいろ買っちゃうんですけど、中には着ていない服があって、よく見ると「なんで買ったんだろう?」って(笑)。
「想い出に浸っちゃうからどんどん(モノを)出したくなってしまう」って話になったときに「そうなったら、私は一回切り替えてからまた掃除します」って言ったら「良いんですよ明日で。たまには休みましょうよ」って。確かにそんな日もあっていいんだな、って気づかされた楽曲ですね。
──さっきのお休みの話しかり、朱夏さんがそう思うことで「休んで良いんだよ」って心から言えますもんね。
斉藤:そうなんですよ。ちょっと話が変わるんですけど、ファンの方から「頑張りたいけど頑張れないときがある」って相談があって。私だけの意見だとひとつに固まってしまうので、ひとの意見が聞きたくて、ケイさんに「そんなときは頑張らなくてもいいよねって言いたいんですけど、ケイさんだったらどう答えますか?」って聞いたんです。そういう話も相まって出来上がったのが「あめあめ ふらるら」です。
[インタビュー・逆井マリ]
神奈川県横浜市出身。既婚、一児の母。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。パンクからアニソン、2.5次元舞台、ゲーム、グルメ、教育まで、ジャンル問わず、自分の“好き”を必死に追いかけ中。はじめてのめり込んだアニメは『楽しいムーミン一家』。インタビューでリアルな心情や生き方を聞くことが好き。
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※特典は無くなり次第、終了とさせて頂きます。ご了承下さい。
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