劇場版第3弾『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』山下大輝さん×岡本信彦さん×梶裕貴さん 映画公開後インタビュー|“不可能を超えろ”は多くの人に刺さるテーマ
世界を救え。不可能を超えろ──原作コミックスのシリーズ世界累計発行部数が5000万部を突破する「僕のヒーローアカデミア」の劇場版第3弾『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』が大好評上映中です。公開12日目で早くも『ヒロアカ』歴代映画シリーズNo.1ヒットを記録し、本日(8月28日)からは"4D WORLD SMASH 上映"もスタートしました。
『僕のヒーローアカデミア』(略称ヒロアカ)は、堀越耕平先生によるアクションバトル漫画。人口の8割が“個性”と呼ばれる超常能力を持つ世界で、“無個性”で生まれた主人公・緑谷出久が、多くのプロヒーローを輩出する名門校でプロヒーローを目指して成長していく。原作者・堀越耕平先生が総監修&キャラクター原案を手がけた本作では、冬のヒーローインターン中に巻き起こる劇場版オリジナルのストーリーが描かれます。
8月7日(土)に行われた舞台挨拶後、おそろいのTシャツ姿で取材に応じてくれた山下大輝さん(緑谷出久役)、岡本信彦さん(爆豪勝己役)、梶裕貴さん(轟焦凍役)。ヒーロー演じる3人に、映画にまつわるエピソードをたくさんおうかがいしました。
待望の最新作はワクワクと緊張。
――第2弾のときに堀越先生が「マンガの最終回の1つとして考えていたものを使いました。もう第3弾はないかもしれません」とおっしゃっていましたが、待望の第三弾となる映画の公開です。お話をいただいたときは、どのようなお気持ちでしたか?
山下大輝さん(以下、山下):最後の次ってなんだろうなって。第一弾『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~』で師弟の共闘を描いていて、第二弾『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』でライバルとの共闘、そして個性の譲渡という、大きな出来事を描いていて。ヒロアカには“Plus Ultra<プルスウルトラ>”というテーマがあるので、このさらに向こうにいくにはどんな内容なんだろう?ってワクワクしました。どんな“Plus Ultra<プルスウルトラ>”をしてくれるんだろうって。何が起こるかは分からないけど、きっととてつもないことが起きるんだろうなという予感がありました。
岡本信彦さん(以下、岡本):ワクワクしたんだ、素晴らしいね……!
山下:しました! 岡本さんは?
岡本:語弊があるかもしれないけど……気が気じゃなかったところもあって。というのも、第2弾が最終回のつもりで挑んでいたから。
前回の収録は大輝くん、(活真役の) 寺崎裕香さん、(真幌役の)黒沢ともよさんで、10時間叫んだんです。もうゾーンに入っている状態というか、頭がクラクラしてて、記憶も定かじゃない。普段は考えながら演技しているつもりですけど、思うがままやってる感覚があって。他にもいろいろな要因があって「もうあれ以上のものは出せないかもしれない」と思っていたんです。でも台本を読んだら、デクが「勝手に限界を決めるな」と言ってて。
山下:怒られた(笑)。
岡本:そう、で「ごめんなさい」と。で、改めて頑張りました!
梶裕貴さん(以下、梶): (話を聞いて少し驚きながら)岡本くんがそんなふうに思うってすごいね。いい話だ。
岡本:(アフレコでのやりとりにおける)掛け算ってあると思っていて。他力本願というと言葉が悪いですけど、自分ひとりじゃなく、みんなで掛け算をして、より大きなものになった感覚があったんです。今回は(こうしたご時世ということもあって)俺と梶くんはひとりでの収録だったんですね。正直に言うとみんなとアフレコしたかったという気持ちはあります。
――ひとりで限界を超えなければならないという。
岡本:そうなんです。「自分ひとりでどこまで出せるか、どうする!?」って。大きなスタジオでの収録だったので、大輝くん、梶くん、ロディ役の吉沢(亮)さんと4人で収録に挑めるんじゃという淡い期待があったんですけどね。梶くんは第二弾の時もひとりだった?
梶:ひとりだった。だから正直、いまの岡本くんの話を聞いててすっごく羨ましいなと思ったな。4人で10時間叫び続けるって、当然大変でしょうけれど…その分キャラクターとしての見せ場も、やりがいもあるだろうから。
なので、そんな第二弾のタイミングで先生が「最後かも」とおっしゃっていたので…今回の第三弾の話を聞いたときは驚きました。でも、すごく嬉しかったです。内容に関しては、僕らも皆さんとほぼ同じ時期に知るような形で。だから、予告を録ったときに初めて作品の概要に触れたんですよね。僕たちも詳細がまったく分からない中ではあったんですけど、でも予告に轟もいたので、今回もしかしたら3人のうちのひとりに入れてもらえるのかなって。でもぬか喜びはしないようにしよう、と(笑)。
岡本:(笑)。じゃあキービジュのステルススーツで3人が立ってる姿を見た瞬間に──。
梶:「これはイケる!」って。
一同:(笑)
岡本:あれでないわけないもんね!
梶:いっぱいセリフ喋れるのかなって嬉しかったです(笑)。昨日(金曜ロードショーで放送された)第一弾の映画を見て、Twitterで実況はじめたものの「あれ、轟なかなか出ないなぁ」って(笑)。
岡本:「そんなに出てなかったの!?」って思ったよね(笑)。
梶:そう(笑)。あと昨日第一弾を見て、改めて本作と比較して考えてみると、「キャラクターたち、成長したな…」って心から思いますね。
山下&岡本:分かる!
誰にとっての正義で、誰にとっての悪なのか
――改めて今作を拝見された印象を教えていただけますか?
岡本:前半戦のテンポが軽快で、素晴らしくて。僕の周りのスタッフも言ってたんですが、ヒーローの紹介がハリウッドのようでゾクゾク、ワクワクしました。で、ちゃんと休憩できるパートもあって。
山下:ワクワクを煽ってましたよね。
梶:そうそう。オリジナルキャラクターのロディ(cv.吉沢亮)がいることでコミカルさとリズムが生まれていて。パンフレットの(原作・堀越耕平先生の)コメントに「原作でシリアスな展開が続いているからこそ、ヒロアカのもうひとつの魅力であるコミカルさを劇場版に入れ込みたかった」というようなことが書かれているのを拝見して。ロディが、まさにその役割を担ってくれているんだなと感じました。中盤くらいまではテンポよく……まあ、途中に大事件が起こるので、気軽に、とまではいかないですけど、エンタメ要素も含めて最後まで楽しみながら観ることができて。さらに、終盤には第一弾、第二弾を凌駕するかのようなシリアスさもあって。
岡本:後半はずっと戦ってますから。
――世界中の“個性”保持者の殲滅を目論む謎の組織・ヒューマライズが各国に仕掛けた爆弾を巡って、クライマックスに向けてヒーローたちが奔走します。
梶:今回、敵として描かれているヒューマライズという組織は、緑谷たちからすれば、もちろん"悪"ではあるんですけれど…もともとは思想団体なわけで、それも究極のところ、考え方の違いなんですよね。彼らも、悪事を働きたくて働いているわけでは決してなくて。中には、そんな人もいるかもしれないですけど、でも、絶対に全員がそうではないんです。そう考えると、“誰にとっての正義で、誰にとっての悪なのか”がひとつのテーマでもあるのかなと。ただ、ちょっとやりすぎだなってところは多々ありますけど(笑)。
岡本:バランスの問題だよね。それって現実世界でも言えることだけど。
山下:そうですねぇ。 でも爆弾はやりすぎですよね(笑)。でもそれを信じてる人たちもいる。そこがなんとも言えなくて。
岡本:そうなんだよね。本当に救済を求めてる人たちもいるっていう。
梶:しかも緑谷も、もともとは“無個性”だったわけで…ヒューマライズに対して感じ入るところもあったんだろうなって。
山下:そうなんですよね。分かるようなところもあったんだけど……それでも諦めず“信じ続ければ”……ってところが大事なのかなって。
梶: “諦めない”っていうのは、今回のキーワードだよね。
山下: “限界を超えろ”ってところなんですよね。それこそ、さきほどさんが──。さきほどさんじゃない、信彦さんがさきほど言ってた通り……
一同: (笑)。
岡本:(真顔で)どうも、さきほどです。さっきーといいます。
山下:アハハハハハ。ごめんなさい、ごめんなさい!
一同: (しばらくみんなで笑い続ける)
岡本:あー面白かった。で、なんの話だっけ(笑)。
――(笑)。“限界を超えろ”のお話でした。
山下:すみません!(笑) さきほど信彦さんもおっしゃっていましたが “限界を自分で決めてはいけない”といった言葉や、今回の作品のキャッチコピーでもある “不可能を超えろ”っていろいろな人に刺さるテーマなんじゃないかなと。現実社会でも諦めてしまうタイミングがあると思うんです。もう一押しなんだけど、そのもう一押しがしんどい。そこをもう一歩頑張ってみようかなという勇気をくれる作品なのかなと思います。
――まさに「Plus Ultra<プルスウルトラ>」の精神というか。
山下:そうですね。すごく前向きになれると思います。大人の方、子どもたちとで、また見え方が変わるんじゃないかなって。シンプルに「かっちゃんカッケー!」「轟さんカッケー!」って感じで見ても面白いですし、初めて見る人がロディ目線で見ても良いと思う。いろいろな角度から見られるって面白いですよね。
――山下さんはロディ役の吉沢さんとおふたりでアフレコをしたんですよね。
山下:そうですね。掛け合いのある部分を一緒にやらせていただいたんですが、一緒にできるってことの尊さを感じました。やっぱり一緒にやってなんぼの掛け合いがヒロアカにはあって。
岡本:うんうん。
山下:前回でいうと、やっぱりかっちゃん――信彦さんがいなければできなかった掛け合いってすごくあったので。
梶:前回はそうだろうねぇ。
山下:一緒に空気感を作り上げて、一緒に叫んだからこそ、到達できた場所というところがあったんですよね。今回デクはロディとほぼほぼ一緒に行動するので、吉沢さんと一緒に録れてよかったです。むしろ、今振り返れば、一緒に録れなかったとしたら恐怖がエグい(笑)。
岡本:全然違うだろうね。
山下:考えるだけで怖いです。だから一緒に録れてよかったです。