あなたはどうやってBLを選んでいますか? BLの楽しみ方は十人十色! BL愛好家座談会【BL塾・連載第8回】
座談テーマ③「マンガ以外のBLの楽しみ方」
石橋:ちなみにみなさん、マンガ以外のBLコンテンツに触れることもあるんですか? 僕が触れてきたBLコンテンツはマンガとアニメだけなので、気になりました!
ゆぴ:最近はあまり聴かなくなったけど、以前はドラマCDがめっちゃ好きでした! 中高生の時は寝る前にドラマCDを聴くのが日課で。アメリカに住んでいた当時は学校や習い事の送り迎えが全部車だったから、親が運転している後ろでドラマCDを聴いてニヤニヤしていました。それでお母さんに「あんた何でニヤニヤしているの……?」と不審がられることもあったなぁ(笑)。
一同:あははは(笑)。
太田:僕は基本的にマンガが好きなので、マンガが多かったですね。ただ、3年くらい前に二次創作(※4)の活動をしていて、その時は小説を読んでいましたし書いてもいました。当時好きだった某ゲーム作品の女装キャラクターが好みだったので、「これはキタ!」と思って(笑)。
※4:二次創作
主に、存在する作品の設定、世界観、キャラクターなどを利用して、個人的な創作を行うこと。
一同:へー!
ゆぴ:私は「角川ルビー文庫」のBL小説は読んでいましたね。『純情ロマンチカ』が好きだったからスピンオフ作品の『純愛ロマンチカ(※5)』も買って読んでいたなぁ。
※5:純愛ロマンチカ
角川ルビー文庫刊行、著書・藤崎都さん。中村春菊さんのマンガ作品『純情ロマンチカ』に登場する宇佐見秋彦が作中に執筆している小説をスピンオフ作品としてノベライズ化した作品。
阿部:「BL小説といったらルビー文庫」という印象があるよね。私がBLを好きになったキッカケでもある『好きなものは好きだからしょうがない!!(※6)』もルビー文庫だったし。
※6:好きなものは好きだからしょうがない!!
2000年に女性成人向けゲームレーベル「プラチナれーべる」から発売された商用では初となる18禁ボーイズラブアドベンチャーゲーム。シナリオの沢城利穂さん、キャラクター原案のつたえゆずさんを迎えてゲームリリース同年に角川ルビー文庫から小説版が発売。
ゆぴ:小説の方が性描写が露骨でエロいというイメージがある!
阿部:小説は文字だけだから表現の自由度があったのかもね。性の知識が豊富だったり想像力が豊かだったりするほど、小説は楽しめるんですよ。
ゆぴ:脳内補完ができるからね! 知識のある人が楽しめる高尚なコンテンツ。
太田:独特の言い回しが多いですからね(笑)。
阿部:性行為中の擬音とか、知識があれば何が行われているかが分かるから楽しい。
ゆぴ:それでいうと、ドラマCDも同じかも!「この擬音はなんだ?」「大洪水の音がしているけど大丈夫!?」とか思っていましたもん(笑)。想像力が掻き立てられる! 衣擦れの音とかもするから、自分のベッドのすぐ横でまぐわう二人を想像していました。
石橋:一足早いVRですね(笑)。ヘッドマウントディスプレイをつけていないだけで(笑)。
ちなみにアニメイトでは「ポケットドラマCD」というサービスがあって、BLのドラマCDも充実しているので、気になった方はこの機会にぜひ利用してみてください!
阿部:唐突な宣伝(笑)。
石橋:(笑)。仕事でBLドラマCDの収録立ち合いをしたことはあるのですが、自分が楽しむために聴いたことはなかったので、聴いてみたいなと思いました!
座談テーマ④「BLのエロ許容度」
阿部:エロの話しが出てきたので、私からもみなさんに質問が。BLって性描写のあるコンテンツが多いじゃないですか。みなさんのBLのエロ許容度について知りたいです。
太田:特段エロいのが好きというわけではないですけど、初手が『LOVE STAGE!』だったので、エッチなシーンは問題なく読めます。「恋愛が主軸である以上、好きどうしだったらそういうことをしなきゃ不健全だろう」という考えもありますね。
とはいえ、僕は性描写込みでキレイな作品が好きです。それから、性描写にも必然性や意味を求めてしまうかも。何の前触れもなく性行為が描かれている作品も読めますけど、「なぜ?」と思ってしまいます(笑)。
阿部:太田さんはエロを含め、一貫して「キレイ」「必然性」が重要なポイントなんですね。ゆぴちゃんはBLのエロ許容度についてどうですか?
ゆぴ:私は『純ロマ』に出会った当時、エロにすごく興味があって。それまで女子の読むエッチなマンガといったら「少コミ」くらいしか知らなかったから、『純ロマ』を初めて読んだ時、「エロ!」と思ったんだよね。少女マンガにはエロの限度を感じていたけど、それをBLが軽々と超えていった。それがBLにハマった理由でもあったかも。エロ本を買うような気持ちでBLマンガを買っていました。徐々にストーリーありきのエロがいいと思うようになって、そこからはエロだけの作品は買わなくなっちゃいましたね。
阿部:分かる分かる。
ゆぴ:かつては「エロければエロい方がいい!」と思っていて、特定のエッチなプレイを集めたアンソロジーを買ったり、ドラマCDのエッチシーンだけを集めたCDをつくったりしていました。当時はエロに対する探究心が凄まじかったな(笑)。
一同:あはははは!
ゆぴ:BL以外の性描写で性的興奮を感じなくなって、「歪んだ性癖になってしまった……」と悩んだ時期もありましたよ(笑)。
石橋:それは大変(笑)。僕はBLの性描写を見て、エロいなと感じはします。「これはエッチですよ」という信号を受け取ったから理解はできる。だけど、性的興奮は感じないなぁ。
阿部:私はゆぴちゃんの気持ちすごく分かるかも。私はエロに対する興味がかなり早熟で、いろいろなコンテンツを見てきていたんだけど、どの作品を見ても女性が受け身なことにずっと違和感を覚えていて。みんながみんな望んでこの性別・身体に生まれたわけではないのに、基本的に受け身であることへ不公平さを感じて、エロを楽しむ気持ちより引っかかりの方が大きくなっていた。そんな時にBLと出会って、純粋にエロを楽しめるようになったんですよね。だから、BLで性的興奮を感じるのはすごく理解できる!
ゆぴ:その話しを聞いて安心しました。もっと早くそんな同志と出会っていたかった……。
太田:僕もいけるかいけないかで言ったら、全然いけますね。
一同:全然いける(笑)。
太田:自分の中で性別の境目がないのかもしれません。話しは少し逸れてしまいますが、10年以上「来世は美少女になる!」と言い続けていて。来世に行く時に神様へ見せる用のメモ帳があって、そこにミリ単位で理想の顔の構造を描いているんですよ。
阿部:そのメモ帳、気になり過ぎる(笑)。
太田:神様に見せる用なので、現世では誰にも見せないと決めているんですけど(笑)。そういうことを思って生きているから、男女でも百合でもBLでも等しく性的興奮を感じることは可能です。
石橋:なるほどなぁ! BLエロ許容度の話しでも人それぞれというのが分かった……勉強になる!