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BLの楽しみ方は十人十色! BL愛好家座談会【BL塾・連載第8回】

あなたはどうやってBLを選んでいますか? BLの楽しみ方は十人十色! BL愛好家座談会【BL塾・連載第8回】

太田プレゼンツ「美しくも儚い作品」

太田:性癖に忠実な作品を3つ用意してきました(笑)。短編集に収録されている物語をメインに紹介していきます。
1作品目は『フタリボッチシンドローム(※11)』に収録されている『センとジウ』。千年の寿命を持つ「セン」と十年の寿命を持つ「ジウ」という男の子が登場するお話です。


**※11:フタリボッチシンドローム
一迅社にて刊行された鈴白ねりたさんのマンガ作品。3つの短編が収録。表題作『フタリボッチシンドローム』はお互いだけがいればいいと信じて疑わない兄弟どうしの優しく切ない物語、同時収録の『Kの魔法』は男子高生どうしの甘酸っぱい片思い話、『センとジウ』は神様の気まぐれで生み出された千年の寿命を持つセンと十年の寿命を持つジウの切ないファンタジー作品。


太田:センは千年の寿命があるから成長速度が遅く、ジウは十年しか寿命がないからセンよりも早く成長して、先に寿命を迎えてしまう。その代わり、ジウは生き返る。ただし生き返る前の記憶は蘇らない。記憶はないけど、ジウは何度もセンを好きになる。それを何度も何度も繰り返すんですよ。

センはジウへの好意を理解すると同時に、ジウを失う悲しさを抱えながら大人になっていく。死生観を理解していくなかで生まれるセンの葛藤が、美しく、とても切ない。ストーリーの美しさだけでなく、絵もとても美しくて。そして、センが大人になると僕の性癖である「美人」になるのもポイントです(笑)。『センとジウ』は中盤に収録されているから試し読みが絶対にできないページなので、「表紙買いしてよかった~!」と思いました。

もちろん『フタリボッチシンドローム』に収録されている作品はどれもよくて。短編集ではあるものの収録作品の数は少なめなので、短編集特有の「世界観を掴む前に終わってしまった……」みたいな物足りなさを感じないのもオススメです。先ほど作家買いは信頼できるとお話しましたけど、作者の鈴白ねりた先生はTL(ティーンズラブ)マンガで弟女体化作品を描いていて、そちらも買ってしまいました(笑)。
次に紹介する『徒花ラメント(※12)』も短編集です。「徒花」は「咲いても無駄な花」、「ラメント」は「悲哀・嘆きの歌」といった意味があります。タイトルの意味通り、どの作品も切ない哀愁に満ちたお話で、艶やかさを感じます。


※12:徒花ラメント
一迅社にて刊行された秋月ルコさんのマンガ作品。5つの短編が収録。表題作『徒花ラメント』は7年前に突然姿を消した兄を持つ奉公人の香作と、兄と間違えて声をかけてきた町の仕立て屋の主・灰青の切ない恋囃。愛を恐れる者、愛を尊ぶ者が繰り広げる恋物語集。


太田:表題作の『徒花ラメント』は、江戸時代が舞台の物語です。とある事情で失踪してしまった兄の記憶を抱えながら生きる主人公が、兄のことを知っている男と出会い惹かれ合っていきます。惹かれ合うものの、兄に絡んだ複雑な事情から葛藤を抱えている。そんな一筋縄ではいかない恋愛模様が、艶やかに美しく描かれています。

ほかにも江戸~明治あたりが舞台の短編が2つ、現代が舞台の短編が2つ収録されています。現代の物語だと同時収録の『MEOW』という作品も好きです。抱かれることに対して何とも思っていないビッチな受けが好きなんですけど、こちらはまさに理想の受けでして(笑)。お互いに好意はないけど、性的な関係を結んでいた二人がとある事情をキッカケに自分の気持ちに気づくという、なかなか上手くいかない恋愛が描かれています。どの作品も受けが「美人」なのがポイントです。中にはハッピーエンドとは言えない物語も収録されているので、儚くて切ない物語が好きな方にオススメしたいなと思います。

最後に紹介するのは『花のみやこで(※13)』です。BL愛好家のみなさんならご存知の方も多いと思いますが、入れずにはいられない作品として持ってきました。宝井理人先生の名作『花のみぞ知る(※14)』のスピンオフ作品となります。


※13:花のみやこで
大洋図書にて刊行された宝井理人さんのマンガ作品。『花のみぞ知る』のスピンオフ作品。医者の次男として生まれた辻村基晴と、辻村の幼い頃からの友人にして想い人の蓮見晶。家柄の違いにより結ばれぬ二人の切なく悲しい、けれども優しい恋物語。同時収録には『花のみぞ知る』の後日談も。

 
※14:花のみぞ知る
大洋図書にて刊行された宝井理人さんのマンガ作品。天然ワンコ系の有川と繊細美人な御崎、二人の男子大学生が織りなす穏やかでじれったいラブストーリー。ゆっくりゆっくり変化していく二人の関係が繊細な絵柄とともに感じられる作品。

 


太田:表題作の『花のみやこで』は『花のみぞ知る』に登場する辻村先生というキャラクターの過去を描いた物語、後半は『花のみぞ知る』の後日談が収録されています。自由恋愛の末に結ばれることより、世継ぎを重きに置く時代。ずっと想っていた友人と二人きりで過ごした特別な4日間を描いたお話です。男性どうしの恋愛ならではの苦悩や葛藤の末、結ばれずに終わる二人の姿がとても悲しく切ない。物語の最後に「一生忘れられない枷をはめられたのは僕の方」というセリフがあって、グッときてしまいました。この作品を読むことで、『花のみぞ知る』で先生が発していたセリフの意味が理解できたり、セリフの見方が変わってきたりします。「そういう過去があったから、その言葉が出たのか」と。

宝井先生は繊細で美しい絵柄と、セリフのオシャレな言い回しが魅力的。絵とセリフすべてがキレイな作品です。後半は『花のみぞ知る』の続きなのでぜひ本編も読んでほしいところですが、前半の『花のみやこで』は単体でも楽しんでいただけます。結ばれないお話ではありますが、ただ絶望なだけではなく、優しい気持ちになれる読後感です。とにかく最後にすべてが詰まっているので、ぜひ読んでみてください。

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