『テニプリ』の新作映画は3DCG! 原作 許斐 剛先生が製作総指揮を務める『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』越前リョーマ役 皆川純子さんの感想は「先生は攻めたな」。先生いわく、「全人類に見てほしい!」/インタビュー
テニスのプロプレイヤーがモーションキャプチャーを担当。先生がモーションアクターをやるという提案も!?
――3DCGだからこそできたことを挙げるとすれば?
許斐:今回、モーションキャプチャーのシステムが採用されていて、テニスのフォームもリアルに見せることができました。最初、スタッフの方から「テニスシーンのすべてのモーションキャプチャーをやってもらえますか」という提案をされて。編集の担当者はすごく反対しましたが、私は「大変そうだけど、エンドクレジットで『モーションキャプチャー 許斐 剛』とクレジットされるのは面白そうだな」と(笑)。
そのことは制作終盤まで言われていましたが、最終的には『テニプリ』とリョーマが好きでテニスを始めて、今やプロテニスプレイヤーとして活躍している徳田廉大選手に、リョーマになってもらおうと連絡したら快く引き受けてくれました。リョーマがボールを打っているシーンで「このフォアハンドは徳田選手だ!」とわかったりすると、縁や運命を感じたりします。
また、カメラワークがすごくいいですね。いろいろな角度から表現できる技術は素晴らしいし、背景を見ているだけでも楽しくてワクワクします。
――皆川さんにとって、今回リョーマが3DCG化したことで演じ方に違いが出たことはありますか?
皆川:尺や間はいつもと違うかなと思うことはありましたが、収録の時は絵の状態だったので、変わらずいつも通りに演じることができました。
許斐:皆川さんの声が入ると自然とリョーマになるんです。すごいことだと思います。
皆川:その言葉をいただけたことが何よりも嬉しいです。
音楽と共にある『テニプリ』。今作も劇中歌がいっぱい! 一部内容が違う2タイプがの上映も最初の案は5タイプ!?
――今作でミュージカルのようなアプローチが取られている気がします。
許斐:確かに劇中歌も数多く歌われていますし、ミュージカル的な要素も入っていますが、ミュージカル映画と言うわけではなく、映画の要素の一つとして捉えていただきたいです。
900曲を超えるキャラクターソングはもちろん、『テニミュ』(ミュージカル『テニスの王子様』)も沢山の方に支持していただいてますし、声優さんが一同に介してキャラソンを楽しみ尽くすイベント『テニプリフェスタ』をファンの皆さんも楽しみにしてくださっていたりと、これまでの様々な展開を通じて、『テニプリ』は音楽と共にあると思っています。
なので、今回映画で『テニプリフェスタ』を体感できるもの、観客のみなさんで盛り上がれるものを実現できたらいいな、という思いもありました。『テニプリフェスタ』は今まで関東近郊でしか開催されていないので、遠方の方は参加しにくかったかと思いますが、映画なら皆さんの地元で観ることができますし、公開中は毎日キャラクターたちを応援できます。それが映画ならではの強みだと思います、この映画で、改めてキャラクター達への声援を送っていただけたら嬉しいです。
――一部内容が違う
許斐:せっかくいろいろ任せていただけるのであれば、素人考えだとしても「こうすればもっと話題になるのに」と思うことをまずスタッフに提案させていただいてだきました。1つひとつ「これはやったことがありますか?」、「これが実現できないのはなぜですか?」などを質問していきました。
実は最初、きっと誰もやったことがないだろうと2タイプではなく、「5タイプ作れませんか?」と提案したのです。「さすがにパターンが多すぎます」と却下されましたけど。(笑)。『テニプリ』ではリョーマたち青学メンバーだけではなく、いろいろな学校のファンがいて、魅力的なキャラクターたちを応援してくださっているので、学校単位で何かできないかと思いました。
例えばストーリーの本線は同じでも、見に行った回によってリョーマにアドバイスをするキャラクターが違ったら新しいと思いますし、そうすれば何度でも皆さんに見に行って楽しんでもらえるかなと。そういう提案をして、2パターンの映像を作っていただきました。他にも様々な挑戦をしています。リョーマと桜乃との冒険っぽい部分もその1つです。
――今作の新規劇中歌は先生が全曲作詞作曲されていて、皆川さんもリョーマとしてたくさんの劇中歌が歌われていますがレコーディングされた感想は?
皆川:先生なので普通にはこないだろうなとは思っていましたが、まさかラップ曲(「RAP FESTIVAL」)がくるとは。思い起こせば約20年前、当時はリョーマが歌うこと自体、ピンときていなかったくらいなのに、今では「『テニプリ』は歌ってなんぼ」みたいに当たり前で。
でもラップ曲を歌う日が来るとは思っていなかったし、今までキャラソンでも私個人としてもラップをやったことがなかったのでかなり焦りました。「リョーマとしてカッコよくラップを歌うって、どうすればいいんだろう?私にできるのか?」と。でもやらない選択肢はないので、手探りながら、必死で練習してレコーディングに臨みました。
許斐:すごくカッコよかったですよ。
皆川:ありがとうございます。
許斐:あのシーンはテニスでもラップでも、敵のテニスギャングを上回らなければいけないというテーマがありました。
皆川:ムチャなことを(笑)。
許斐:「ギャングのほうがラップうまいじゃん」と思わせたらダメですし、畳みかけるようなラップも必要でした。ギャングがビビるほどリョーマがテニスもラップも圧勝するというオーダーをしましたが、絶対やってくれると信じていましたし、見事にやってくれました。
皆川:聞きました? このハードルの高さを(笑)。でも先生が見ている夢は一緒に見たいし、希望も一緒に叶えたいということは根底にあるので、「先生についていくぞ!」という一心で頑張りました。でもリョーマとしてやったことがないことに挑戦するということは、また新たな一面をお見せできるということなので、ファンの皆さんも喜んでもらえると思えたので頑張りがいがありました。
許斐:ラップばかりが話題になってしまいますが、ラップだけじゃなくて、今回いろいろなタイプの曲を作らせていただきました。バラードやポップス、ロックなど、様々なアプローチで作ったので、お気に入りの曲を見つけていただけたらいいなと思います。
皆川:本当にいろいろな曲を歌わせていただきました。
許斐:いろいろな曲たちをすべてカッコよく歌えるのは、すごいなと思いました。
皆川:全然歌いこなせてはいないですけど、リョーマとしての気持ちは入ってます!映画を見て、好きな曲を見つけてもらえたらうれしいです。