2022年秋劇場版公開時期決定! あの熱い瞬間をもう一度!『SLAM DUNK』全試合ネタバレ解説!
王者への挑戦! 決勝リーグ緒戦 湘北vs海南大付属
激闘を終え、みごと決勝リーグ緒戦を迎えた湘北。対戦相手は神奈川の覇者であり、全国にもその名が轟いている常勝・海南。赤木が1年生の頃から思い描いてきた最高の舞台がついに現実になった瞬間です。
海南のキャプテンである牧紳一(以下牧)は、1年の時から注目され華々しいキャリアとそれを裏打ちする努力と実力を兼ね備えた神奈川ナンバーワンプレイヤー。対して赤木は素晴らしい素質を持ちながらもチームメイトに恵まれず埋もれていたプレイヤーです。光と影のような2選手が激突するこの試合は誰にも予想できない驚きの試合になりました。筆者の1番好きな試合でもあります。
気合い入りまくり
開始前からギンギンになっている両キャプテン。夢の舞台である赤木は気合い入りまくりで、最も勝利を欲している男・牧も試合はいつ始まるのかとバッキバキ!湘北メンバーも見たことのない赤木の姿を見てこの試合に対する彼の思いの大きさを知るのでした。試合開始直前から火花を散らす海南と湘北。ついにティップオフ!
開始直後、気持ちが高ぶる赤木らしからぬミスがあったものの、流れを相手に渡さない桜木のスーパーパスカット、ミスを取り返すゴリのハエたたきも炸裂! 宮城のパスも序盤からキレキレです。湘北の猛攻を海南は完璧に防ぎきり反撃へ。主導権を握るための先取点は誰の手に渡るのか。
注目の先取点をとったのは海南ルーキー清田信長(以下清田)。彼は流川をかなりライバル意識しており、桜木含めたナンバーワンルーキー決定戦を繰り広げます。ダンクコンテスト並みのワンハンドダンクというド派手なプレイを見せる清田。気合が入っているのは海南も同じです。
主導権を握られた湘北ですが、ルーキーを蹴散らす赤木のゴリラダンクで勢いを取り戻し、予想を覆す互角の試合展開になります。ゴリの思いを1番に感じている桜木もルーズボールを果敢に取りに行ったり、強力なリバウンダーとしても活躍し絶好調。なんと神奈川ナンバーワンである牧がマッチアップを買って出るほどの調子の良さ。清田とのルーキー対決でもリョーちん直伝フェイクからのドリブルで抜き去り得点を決めます。大成長をみせる桜木を止めるために常勝・海南のベンチが動きます。
策士・高頭動く!
予想外の活躍を見せる桜木。桜木を締め出すと宣言した海南の監督・高頭はシューターである宮益を起用し、桜木につかせることに。
相手が強いからこそ成長し、実力以上の力を見せてきた桜木をあえて運動量や体格でおとる宮益をつけることによって制御するというとんでもない作戦を実行したのでした。ダンクなどの強引なプレーはファールでとめて、桜木が苦手なフリースローを打たせる。「メッキが剥がれてきたぞ」と扇子を振る高頭の姿が印象的でした。
高頭にこれ以上メッキを剥がされる前に、と安西先生に退場させられる桜木。本人は使えないと判断されたと思っていましたが、安西先生も勝負師です。その血が騒ぎだし、桜木に何らかの策を託すのか?
アクシデント
清田と流川のルーキー対決で火花を散らす中、赤木がリバウンドの小競り合いで足を怪我をしてしまいます。彼が心から望んでいた今日に限ってのアクシデント、アヤコにテーピングを施されながら様々な思いを吐露する赤木。それをこっそり聞いていた桜木は、自分が赤木の穴を埋めることを覚悟します。
安西先生も桜木と流川にインサイドを任せるしかありません。しかしここから湘北のルーキー2人の才能が爆発するのでした。
ゴリの穴を的確についてくる海南ですが、流川と桜木の全力のディフェンスにより一切点を重ねることが出来ません。桜木がミスをすれば流川がカバーし、ゴール下のパワーが必要なポジションでは桜木が存在感を見せます。チームと自分を鼓舞するために積極的に声を出すなど桜木のムードメーカーとしての資質も開花。そして彼らはディフェンスだけではなくオフェンスでも驚異のパフォーマンスを見せるのです。
赤木は湘北の攻撃においても重要な選手、彼がいない今誰かが点を取り海南に追いつくしか無い。そう言う時はやはりエースの流川です。彼自身もそれを理解しており、圧倒的なプレイでスコアを重ねます。そのプレイは自己中心的とも言えるほどにわがままで、それを危険視する声もありましたが、流川の覚悟とプレイは自己中心的というレベルを超えていました。
海南をたった1人でねじ伏せる流川。だれもが彼の鬼気迫るプレイに恐怖すら感じるほど、わがままどころか完全に試合を支配している! とも評されました。前半終わってみればなんと同点に。流川は前半で25得点という数字を叩き出します。そんな流川にやられっぱなしで終わるわけにはいかない海南。後半からは海南のシューターである神宗一郎(以下神)も加わり、更に激化することが予想されます。
復活の赤木、最強の牧
やっと掴んだチャンス、怪我を押してまでコートに復帰する赤木。かなりダメージがあるもののそれを感じさせない気合でプレイします。その時赤木には、自分のとても華々しいとは言えないキャリアを振り返っていました。いつか牧や藤間に追いつき倒す、その時が今なのです。赤木の本気のプレイに牧も敵ながら褒め称えてしまいたくなるのでした。
赤木によって押された牧のスイッチ。スロースターター気味な牧の本領が発揮されました。スピード、パスセンス、ボディコントロール、すべてが高水準な選手である牧。調子に乗り始めた牧を湘北は止めることが出来ません。手がつけられない最強の男、それが牧なのです。
そして忘れてはいけないのが、シューター神。中で大暴れする牧を警戒すれば神が外から射抜く。このシンプルながら強力な戦略により湘北はみるみる突き放されていきます。才能とそれ以上の努力を惜しまない常勝・海南の真の力は凄まじいものでした。
これ以上離されるわけにはいかない湘北は、勝負に出るのでした。
元気な男
タイムアウト明け、奇策に出た湘北。なんと4人で牧のマークに付き、外の神は桜木のフェイスガードによって守るという作戦でした。この作戦は無尽蔵のスタミナを持つ桜木がいてこそのもの勝負をかけた大胆な作戦です。
窮屈な牧が攻めあぐね神にパスを出すとそこには桜木が待っています。神がうまくドリブルで交わすもシュートモーションにはいるやいなや、既にブロック体制に入るという桜木の圧倒的な運動量。桜木のファインプレイによって勢いづいた湘北に流れが徐々にやってきます。
桜木渾身のダンクを牧に強引に止められ、苦手なフリースローを打たされる展開になりますが、桜木は自分なりの方法で工夫しフリースローをなんとか沈めます。自分だけが初心者であるという環境の中で、一生懸命になんとかしようとする彼の姿勢こそが急成長の要因だったのです。
桜木がもたらした勢いは、チーム全体を包み込み反撃の狼煙となったのです。
しぶとい奴ら
試合も終盤に差し掛かる中、会場内は異様な雰囲気になっていました。海南が突き放せば、湘北が食らいつくという膠着状態になっていたのです。会場が静まり返るなか、ゲームを動かしたのは桜木のガッツでした。
緊迫感に耐えきれず、放った三井のスリーがリングに弾かれボールがコート外へ。ルーズボールに飛びついたのは桜木でした。彼がつないだボールを流川が最後の気力を振り絞りリングに叩きつける! なんとか突き放されずにすんだ湘北は流川をベンチにさげながらも、意地で海南に食らいついていきます。
流川という得点力が無い今、1番注意しなければいけないのは牧です。攻撃の手を緩めない海南ですが、ここ1番で赤木のディフェンスが光ります。小暮をフォローしながらも牧の攻撃を防ぎます。
牧にだって負けてない……赤木の3年間の努力が報われた瞬間です。陵南キャプテンである魚住もライバルであり、友でもある赤木のプレイに思わず熱が入ります。牧を倒し勝利を掴み取ることができるのでしょうか。
天才の名にかけて
残り時間4分。限界を超えた両チームは、お互いにリスペクトし最後の力を持って戦い抜こうとします。湘北はチャレンジャーとしてすべてぶつけるつもりで、海南は自分たちにふさわしい一流のチームとして迎え撃つのでした。そして試合を決定づける瞬間がやってきます。
残り時間30秒で4点差を背負う湘北はディフェンスを切り崩す事ができず、桜木と赤木のオフェンスリバウンドにかけ強引にリングにボールを放ります。桜木と高砂がリバウンドに向かいますが、高砂の必死のプレイにより桜木に何もさせませんでした。このまま試合終了かと思われた瞬間、高砂の着地地点で待っていた宮城がボールをスティール!
こぼれたボールをすかさずキャッチし、海南ゴールに迫る桜木。高砂と一対一の形です。「オフェンスリバウンドをとったらゴールを狙え」直前の赤木の指示が頭をよぎる桜木ですが、なんとこの土壇場で高砂に対しワンフェイク入れて抜き去ります。
すぐさまダンクの体制へ入る桜木、フォローに走る牧。ベンチの流川は思わず立ち上がり桜木に「ぶちかませっ!!」と叫ぶ。
次の瞬間、桜木は先程ブロックされた牧を吹き飛ばしリングへボールを叩きつける! 床に倒れる牧、そしてなんと審判のファウルの笛が聞こえます。ジャッジは、
「ディフェンス!! バスケット・カウント!!、ワンスロー!!」
桜木のダンクは成功、そして牧のファールになるので1本のフリースローがついてくる3点プレイ。感情を爆発される会場、そして湘北バスケ部メンバー。桜木があの牧を吹き飛ばし、初めてのダンクを決めた、王者海南が最も追い込まれた歴史的な瞬間と言っても過言でありません。試合の流れ、会場の雰囲気、すべてを味方につけたここ一番のプレイが出たのです。
天国と地獄
残り19秒、フリースローを打つ桜木の頭には、自分を信じてバスケを教えてくれた恩人であり仲間である赤木の思いでいっぱいでした。そしてこのスローを落としても赤木が絶対に取るという信頼がありました。
彼が放ったフリースローは、外れます。がしかし、それを執念で赤木がキャッチ。それを見越してフリーの状況を作っていた三井にボールが渡る。
そしてすかさずキャッチしスリーポイント、逆転するには3点しかありません。三井を必死にブロックする清田。誰もが逆転を確信しました。なぜならこの日1番綺麗な弧を描いた三井のスリーだったから。
しかし、三井の気配にいち早く気づいていた清田は爪先だけボールに触れていたのです。リングに弾かれるボール、リバウンドは、桜木。
残り10秒、リバウンドを制した桜木はゴール下の赤木へパスーーーーーーー
がしかし、最後にボールをキャッチしていたのは高砂でした。そのまま試合終了のブザーがなります。なんと桜木は最後の最後に痛恨のパスミスをしてしまったのでした。最終スコア「90ー88」で湘北の敗北が決定したのです。
がけっぷち
まさかのミスで黒星スタートとなってしまった湘北。あまりの自体が理解できず、悔しさで涙を流し整列することができない桜木を、赤木は強く前向きに導きます。最強の相手との最高の試合が終わってしまったのです。
残す2試合どれも落とすことが出来ない湘北。まさにがけっぷちに立たされてしまいますが、まったく折れること無く闘志を燃やします。ミスしてしまった桜木を除いて。
責任を感じて学校も練習もサボる桜木。夜な夜な体育館にやってきてあの瞬間をなんども思い出し、後悔します。そこに自主練を終えた流川が現れ、「自分のせいで負けたなんて、自惚れるな。お前のミスは計算のうち、実力はまだそんなものだ」と一括。厳しい言葉ですが決して責めていないし、桜木のことをきちんと評価していることがわかります。口下手なだけ。
その言葉に怒りながらも、自分の気持ちに整理がついた桜木は翌日トレードマークの赤いリーゼントをけじめと称して、丸刈りにしやってきました。再び前を向いた桜木! 続くに試合に向けて新たなスタートを切りました。