押井守 監督×若林和弘 音響監督 登壇/『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版』IMAX 公開記念舞台挨拶オフィシャルレポート
1989年に士郎正宗氏により発表されたコミック『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』(講談社KCデラックス刊)を原作とし1995年に公開され、世界中のクリエイターに影響を与えてきた押井守監督作品『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』。
観る者を新たな映画体験へ誘うハイクオリティな映像処理が施された本作の4Kリマスター IMAX版が、2021年9月17日(金)より公開。10月1日(金)からは4Kリマスター版の通常上映も決定しています。
本稿では9月18日(土)に開催され、押井守 監督、若林和弘 音響監督が登壇した公開記念舞台挨拶のオフィシャルレポートをご紹介します。
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版』IMAX 公開記念舞台挨拶 レポート
劇場:TOHOシネマズ 日比谷(東京) スクリーン4
日時:2021年9月18日(土) 10時00分の回上映後舞台挨拶
登壇者:押井守(監督)、若林和弘(音響監督)
士郎正宗により1989年に発表されたコミック『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』(講談社KCデラックス刊)を原作に、1995年に公開され、世界中のクリエイターに影響を与えてきた『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』。この度、ハイクオリティな映像で甦った4Kリマスター版が2021年10月1日(金)より公開。それに先駆けて、2021年9月17日(金)よりIMAXでの上映が日米同時スタートした。
2021年9月18日(土)、TOHOシネマズ日比谷にて『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版』IMAX公開記念舞台挨拶が実施された。押井 守監督、若林和弘音響監督が登壇し、今も世界中で愛され続ける本作の、当時の制作の裏側などを語った。貴重なエピソード満載の当日の様子をお届けする。
制作時から数えて約27年前の作品であり、過去に幾度も作品について語る機会があったことから「今日は音響周りの話を中心に」と押井監督。それを受けた若林音響監督が「丸投げですか?」と戸惑いながらも、和やかに舞台挨拶がスタート。銃の音を録りに香港を訪れた話や、AvidやAppleなど当時の最先端だったデジタルテクノロジーを使用して音響作業を行った苦労話など、序盤からマニアックな話題に。
押井監督が「デジタルを手段ではなく目的に。デジタルっぽく見えるようにアナログで作った」と語るように、デジタルツールが黎明期にあった当時、最新のシステムを使いながらも、そのやり方は意外にもアナログ。電脳通信の声を作り出すため、壺の中にスピーカーを吊って収録したセリフを再生し、マイクを上から入れて録音し直したという驚きの方法などが明らかにされた。さらに、若林音響監督は「女性は低音が少なく声が響きにくいので、45ℓのポリバケツに田中敦子(草薙素子役)に顔を突っ込んでもらって録音をしてみたけど、直ぐに不採用になった(笑)」と衝撃の裏話を続け、会場からは驚きの声が上がり、試行錯誤を重ねた思い出話に次々と花が咲いていった。
そして、話は今回の4Kリマスター版へ。「当時の納品データはテープでしたが、今はそれをかけられる機械も存在しないので、当時の劇場用の2ch音源をもとに疑似的に音を広げたものを聴いて調整しました」と若林音響監督。また、声優について押井監督は「長く付き合ったのは大塚(明夫)と山寺(宏一)、あとは(榊原)良子さん。この3人をつい軸にしてものを考えちゃう」と語り、監督にとってキャスティングが如何に重要かを感じさせる貴重な話を披露した。
ディープ過ぎる話が続く舞台挨拶は早くも終わりの時が近付き、劇場へ足を運んだファンへメッセージを届ける。「この作品はお客さんが観やすくなるための音楽の付け方をせず、ストーリーに沿ったものだけを付けました。だから、刑事ものなのに全くそれらしくない。25年以上たった今、もう一度スクリーンにかけられたことを幸せに思います」と若林音響監督。最後は「ほとんどブツブツ言っているだけで、この作品は実は地味。よく作れたなと思います(笑)。当時、入れ込んでいた企画が他にもあったこともあり、客観的に作れたことが良かったのかなと。女性を真ん中に置く、戦うヒロインで作品を作りたいと思うきっかけになった。僕の作品をスクリーンで観たいというファンの熱意のおかげで今回上映できたと思っています。本当にどうもありがとう」と押井監督が締め、舞台挨拶は幕を閉じた。
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版』IMAX 作品情報
公開日:2021年9月17日(金)<日米同時公開>
上映館:全国36館(https://v-storage.bnarts.jp/ghost-in-the-shell/gits-theater/)
【入場者プレゼント】
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版』IMAXビジュアル(右画像)ポストカード
※特典は数量限定の為、無くなり次第終了となりますのでご了承ください。
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版』作品情報
公開日:2021年10月1日(金) ※上映館は後日発表いたします。
イントロダクション
1995年に公開されて以来、ビルボード誌の全米セルビデオチャート第1位を獲得するなど全世界で大ヒットを記録した押井守監督作品『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』。緻密な映像で表現された魅力的なヒロインや躍動するアクション、「人間の本質」を問う普遍的なテーマは、数多くのクリエイターに影響を与えてきた。4Kリマスターにより本作は、さらにハイクオリティな映像へアップデートされる。公開当時の技術では再現できなかった、35mmフィルムに眠る膨大な情報を引き出し、4Kの高解像度でリマスタリングすることで、描線のタッチや背景の細部、暗いシーンでの色彩表現に至るまで、より鮮やかな映像として蘇った。
ストーリー
西暦2029年―。情報化の進展と同調するように、より高度に凶悪化していく犯罪に対抗するため、精鋭サイボーグたちによる特殊部隊・公安9課、通称“攻殻機動隊”が設立された。隊長である全身義体のサイボーグ・草薙素子は、国際的に指名手配された正体不明のハッカー“人形使い”を巡る捜査に乗り出すことになるが―。
スタッフ
原作:士郎正宗(講談社刊「ヤングマガジンKCDX」所載)
監督:押井守
脚本:伊藤和典
演出:西久保利彦
キャラクターデザイン・作画監督:沖浦啓之
作画:黄瀬和哉
メカニックデザイン:河森正治、竹内敦志
銃器デザイン:磯光雄
美術設定:渡部隆
美術:小倉宏昌
撮影:白井久男(スタジオ・コスモス)
編集:掛須秀一(ジェイ・フィルム)
音楽:川井憲次
音響:若林和弘(オムニバスプロモーション)
色彩設定:遊佐久美子
CG制作:オムニバスジャパン
アニメーション制作:プロダクションI.G
製作:講談社、バンダイビジュアル、MANGA ENTERTAINMENT 他
製作年:1995年
キャスト
草薙素子:田中敦子
バトー:大塚明夫
トグサ:山寺宏一
イシカワ:仲野裕
荒巻:大木民夫
中村部長:玄田哲章
人形使い:家弓家正 他