『ワールドトリガー』3rdシーズン連続インタビュー:修役・梶裕貴さん|やっぱり玉狛第二に愛着があるんです【連載第2回】
修は戦いを重ねるたびに成長
ーー修の成長や変化を感じた点はありますか?
梶:修はとても賢い人。でもそれは、ただ学力や知識があるという意味合いにおいての"頭がいい"ではなく、判断速度の速さや取捨選択能力、そして応用力が高いという点での才覚がある、ということだと思うんですよね。まさに「僕がそうするべきだと思ってるからだ」というセリフが彼を物語っている気がします。経験を積めば積むほど、人一倍成長し、進化していく人だと感じています。
彼にとって、自分が強くなったり、活躍したりという個人的な評価はどうでもよくて、なにより"チームとしての勝利"が絶対なんです。極端に言えば「目的さえ達成できれば、自分はどうなろうと構わない」と割り切れてしまう人。要は、それくらいドライだし、覚悟が決まっている人なんだと思うんです。そこが長所であり…同時に、危ういところでもあるかと。僕もいち作品ファンとして、そういった面が心配でありつつ、でも演じる立場としては、すごくワクワクするキャラクターですね。
ワイヤー陣を使っての戦術も素晴らしかったですよね。きっかけ自体は、他の人の知恵を借りた部分もありますが、ひとつ手がかりを見つけると、自分でとことんまで考え抜いて、具体的かつ有効な方法を見つけ出してしまうところは、相変わらずすごい人物だなと思いました。まだ中学生ですよ?(笑)。そして、チームにとって何がベストなのかを瞬時に判断できる力もだいぶ身についてきたのかなと思います。
ーー玉狛第2はクセがあるメンバーが多いので、隊長としてまとめるのも大変そうですね。
梶:かなり個性的ですよね。メンバー4人の中に「近界民」(ルビでネイバー)が2人もいますし(笑)、千佳もまた特殊な存在ですしね。"玉狛支部"という括りで見れば、更に強烈な先輩もいます。でも、そういう人たちこそ、修の本当の強さや存在価値というものをきちんと汲み取ってくれる気がしますね。アットホームで家族みたいな雰囲気が大好きです。特に、この3rdシーズンは。
ーー同じ玉狛第2のチームメイトの遊真や千佳の変化や成長を感じたところはありますか?
梶:空閑に関しては、まだまだ計り知れない強さや秘密があると思うので、そこまで大きな変化は感じませんが、ランク戦を戦っていく中で対戦相手から学んで吸収し、自分のスタイルに取り入れている応用力はさすがだなと。今では、修への信頼感も確固たるものになっていると思うので、2人の絆の深さを感じられる連携プレイにも心を揺さぶられるものがありました。
2ndシーズンのスタートは、ガロプラとの戦い。ボーダー隊員の皆さんの魅力を十分に伝えてくれる、とても白熱した展開でしたが…修たちの出番はなかなかなくて(笑)。再びランク戦に戻って、空閑役の村中(知)さんとスタジオで一緒になった時は「空閑がいる…!ワートリの現場に帰ってきたんだ」と安心感を覚えました。
千佳に関しては、技術もメンタルも間違いなく成長していますよね。現状、「スナイパーでありながら人を撃てない」という、いわば弱点もありますが、それも優しい人格ゆえ。この世界では、撃つことで実際に命を奪ったり、傷つけたりするわけではないけれど、人に銃口を向けることに戸惑いを感じる気持ちはすごく理解できます。でも、それをレッドバレットの使用でうまくカバーできたのは素晴らしい点ですよね。それから、普段はあまり積極性を見せない千佳が、城戸司令との会見シーンでは、自分の目標のため、また修や空閑たちのために、自らの犠牲を顧みず条件の許諾を進言してくれました。あの場面は、すごく感動しましたね。
ーー2ndシーズンで印象深かったシーンやエピソードを挙げるとしたら?
梶:修や玉狛第2のドラマはもちろん…どれを挙げたらいいか悩んでしまうほど印象的な場面だらけです。モノローグや回想による演出もたくさん仕掛けられているので、逆に、作中のキャラクターたちでは絶対に知り得ないような情報を、読者や視聴者は知ることができる。そこも、漫画やアニメの面白い点ですよね。
たとえば、香取先輩のエピソード。最初に見た時はトゲがあって、どこかとっつきにくい印象の強い人だと感じてしまいましたが、その人となりを知ることで、大きくイメージが変わっていったキャラクターでもありました。あんな過去があったからこそ今の彼女があるんだなと思えましたし、彼女の本心や本音を汲み取って、その上でリーダーとして支えようとするメンバーとの信頼関係も素敵だなと感じました。もちろん、それは柿崎隊にも言えること。香取隊とは対照的な形でのチーム像が見えてきてグッときましたね。
また王子先輩は、個人的に原作を読んでいる時から注目していたキャラクター。どなたが演じられるのかとても楽しみにしていましたが…石田(彰)さんだと知って、さらにテンションが上がりました!(笑)。修を演じる身としても、王子先輩と1対1のバトルシーンはうれしかったです。
そして、生駒隊とのバトル。生駒隊長をはじめ、メンバーがみんな濃すぎるほど濃くて(笑)、実に『ワールドトリガー』らしいキャラクターたちだなと。それでいて、チームワークもばっちり良くて。読者・視聴者をすごく楽ませてくれる隊だなと感じました。僕は修を演じさせていただいているので、どうしても玉狛第2を応援してしまいますが…本当に、どのチームにも勝ってほしいなと思ってしまうくらい、2ndシーズンに登場したすべてのキャラクターが輝いていたと思います。