秋アニメ『世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する』ルーグ役・赤羽根健治さん&ディア役・上田麗奈さんインタビュー│第1話のサプライズはいい意味で期待を裏切るハードボイルド展開!?
≪異世界×暗殺≫という異色の組み合わせで、人気沸騰中のライトノベル『世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する(以下:暗殺貴族)』(角川スニーカー文庫刊)。本作のTVアニメが、2021年10月放送スタートとなります。
世界一の暗殺者が、暗殺貴族の長男に転生。《勇者》を殺すことをミッションとし転生した"伝説の暗殺者"が更なる高みへと駆け上がる限界突破のアサシンズ・ファンタジーが描かれる本作。アニメイトタイムズでは、そんな暗殺者と3人のヒロインたちを演じるキャストにインタビュー!
今回は、ルーグ役・赤羽根健治さん、ディア役・上田麗奈さんに作品の印象やご自身が演じるキャラクターの魅力などについてお話を伺いました。
苦手な天才役にびくびく!? ルーグの人間らしさに共感も
――原作やシナリオをご覧になった際の印象をお聞かせください。
ルーグ役・赤羽根健治さん(以下:赤羽根):転生モノの作品が多い中、本作は少し毛色が違うなと思いながら読ませていただきました。原作を読んでいると最後の方に大きなバトルを展開するのですが、そこに至るまでは暗殺者だから派手に倒したり殺すのではなく、意外とスッとやってしまうので驚きました。
作中では、化粧品を作って売り出したりと商才を発揮するシーンもあって、他の作品ではあまり見ない政治的でリアルな要素もあります。そういった話の詰め方が、今まで読んできた作品とは違いました。
また化粧品のように、現実にある物をファンタジー世界に取り入れていく方法も面白いと感じたポイントです。
――作中には、男性が好きそうな秘術や魔法といった設定が組み込まれていますが、その点は赤羽根さんからご覧になっていかがでしたか。
赤羽根:僕もゲームをやるので、そういったスキルはいいなと思いますね。でも、ルーグは最高レアスキルはひとつでいい、というスタンスなんです。僕だったら全部SSRで揃えるのに(笑)。
もちろん全部のスキルが出てくるわけではないのですが、彼はその中で選んだ低レアを上手いこと組み合わせるんです。
これは月夜先生の構築が凄いのですが、ルーグは間違いなく天才的なレベルではあるものの、人間の枠は超えていなくて。あくまでその枠内に収まっている人間が、勇者という規格外の存在をどう倒すのか、という面白いテーマになっています。
――そんな天才を演じることが決まったときはどんなことを考えましたか?
赤羽根:僕は演じる上で天才があまり得意ではなくて、天才役がくるとびくびくしちゃうんです。天才じゃないのにって(笑)。設定に書いてあるとビックリしちゃうんですよ、天才きた~って。
――天才役が得意ではない、と言いますと?
赤羽根:天才はなんでも出来て当たり前じゃないですか。自分は出来ないタイプの人間で、今まで泥臭いなと思いながら生きてきたつもりだったので。
ただ、ルーグは天才めいてるところもあるのですが、やっていることは意外と泥臭いんです。力とお金と頭脳、使えるものを余すことなく使ってどうにかするというのは、人間として尊敬出来ますし、羨ましいと思いました。
なにより、そんなルーグが地道に積み重ねていくストーリーになっているのは、僕としてはすごい好きですね。
――全部スキルに頼らないところはカッコイイですね。
赤羽根:緻密な積み重ねと掛け合わせが面白いポイントなんだと思っています。もちろん、世界最高の暗殺者だから強いのですが、足りないところや命題が出てきたとき、それを如何に彼が今持っている手持ちのもので克服していくのか。読ませてもらっていて、毎回「あ、そういう仕組みだったんだ」と思わされるので、先生はすごいです。
――上田さんは原作をご覧になっていかがでしたか?
ディア役・上田麗奈さん(以下:上田):ディア役・上田麗奈さん(以下:上田):私もバランスが絶妙だなと感じていました。ファンタジーとリアルのバランス、ルーグの心の変化が絶妙です。ルーグはハードボイルドなところから徐々に温かみが出てくるキャラクターなので、観ていてどんどん好きになります。
アニメのシナリオからは、コミュニケーションをとっていく流れ、どういったことがあったかなどをさらに深堀している印象を受けました。ちゃんとキャラクター同士が想い合っている様子も見えたので、総じてバランスが絶妙だなという印象です。
――ルーグのどういったところが魅力的に見えましたか?
上田:先程赤羽根さんがおっしゃっていた通り、暗殺者、人間として生活してきた前世を抱えた上で新しい人生を歩んでいく中、過去に得られなかったものを補充していく姿です。
もちろん、努力家だから色んなことが出来るようになっていくのですが、それでも天才だったり勇者だったりではなくて、なんだかちょっと親近感があるんです。欠点がちゃんとあるのは愛らしく、すごい可愛いなと思います。
――“可愛い”なんですね。
上田:はい。カッコイイですけど、やっぱりルーグがこの先もっと愛を感じられるようになったらいいなと応援する気持ちですね。
赤羽根:確かに、アニメーションのルーグは可愛いところが多い気がします。幼少期も深堀りしてくれているので、そういった点も見ていただけるときっと上田さんがおっしゃっていた「可愛いところ」がわかると思います。中身があんな老人だとは思えないです(笑)。
――赤羽根さんから見たディアの印象はいかがですか。
赤羽根:幼少期のディアに関してはひたすらに可愛いですね。実は、幼少期のルーグは別の方が演じているので、僕は幼少期のディアとは掛け合いをしていないんです。
主人公役で序盤こんなに自分が登場しない作品は初めてですし、前世である“世界最高の暗殺者”と“幼少期ルーグ”と2人も挟んでいるのも初めてなので、収録現場を見学させていただいて、幼年期のシーンも見させてもらいました。そのとき、ただ見ているだけでもディアって可愛いんだなと感じました。
魔法とか子供たちのやっていることは大人顔負けですが、やり取りは子供ならではで、無邪気に色んなことを学ぼうとしているなと。
でも可愛さだけではないのが、ディアが成長してヴィコーネの領主の娘として立ち振る舞っているギャップです。台本の演出もそうですし、上田さんのお芝居も込みで、可愛さの上に抱えているものの大きさも見せてくださっていて。
彼女は彼女なりにとても重たいものを背負っています、ただの魔法が好きな女の子ではない、可愛いだけじゃないぞという雰囲気が伝わってきたので、見ていて絶妙だなと思いました。
――演じられるキャラクターの第一印象や、話数を重ねるうちに変化していった部分などあればお聞かせください。
赤羽根:暗殺者の頃はかなり完璧だなと思っていました。ですが、トウアハーデ家に転生し、そこでの生活が描かれていくうちに、人間としてまだまだ足りないところが見えてきたんです。そこにちゃんとした生活があるからこそだと思いますが、どこか親近感が湧きました。
ただ、スキルに関しては天下一品に仕上がっているのですが、単純な人間としての内面は愛情を知らないので、意外とお父さんとお母さんの言動に戸惑うタイプなんですよね。その一面を踏まえつつ、中盤のとあるシーンでは大きな試練と向き合うルーグが描かれます。
そういったことも込みでディアやタルト、マーハと絡んでいくんですけど、ルーグとしてはあくまでも「勇者暗殺」のために利用するつもりが、実はルーグも知らないところであの女性たちに影響されている面もあるんです。
ちなみに最初の頃、距離を一切詰めないでほしいとディレクションを受けたことがあります。あくまでも自分の目的のために利用しているので、優しい言葉を投げかけているけど感情まで優しくする必要はないからです。こういった距離感の調整が難しい作品だなと思いました。
――なるほど。
赤羽根:一緒に過ごしているからこそ出てくる柔らかさは、演じていて難しいところもあり、面白いなと思いました。何よりルーグというキャラクターの人生を体験させてもらっているような感覚に陥りましたね。
――ルーグとしての実年齢と精神年齢のギャップも難しそうです。
赤羽根:ルーグはただの頭のいいクールなおませさんではないので、暗殺者として血みどろの世界で生きてきた仄暗いバックボーンもありますし、カッコよくクールな部分だけがルーグの表現ではないんですよね。アフレコを見学していたからこそ、難しいと思いながら見ていました(笑)。
僕も途中から同じ経験をするんですが、幼少期は魔法絡みの話が多いので、「なんかすごい難しいセリフを言わされている」「大変だ……」と思いながら、自分の役だけど他人事のように見ていましたね(笑)。
――上田さんはいかがでしたか。
上田:ディアは笑顔が素敵な快活な女の子という部分がありつつ、責任感も強い女の子です。どれくらい重いものを背負っているのか、きっと本人が一番理解していて、そのために我慢しなくちゃいけないこともあるのはわかっているから、子供だけど大人の部分が備わっているんだと思います。
ルーグに関しては、ディアも子供の頃から天才と呼ばれてきて、自分と同じくらい魔法を楽しんでくれる人はいなかったはずなので、彼と一緒にいる時間が彼女の中ですごく大事な時間で、ありのままを楽しめる関係性だと感じました。
だからルーグに対してもガンガン進んでいくというよりもルーグの顔色も伺いながら一番いい形を探っていく、空気を読んでいるところもあるのかなと思いますね。
――ディアはルーグよりも3歳年上になるのですが、年上っぽさを出すなど意識されたことはありますか?
上田:出会ったばかりの頃は、「わたしが教えてあげなくちゃ」という気持ちから入りましたが、ディアはルーグの才能に会ってすぐ気づいてしまうんです。それ以降は演じるときも、あまりお姉ちゃん感は意識せずに、一緒に楽しむのがベースになりました。
多分タルトと話すときは少し異なるはずなので、他の人とは違う関係性なんだと思います。姉弟だけじゃないというか、それだけに限らないからお姉ちゃんぶっているだけじゃないのだと思います。
――他のヒロインよりも一歩進んでいるのでしょうか。
赤羽根:物理的に一緒にいるのはタルトですし、ディアは離れている時間も多いんです。ただ、濃密な幼少期を一緒に過ごした後でのしばしの別れなので、結果的には他のヒロインたちよりも一歩先の関係性にあるのかもしれませんね。アニメを見る方はきっとあまりディアが一歩先に行っているようには見えないかもしれないですが。
上田:それぞれの役割が違うから、単純に一歩リードしている感じでもないかもしれませんね。
赤羽根:単純にそのままの印象だけで見たら、意外とタルトが正ヒロインに見えてもおかしくないところもあると思います。
――では、タルトとマーハの印象はいかがですか?
赤羽根:タルトは使用人としてずっと一緒にいてくれて、甲斐甲斐しいですよね。可愛らしいです。だからルーグがすごいなと思います。一切ほだされずに、ただ利用するためだけに接していますから。
そんなタルトはひたすらにいい子ですね。もうその一言に限ります。でも、彼女は重い過去を持っているので、それを経てこういう人間性にたどり着いたのはすごいと思います。
マーハに関しては、3人のヒロインの中では年長でお姉さん的なポジションになりますが、面白いキャラクターだと思います。ルーグに対して中々肉食なところもありますし(笑)。隙あらばルーグを私の物にする!みたいな。
彼女は孤児院出身で、素敵な優しいお姉さんなのですが、見た目はお淑やかに見えるんですけど、内面はすごい勝気なんです。でもルーグのことを王子様って言ったりもしますし、乙女な部分とのギャップがあって、緩急がすごいところが魅力的だと思います。だから三者三様で、みんなすごいヒロイン像です。
――みんなキャラクターが立ってますよね。
赤羽根:わりとこういった作品だと、正ヒロインの一人勝ちのようなところがあるのですが、ディアに負けず劣らずの魅力が備わっている2人なので、ぜひアニメーションでも楽しみにしてほしいですTVアニメではそれぞれのヒロイン3人にしっかりとスポットライトが当たるので、期待してほしいなと思っています。
――そこは注目ポイントですね。上田さんはいかがですか。
上田:タルトやマーハはディアが安心するくらい頼もしいので、しっかりしたサポーターの皆さんという印象です。
もちろんルーグへの執着とかは、同性から見ていてちょっとこわい部分もあったりもするのですが、でもそれくらいルーグに対して愛情があるということです。その想いをバネにして、色々な能力を自分で伸ばして、ちゃんと役に立ちたい気持ちで行動していているので、見ていて安心します。
ディアもそうですけど、タルトもマーハも可愛いし頼もしいし、応援したくなる。それぞれが魅力的で3人とも素敵だなと。
赤羽根:ルーグへの執着については、同性から見たら確かにそうなる気がしますね。男からすると理想なのかもしれませんが(笑)。でも、あの2人もディアの存在がちらついている部分はあると思います。一夫多妻制じゃないですけど、日本じゃ中々考えられない面白いところですね。
上田:そうですね。その文化があるから、ドロドロし過ぎていないのかもしれない……!
赤羽根:割とフレッシュにその座を奪う話もしていますし(笑)。
上田:お互い認め合ってせめぎ合っている感覚がしますね。