『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章-TAKE OFF-』山寺宏一さんインタビュー|「感極まるシーンやこのひと言に賭ける」と思わせる本作の魅力とは?
『宇宙戦艦ヤマト2199』から続くシリーズの最新作『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章-TAKE OFF-』が10月8日より劇場上映スタート!
1974年にTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト』をリメイクした『宇宙戦艦ヤマト2199』、社会現 象とも呼べる熱狂を生んだ『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』をリメイクした『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』に続く、シリーズ最新作『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』。1979年に放送された『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』以降の要素を集結させて再構成、全二章で 劇場上映されます。
主人公の古代 進の好敵手、アルベルト・デスラーを演じる山寺宏一さんに、本作のご紹介や見どころなどについて語っていただきました。
前任の伊武雅刀さんの演技を踏襲しつつ、新たなデスラー像を追求!
ーー『宇宙戦艦ヤマト2199』が劇場先行公開されたのが2012年4月で、今年で10年目に突入しました。デスラーはご自身にとって、どんな存在ですか?
山寺宏一さん(以下、山寺):「そんなにやっていたんだ」というのが率直な気持ちです。あくまで旧作でデスラーを演じられた伊武(雅刀)さんのお芝居があってのことで、最初は完全な悪役として登場したけど、それまでの悪役とは違う雰囲気があって。様々な作品で悪役に人気が出ることも珍しくはありませんが、デスラーは特別かなと思います。
途中からはもう悪役ではなくなって。そんなデスラー像を作り上げたのはスタッフの皆さんと伊武さんのお芝居があったからと思っているので、できるだけ踏襲したいなと思いながら演じてきました。
僕が1から作って、演じてきたキャラクターではありませんが、『ヤマト』愛を持った人たちが新しい作品を作ろうと始まったのが『2199』からのシリーズなので、新たなデスラーとして成立しなければいけないという想いも抱きながら気合を入れて演じてきました。大変なんですよ! 偉大な方から引き継ぐのは(笑)。他の作品でもそうですが、ずっとプレッシャーを感じながら収録に臨んでいます。
ーーそのプレッシャーに打ち勝ち、ここまで演じてこられた理由は?
山寺:作品がおもしろいから。そしてやりがいがあるからです。「こんな素晴らしいセリフがあって。他の人にデスラーを取られなくて良かった」といつも思うし、演じがいがある役をやる時ほど声優として楽しいことはないですから。それを皆さんに見ていただいて、良かったと評価していただくことも嬉しいですが、「現場でこんなセリフが言える」、「こんな演技がやれる」のが楽しいんです。
今回の『2205』の収録前に家で練習していた時から感極まったり、「このひと言に賭けてみよう」と思えるシーンがいくつもあって。でも自分でベストで演じられたと思っても、見ている方に伝わらないと意味がないので、スタッフさんたちの判断を仰ぐしかないんですけど、意外とあっさりOKが出ると不安になって「本当に大丈夫ですか?」って。「ここは大事なセリフですよね?」と尋ねると「わかってます! 良かったんです!」と言ってくれるけど、今回は念を押してしまいました。
みんな一緒に収録している時は、絡んでいる人もやり直しさせるのは嫌なので、OKが出たら黙っているんですけど、今回は1人での収録だったので、「次の人がまだだったら、もう1回やらせてもらっていいですか?」と。「変わらないかもしれませんが、ものすごく大事だと思うので」ということが結構ありました。本当は絡んで、お互いを感じながら収録できるのがいいんですけど、それができないのはしょうがないので、むしろこだわってやらせていただきました。
ーーお1人での収録はいかがでしたか?
山寺:相手のセリフを聞くのが大切なので、今回が初めての収録ではなくて良かったと思いました。でもデスラーは誰かに相談することはなく、自分の中で考えて言葉を発するし、誰かの発言に動じることもないキャラクターだったことも幸いだったのかもしれません。ガミラスの人たちと話す時は結論ありきであまり会話になっていないから(笑)。
ただ古代をはじめヤマトの乗組員の人たちからは多大な影響を受けているので、逆に相手のセリフを直接聞きながらやりたいなという気持ちはありますね。
ーーここまで演じられてきたことで、デスラーについて新たに発見されたことや再確認されたことはありますか?
山寺:ずっと引っかかっていたのはイスカンダルへの想いです。スターシャを愛しているとずっと口にしてはいたけど、今回の『2205』を演じたことでその理由がわかったし、想像していたよりも複雑で。
デスラーも知らないことがあったので、デスラーと一緒に僕もいろいろな事実を知っていった感じで。『2199』から『2205』まで監督やスタッフが変わる中でどこまで計算して、どう膨らませて、どう解釈されたんだろう? バトンを受け継いできて、ちゃんとまとまるのはすごいです!
そしてデスラーは情が深くて、優しい人間なんだと改めてわかりました。そして彼の背負うものの大きさや悲しさも……。