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- 石橋悠
- 1989年福岡県生まれ。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者。
ーー今石監督が思う「スター・ウォーズ」らしさとは何でしょうか?
今石:やっぱり画面がきれいなところですよね。清潔感というか。その宇宙船のドックだとか、その船内の廊下にしても、シンプルだけどピカピカしていてきれい。そういう洗練されたデザインの中でSFが展開してるなと。
だから今回もそこは意識していましたね。ただ、コヤマさんが最も得意とすることなので特に指示をする必要もありませんでした。
あともうひとつ言うと、音と音楽ですよね。効果音と音楽の印象って凄く強いんです。音楽は大島ミチルさんにフィルムスコアリングでオリジナルの曲に限りなく近く作ってもらったし、効果音に関しては“スカイウォーカー・サウンド”で最終的にミックスできたので本物の音なんです。そういう意味ではかなり音楽面では「スター・ウォーズ」らしさを相当カバーしていると思います。
スターウオーズ ビジョンズ始まりました。まず「THE TWINS」は合唱も入れると100人以上のハンガリーのオーケストラの演奏によるもの。ミックスはパリのスタジオ。何百箇所も絵合わせをしたので作曲はパズルのようでした。アクションシーンのテンポも普通のアニメよりさらに速く演奏は超絶技巧でした。 pic.twitter.com/5Q1QOvbhE1
— 大島ミチル MichiruOshima (@OshimaMichiru) September 24, 2021
ーー音楽面はたしかに驚きました。今石監督にとっても衝撃的だったのでは?
今石:「スカイウォーカー・サウンド」のダビングが本当に凄く良くて。日本のスタッフもいつも素晴らしいんですけど、また別の種類のプロフェッショナル集団っていう感じで衝撃的でした。うまく言葉で伝えられないんですけど、なんか前のめりな感じでした。修正とかリテイクに関してもとにかく監督が納得いくまで何度でもトライしようみたいな。
しかも、音の引き出しの数が異常に多い、そして1個1個のクオリティが非常に高い。何となくこっちが言ったことをすごく具体的に、どんどん形にしていく感じ。
最初はちょっと遠慮してたんですけど、言うとすごく響くんで、もう楽しくなってやたらと追加注文をいっぱいしてしまいました(笑)。向こうもすごくポジティブにやってくれているっていうのは大きかったです。
ーー今石監督が『スター・ウォーズ』から影響を受けたものは何かありますか?
今石:最初に見たのは『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』で、シンプルなストーリーと最後にハン・ソロが助けに来るみたいなエンタメとしての気持ちよさが凄く好きだったんですよね。最後に表彰して終わるみたいなこととかも含めて、何か幸せな感じがある。
単純な青年の立身出世みたいな話でもあるし。その辺がすごく綺麗にまとまっていると思うので、影響受けてるのはそういうムードなのかなと思います。
ーー物語の構成の妙というか。
今石:そうですね。それをあれだけのSFで1から作ったことと、アメリカの世界観でやっているのが凄い。
そういう意識がスタッフ間でも共有できていたので、ここは守っといて、ここは意図的に外そう、みたいなことは皆なんとなく共通で持っていたと思います。
ーーだからこそ『THE TWINS』が生まれたんですね。では最後に今石監督的に本作『THE TWINS』のここは見てほしいっていうポイント一つだけ何かご紹介いただけますか?
今石:ライトセーバーのカイバークリスタルを装填するカットが凄く好きで。カイバークリスタルを交換するのを、銃の弾を装填するかのように取り替えてやったのは気に入っています。
これは僕の趣味だと思います。カイバークリスタルっていう設定は若林がかなり作っていたので、それを画面上でどうディティールで生かしていくかっていうところで配慮していましたね。
[インタビュー/石橋悠]
1989年(平成元年)生まれ、福岡県出身。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者兼ナイスガイ。アニメイトタイムズで連載中の『BL塾』の書籍版をライターの阿部裕華さんと執筆など、ジャンルを問わずに活躍中。座右の銘は「明日死ぬか、100年後に死ぬか」。好きな言葉は「俺の意見より嫁の機嫌」。
ディズニープラスにて独占配信
ジョージ・ルーカスが黒澤明作品や日本文化から多大な影響を受け制作した「スター・ウォーズ」の創造のルーツとも言える日本へルーカスフィルムが強いリスペクトを込めた「スター・ウォーズ」史上初の一大アニメプロジェクト。「スター・ウォーズ」の創造のルーツとなった“日本”、そしてその日本から新たに誕生する、「スター・ウォーズ」への期待が、世界的に高まっていく中で、エグゼクティブ・プロデューサーであるジェームズ・ウォーは「これは私たちが愛する“アニメ”という文化を生んだ日本へ贈るルーカスフィルムからのラブレターです。」と日本アニメに対する熱い想いを語る。参加したクリエイターたちが、<スター・ウォーズ>そして<日本のアニメ>への熱い情熱を持って創り上げる、独自のビジョンで描いた9つの「スター・ウォーズ」は9月22日(水)16時よりディズニープラスにて全9話一斉に日米同時配信される。
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