GRANRODEO アニメ『範馬刃牙』OPテーマ「Treasure Pleasure」ロングインタビュー|15周年を迎え、たゆまぬ進化を続けるふたりが踏み出した一歩の、その先
カップリングには昭和のエッセンスも
──先ほど“夏の残り香”というお話をされてましたけど、2曲目「青色センセーション」はまさにそれですね。
KISHOW:あ、まさにそうですね。(e-ZUKAさんから届いたときから)そういう曲だったんですよ。ある意味、シングルのカップリングってe-ZUKA先生の実験の場でもありますから。e-ZUKA劇場ですからね、僕は付き合うわけですよ。
──じゃあe-ZUKAさんから「こういう曲にしたい」という話があったんですか?
KISHOW:いや、「したい」とかじゃなく、そのまま突き付けられます。「できたんでこれで」って。
e-ZUKA:(笑)はい。
KISHOW:「随分懐かしい匂いのするメロディーだなぁ」と思って。最初のバイオリンの……“ストリングス”って言うんですかね。最近覚えたんですけど。
──そうなんですか(笑)。
KISHOW:まあなんとなくは知ってましたけども(笑)。音がようやく聴き分けられるようになりましたね。あれがすごく懐かしいなと。松田聖子さんの曲のような……。僕が最初に思い出したのはPUFFYの「渚にまつわるエトセトラ」でした。<カニ 食べ 行こう~はにかんで 行こう~♪>っていう。
あの曲も奥田民生さんの80年代のオマージュなところもあるんでしょうから。オメガトライブの一員になったつもりでこの曲を歌いました。<1000パーセント>という言葉も、完全にカルロス・トシキ&オメガトライブから。1986オメガトライブです(「君は1000%」)。
──なるほど、1000パーセントという歌詞はそこからだったんですね!
KISHOW:そうなんです。『うたの☆プリンスさまっ♪』からですか?と聞かれることがあるんですけど「違います」と(笑)。僕なりのオマージュです。
一行目の<ため息のソーダ水>というのは、ユーミン(松任谷由実/荒井由実)から。<ソーダ水の中から~♪>みたいな曲ありましたよね(「海を見ていた午後」)。ああいう雰囲気というか、センスが欲しかったんです。だからこの言葉を使いたかった。「良いじゃん」って。
──<たゆたう夢を見たい><飴色のモダンイメージ>という言葉も、どこかユーミンらしさを感じます。
KISHOW:そうなんです。こういう曲調なんでね。自由ではあるんだけれど、自然とそういう縛りになりました。
──e-ZUKAさん的に、昭和歌謡や80’sエッセンスを織り交ぜた曲をやりたいというモードだったんですか?
e-ZUKA:いや、っていうよりは……楽しい曲をカップリングにしたいですね、って話があって。で、参考できたのがノーランズの「ダンシング・シスター」(1980年発表)だったんですよね。あと、チャーラチャーラチャッチャチャ~ラ♪っていう……なんだっけかな。
KISHOW:「君の瞳に恋してる」ですね。確かボーイズ・タウン・ギャングだったかな。ディスコ調にアレンジされたやつ(1982年発表、原曲はフランキー・ヴァリ)。
e-ZUKA:そうそう。それだ。あとは明るく。結果的に星野源さんみたいになれば良いなって……。
KISHOW:(笑)
e-ZUKA:まあそんな感じだったんですけど、昭和感は出ちゃいますよね。うちのベースの瀧田イサムは「ミル・マスカラスだね」って言ってましたけど。ジグソウの「スカイ・ハイ」(ミル・マスカラスのテーマ)を思い出したらしいですよ。なんでプロレスが出てくるんだろうっていう(笑)。
確かにフレーズ的には似てるんですよね。この間MUCCの逹瑯くんの番組(ラジオ番組 TOKYO FM『JACK IN THE RADIO』)に出たんですけど、彼は「アイドルっぽい曲だと思います」って言ってましたね。だからやっぱり、そういう感じがあるんだと思います。
──<ビキニラインも無防備なミスマーメイド>という歌詞も80年代アイドルを彷彿させました。
KISHOW:そこは意図的に。そういう言葉を散りばめた次第です。
──<波のまにまに>という言葉も出てきますが──。
KISHOW:僕、2、3回すでに“まにまに”って言葉使ってるんですよねえ。
──「エンドレスサマー」(「move on! イバラミチ」収録)にも出てきますよね。
KISHOW:よくぞ出てきましたね。あともうひとつ! えーっと……<濡れるまにまに~♪>。あ、「進化と堕落の二元論」だ!
“まにまに”って言葉はユーミンも使っていて。<私の海の波の 間に間に~♪>(「砂の惑星」)っていう。耳障りが良いんですよね。だからつい使いたくなってしまう(笑)。
──印象に残る言葉ですよね。
KISHOW:メロディを聞いたときにもう出てきちゃったんですよ「また俺まにまに使っちゃってるよ! 3回目だぞおい!」って自分でツッコミを入れつつ(笑)。
──レコーディングは最近だったんですか?
KISHOW:はい。だから最新作です。本当についこの間録ったんですよね。
──まさに夏の終わりに!
KISHOW:言われてみれば確かに。
ふたりが現在“戦ってること” 実は「青色センセーションは……」
──TOKYO FMのラジオ番組「GRANRODEOのまだまだハートに火をつけて」で、「Treasure Pleasure」の歌詞にちなんで「あなたが今、戦っていること」というテーマでエピソードを募集されていますが、おふたりが今戦っていることはどんなことでしょうか。
KISHOW:ついこの間までは痛風の痛みと戦っていました。自身の努力の甲斐もあって発作は収まっています。おそらく1年は大丈夫だろうと。
──アキレス腱は大丈夫ですか?
KISHOW:そっちも、そうですね。この間2年経って戦い終えましたから(笑)。それくらいかなあ。さきほども言った通り……戦うとか、挑むとか、そういうことは人生でしないんですね。逃げる準備ができてる人間です(笑)。
しいて言うなら“面倒くささ”と日々戦っています。朝仕事行く前のシャワーとか、髪を乾かす手間だとか。僕の人生最大の敵は面倒くささだと思っているんですよ。一体何度打ち負かされてきたことか。
ここ1年くらい、青汁を毎朝とサプリを飲んでるんです。尿酸値を下げるサプリと、にんにく卵黄とか何種類も。果たしてどういう効能があるのか明確に分からないのが欠点なわけですが、それでも「青汁飲んでるから健康だろう」と思っていたら、痛風の発作になってガチへこみしました。「もーこれがイヤで毎朝飲んでたのに!」って。
e-ZUKA:ふふふ(話を聞きながら笑いをこらえている)。
KISHOW:それでも欠かさずに飲む手間とかね。面倒なんですよ、アレは。一度水に溶かして、サプリを出して、飲んで。そういう日常と戦っています。堂々と言うのもとても気恥ずかしいことですが。歯を磨くことすら僕は面倒ですから。そこまでが生活なんだ、と思うようにしていますけど。
e-ZUKA:俺もそれはめんどくさいですけど(笑)。若いころは逃げ切れると思っていたんですけど、なかなか逃げ切れない部分もあって。今戦っていることは、締め切りですね。例えばこの「青色センセーション」なんかは、すっかり忘れてまして。
いろいろ予定がきていた中で「納期」が書いてあったんですよ。9月末って。だから「9月はじめくらいに作り始めるのかな」って思っていたんですけど、今思えば納期だから締め切りとは意味が違って。作曲・作詞、レコーディングが終わって納期なんですよ。でも納期なんて……(力強く)知らないじゃないですか!
同席していたスタッフ:(笑)。
e-ZUKA:だから「結構余裕あるなあ」なんてゆったり構えていて。そのあとアコギのツアーもやってたんですよね(6月開催、ロデオ組・GRANRODEO MOBILE presents 俺たちひょうきんアコギ族)。で、8月19日くらいに思い出したんです。
その直前くらいに、マネージャーに切羽詰まった感じで「カップリングいつくらいになりそうですか?」と聞かれて。「あれ、9月末だよな。なんでそんな急いでるんだろうな」って思いつつ「まあ、でもなるはやで~」なんて返事して。
で、家に帰って寝る前に「あいつ何言ってるんだろうな。ひょっとしたら俺が間違ってんのかな」と思ってメール確認したら9月末納期の前に8月締め切りって書いてあったんですよ……! 「これか!」って。それで2日で曲を作りました。
──2日で!
e-ZUKA:で、なんとか3日くらいで歌詞を書いてもらえれば8月に間に合うんじゃないかと。
KISHOW:(笑)なんとか間に合いましたね。
──合計5日くらいで。お二人だからこそできる技ですね。しかも8月末ってアニサマの時期じゃないですか。
e-ZUKA:だ、そうです(笑)。そうだ、思い出してきた。20日、21日に作って、22日のアニサマのリハの時の朝に送ったんですよ。
それで、そのリハで「オッケー」って言われたから猶予ができたなと。ギリギリですけど(笑)。なんとかなって良かったです。今は常に今締め切りがある状態なんですよ。現在着手してるものもなんとかクリアできそうです。そのあとは10月末かな。これできーやんに「スランプになっちゃって~」って言われるとヤバイですけど。
KISHOW:僕は15、6年間、スランプ知らずですから。僕も締め切りがあって迫られるとなんとか形になります。
──なかなかできることではないです。15、6年と言えば、現在GRANRODEOは15周年イヤーを延長されている最中ですが。
KISHOW:いやーもう往生際が悪いんです(笑)。
e-ZUKA:来年の「G15 ROCK☆SHOW」「G16 ROCK☆SHOW」で締めくくりという感じですね。
──楽しみにしています。ありがとうございました!
[インタビュー・文/逆井マリ]
CD情報
アニメ『範馬刃牙』OPテーマ「Treasure Pleasure」
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GRANRODEO
【初回限定盤 (CD+BD)】LACM-34175 / 3,300円 (10%税込) / 3,000円 (税抜)
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※「範馬刃牙×GRANRODEO」描き下ろしオリジナルイラスト長帯仕様(初回・通常共通)
-CD- ※全形態共通
「Treasure Pleasure」
新曲カップリング曲
各オフボーカルトラックを収録した全4曲収録
-BD- ※初回限定盤のみ同梱
Treasure Pleasure (Music Clip)
GRANRODEO LIVE 2021 "Rodeo Coaster"
2021.5.15 (sat) Zepp Haneda
The Other self
RIMFIRE
変幻自在のマジカルスター
メモリーズ
HEAVEN
慟哭ノ雨
Infinite Love
少年の果て
Punky Funky Love
Glorious days
BEASTFUL
ROSE HIP-BULLET
DARK SHAME
Deadly Drive
TRASH CANDY
愛のWarrior
Can Do
modern strange cowboy
アニメ『範馬刃牙』Netflixにて2021年秋、全世界独占配信!
G15 ROCK☆SHOW & G16 ROCK☆SHOW 開催!
GRANRODEO 15th ANNIVERSARY LIVE 2022 G15 ROCK☆SHOW
2022年1月14日(金)OPEN 16:30 / START 17:30
会場:国立代々木競技場 第一体育館
GRANRODEO LIVE 2022 G16 ROCK☆SHOW
2022年1月15日(土)OPEN 16:30 / START 17:30
会場:国立代々木競技場 第一体育館