上坂すみれさん12thシングル『ジャヒー様はくじけない!』新OP曲「生活こんきゅーダメディネロ」リリース記念インタビュー|作詞・作曲を前山田健一さんが務めた楽曲は生活の苦労さえもポップに描く!
上坂すみれさんの12枚目のシングル「生活こんきゅーダメディネロ」が10月27日発売! 魔法少女役で出演するTVアニメ『ジャヒー様はくじけない!』の第2クールOP主題歌で、作詞・作曲は前山田健一さんが担当。
主人公ジャヒー様の貧困生活をモチーフにしたような切実な歌詞をポップかつおもしろく楽しく歌っている、電波ソングテイストの曲に!
カップリングの「ものどもの宴」、「ドロップス」は共に上坂さんが作詞。リリース直後の10月30、31日には舞浜アンフィシアターにて『上坂すみれのPROPAGANDA CITY 2021』を開催。
楽曲の聴きどころや『ジャヒー様はくじけない!』の魅力、『上坂すみれのPROPAGANDA CITY 2021』への意気込みを語っていただきました!
『ジャヒー様はくじけない!』は貧困なジャヒー様がかわいそう。みんな、思い込みを曲げないキャラばかり
──まず『ジャヒー様はくじけない!』の原作を読んだり、演じてみて感じた印象や魅力をお聞かせ下さい。
上坂すみれさん(以下、上坂):原作コミックを手にした時は表紙がかわいくて、「日常系なのかな?」と思い、ページをめくっていくと確かに日常系ではあるけど、主人公のジャヒー様がとても困窮していてかわいそうで。
──魔王の元側近で、魔界のナンバー2が人間界でバイトするというのは斬新ですね。
上坂:人間たちを圧倒的な力で支配しようとするのが普通なのに、地道に働いてお金を稼ぎ、生活していくという。でもジャヒー様がバイトしている居酒屋「まおう。」のメニューがおいしそうだなと思いました。
あとほとんどのキャラが思い込みを曲げないところがおもしろくて、みんな少しずつ考え方がズレているんですよね。ジャヒー様とドゥルジさんはもちろん、私が演じる魔法少女も。
ツッコミどころ満載のはずなのに妙に説得力があったり、納得させられてしまうんです。ドゥルジさんなんて人間界では社長になって豊かな暮らしをされているのに、ジャヒー様の言葉をすべて拡大解釈して。
魔界で心酔していたからという面もありますけど。魔界だからといって邪悪だと決めつけるのはよくないなと思いましたね。
──演じる魔法少女についての印象をお聞かせ下さい。
上坂:見た目はかわいいけど、セリフ回しがヒーローっぽくて。例えるなら飛ぶ時に「トゥッ!」と声を発するような。人の話を聞かず、屈折しているけど、元気いっぱいな子です。不幸を一身に背負うことに誇りを持っていて、1人で完結している感じもおもしろいです。
──そもそもジャヒー様が人間界に来たきっかけを作ったのが魔法少女で、序盤でジャヒー様との戦いめいたシーンがあってからしばらく登場しなくて。気になっていた方も多いのでは?
上坂:お待たせいたしました。アニメでは各キャラクターをフィーチャーした回がありますが、魔法少女のお当番回もあるし、これから何度も出てきます!
でも友達がいないので、ほとんどジャヒー様との掛け合いばかりで。ジャヒー様以外ともしゃべってほしいし、友達を作れたらいいなと思いながら収録しています。
──魔法少女を演じる時に心がけていることはありますか?
上坂:お洋服はピンクで、髪もふわふわとビジュアルはかわいいけど、見た目に合わせず、心はヒーローのつもりで演じています。絵を無視する努力をしなくてはいけないのが大変です(笑)。
「カッコよくお願いします」というディレクションをいただいたり、セリフがないところでも極力、アドリブを入れるようにしています。その結果、ジャンプする時とか全部声を入れることで、ちょっと騒がしい子になっている気がします。
──アニメの見どころをお聞かせ下さい。
上坂:魔法少女に加えて、サルワさんなどキャラも出そろってきたので、ジャヒー様がひたすらバイトをして、家賃を滞納しながらしのいでいた第1クールから、お話も少しずつスケールが大きくなり、これからいろいろなことが起こります。
アニメでは魔法少女の人間の時の名前も明らかになりますし、魔法少女になった経緯も語られているのでお楽しみに。またジャヒー様役の大空直美さんと一緒に収録させていただいているので、テンポ感の良い掛け合いも楽しんでいただけたらと思います。
第2クールOP主題歌「生活こんきゅーダメディネロ」は前山田健一さんらしさが詰まったハイパー電波ソング!
──第2クールOP主題歌「生活こんきゅーダメディネロ」は前山田健一さん作詞作曲ですね。
上坂:制作前に前山田さんと打ち合わせさせていただきました。ちょっとラテンな雰囲気で、「お金をください」という意味のスペイン語の「ダメディネロ」を入れつつ、いろいろな生活の苦労について描いてみましょうと。
ただ生活の苦労をゆっくりしたテンポで歌うと寂しく聴こえますが、BPM205のハイパー電波ソングになると生活の苦労さえもポップに感じられるんです。
また1フレーズ目から、らしいエッセンスが詰まっていて、仮歌もご自身で歌われていたので感動しました。
──音色も豊かで、途中で演歌調になったりと、にぎやかで楽しい曲で。
上坂:曲の展開が多彩なのが前山田さんらしいし、古き良き電波ソングのテイストになっていて。最近は電波ソングをあまり聴かなくなっているので、OPで歌えるのは嬉しいです。
──歌詞の内容も「色恋とか将来より優先すべきは生活!!!」とか「残高が戦闘力」など切実で、ある意味、プロレタリアートソングでは?
上坂:お金さえあれば幸せではなく、労働こそがより良い生活を生むんだよと。「金があっても地獄は地獄なの」の歌詞には哀愁を感じます(笑)。
「毎日 楽しい! 友達 優しい! ご飯が 美味しい! それでよし!」などストレートな気持ちが表されていて、人生の教訓になるのでは? 出勤時に聴いたらテンションが下がりそうですが、気合を入れたい時には応援歌になってくれると思います!
──また「臥薪嘗胆」や「一握の砂」など四字熟語や作品名など国語の教科書に出てくるような言葉も使われていて。
上坂:でも「無い袖ふりふり」というとかわいいですよね。昭和な言葉を絶妙にミクスチャーしているのもポップだなって。
──ただテンポがすごく速いので歌うのは難しそうですね。
上坂:曲調もコロコロ変わるし、そのたびにテンションも行ったり来たりするので大変な歌ではありますが、電波ソングを聴いて育ったので、楽しみながらレコーディングできました。また、前山田さんにもディレクションしていただきました。
普通のレコーディングではまずメロディラインを録って、ハモりを録って、セリフなどを録るんです。ただ、今回は曲頭からコーラスなどすべて録っていったので勢いが途切れず、またテンションが高いうちに集中できたことで、予定より短時間で録り終えることができました。カロリーを使うので、いっぱい食べて臨みました。
──お気に入りのフレーズや聴きどころなどお聞かせ下さい。
上坂:「米騒動」という歌詞を、楽しい一揆が始まるような能天気なテンションで歌っていて(笑)。もしライブなどで歌う時は皆さんにも明るく「米騒動」と歌ってほしいです。あと「豊かさとは富にあらず」は早送りせず、地声で頑張ったので注目して聴いていただきたいです。
すごくおもしろくて、ポップな曲なので、いろいろなシーンで使われることもイメージされて作られたのかなと。私もそう思いながら歌わせていただいたので、いろいろな方にいろいろな楽しみ方をしていただけたら嬉しいです。
──MVではジャヒー様のように慎ましやかに生活しながら掛け持ちでバイトする様子が描かれ、実写の魔法少女作品のような衣装の上坂さんも?
上坂:いろいろなエッセンスが詰め込まれています。私はこんな曲を歌っていながらアルバイトをしたことがなくて。ラーメン屋さんやOLさん、工事現場の交通整理の方など、これまで経験できなかった職業を味わえて楽しかったです。
交通整理の誘導灯を持つのは初めてだったのでどうやったらいいのかわからなくて。撮影後に交通整理をされている方を見かけるとつい注目してしまいます。
また早稲田大学の怪獣同盟という特撮サークルのオリジナル怪獣さんに来ていただき、初対面なのにボコボコにして申し訳なく思っています(笑)。