【ネタバレあり】TVアニメ『マブラヴ オルタネイティヴ』白銀武役 神木孝一さんインタビュー前編|崖っぷちで臨んだオーディション、白銀武を演じるための意外な役作り法とは【連載 vol.02】
03年発売のâge(アージュ)が企画・製作したアドベンチャーゲームを原作としたアニメーション『マブラヴ オルタネイティヴ』がフジテレビ「+Ultra」ほかにて2021年10月6日より放送スタート。意思疎通ができない地球外起源生命体であるBETAとの絶望的な戦いが繰り広げられている世界で、人間が生きる道を探し続ける――
主人公の白銀武(しろがねたける)は平和な学園生活を送っていたが、ある日まったく異なる並行世界で目覚め、そこから3年間、BETAがいる世界で戦いに明け暮れ、最終的に戦死してしまう。その後再び目覚めると並行世界へ移動した“あの日”に戻っていた。ループした世界でどんな選択をして、どんな未来を切り拓いていくのか。白銀武を演じる神木孝一さんに話を聞いた。
※本編のネタバレを一部含む内容となっているためご注意ください。
崖っぷちで臨んだオーディション、白銀武を演じるための意外な役作り法
――原作ゲームをプレイされているそうですが、どんなところが魅力的でしたか?
神木孝一さん(以下、神木):オーディションがきっかけで知り、その後プレイさせていただいたんですけど、白銀武を通して出会うキャラクターたちが魅力的でカッコいいんです! BETAと戦って人類が追いつめられている世界で、それぞれの立場のなかで立ち向かっていく。その姿や言葉の数々が、自分にすごく突き刺さって……。なので武と一緒に自分自身も成長できるところが魅力的だなと思いました。
――今生きている現実に置き換えても刺さる言葉が出てくる?
神木:めちゃめちゃ出てきます! 名言格言だらけです。この作品に挑むにあたってプレッシャーが大きかったんですけど、応援されたというか奮い立つ気持ちになりました(笑)。
――出演する作品自体に元気をもらったんですね。オーディションの思い出を聞かせてください。
神木:アニメのスタジオオーディションに呼んでいただいたこと自体が初めてだったんです。それまでずっとご縁がなくて、「これがラストチャンスだ!」という思いでした。当日はここまで来たのなら受かる受からないは考えず、自分が思う武の魅力を出すことだけを考えようと思ってチャレンジしました。
――崖っぷちの思いで受けていたのですね。
神木:そうなんです。必死でした(笑)
――そんなプレッシャーの中、ベストなものは出せましたか?
神木:いや、緊張でガチガチでした(笑)。自分の中でできる最大限のことはやっていたつもりですが、それでも足りないなぁと感じていました。ある自分ができることって、悔しいですけど限られていて、その中で必死に全力でぶつかることだけだと思うんです。でも、そういう追い詰められた中での覚悟という意味では、武とリンクしていたのかなと思います。
――ディレクションもあったのですか?
神木:オーディション時、武は今こういう状況だから、こういうふうに演じてほしいと丁寧に心情を説明していただき、そこでいろいろと変えていきながら、自分の中の武を作り上げることができました。そこで得たものを本番のアフレコでも活かせたらいいなとは思ったのですが……。
――最初のアフレコは大変だったそうですね。
神木:それはもう、多大なご迷惑をおかけしました(笑)。今はコロナ禍で時間を分けて収録を行っているんです。そういう意味では、先輩の時間を拘束しないで済んだので良かったのかもしれないですが、初めて経験する事が多くて、相談の内容もどう伝えたらいいかわからなかったり、緊張が抜けなかったり、ブースで一人になってからは、ずっと焦ってしまって。
ただスタッフの皆さんが本当に優しくて、音響監督の本山哲さんに長い時間お付き合い頂いて指導していただきました。
――オーディションに受かったときは、どんな気持ちでしたか?
神木:電話で連絡を頂いたんですけど、マネージャーさんが落ちたみたいな雰囲気で連絡をしてきたんです(笑)。でも最後に「受かったよ」と告げられたときは、あまりのうれしさに泣きましたね。実は番組収録の休憩中で、これから罰ゲームを受けなくてはいけないという状況だったんです。ですが、喜びを抑えられず罰ゲームにならない位ハイテンションになってしまいました(笑)。
でもその興奮が収まってきたとき、ものすごいプレッシャーと重責を感じました。やはり多くの方に影響を与え、皆様から愛されている作品ですし、原作ゲームの声優の方から引き継がせて頂くというのは大変なことで、自分もあがきながらそれに近づき、自分なりの白銀武を演じなければいけないなと思って、ものすごく悩みました。なので喜びとどうしようという気持ちで、ぐわんぐわんしていましたね……。
――実際オーディションに受かってからアフレコまでも時間があるので、ずっと悩むことになりますよね。
神木:アフレコまでは半年くらい空いていたので、その半年間はずっと原作をプレイしていました。武はプレイヤーキャラクターなので、声を当てられているのは戦闘シーンの一部と回想シーンと最後のところだけなんです。なので途中の葛藤を自分がどう色付けしていくかはすごく悩みました。ただ、ありがたいことに、武の心情ってテキストで丁寧に描かれているので、それをどう声で表現するかに集中することができました。
――そのほかに役作りみたいなことをしていたのですか?
神木:僕が演じる武は〈オルタネイティヴ〉からなのですが、『マブラヴ』って学園モノの〈エクストラ〉があり、BETAと全面戦争をしている〈アンリミテッド〉の世界があり、武はそれを経て〈オルタネイティヴ〉の世界にいるんです。
一度〈アンリミテッド〉で軍隊に入り訓練をし、身体も鍛えられていて精神もある程度強くなっている白銀武から〈オルタネイティヴ〉はスタートするので、それをどう自分に落とし込むかを考えたとき、自分の肉体では感情が伴っても実際の武の叫びを表現できないかもしれないと思ったんです。なのでジムに通い、筋トレで体作りをしました。あとは、髪も染めたことがなかったのにブリーチをして明るくしたり(笑)。精神面からだけではなく、体全体でアプローチしようと思って試行錯誤していました。