この記事をかいた人
- 篭法
- 内向的で口下手、典型的な陰の者。テーマやメッセージ、登場人物の心情を考えさせられるアニメが好み。小説も好き。
――アフレコに向けては、どのような準備をされましたか?
水瀬:ひたすら台本を読んで、ミトの気持ちを自分の中に落とし込んでいくことが最大限できる準備かなと思い、一生懸命に脚本と向き合う時間は、自分の生活の中ですごくたくさん設けました。
でもやっぱり、アフレコ現場で主役のおふたり(アスナ役・戸松遥さん、キリト役・松岡禎丞さん)のお声を聴くということが自分の中では、ミトというキャラクターを作るうえで一番必要なピースだったと思います。
おふたりのお声を聴いたときに、「アスナはこの距離感でミトに接してくれるんだ」と思ったり、キリトの不器用ながらも強さを証明してくれる背中がすごく参考になりました。
キリトの背中を見て「この人には勝てないのかもしれない」とミトもきっと感じたと思うし、自分の中にある弱さをキリトを見て突きつけられた部分もあると思うので、そういう不甲斐なさ、どこか自己嫌悪するような気持ちは、おふたりのお芝居を聴いて見つけたものでした。ひとりではミトというキャラクターは作れなかったのだと強く実感しました。
――おふたりのお芝居もあって、ミトという魅力的なキャラクターが完成したわけですね。水瀬さんにとって戸松さんと松岡さんはどんな役者さんでしょうか?
水瀬:遥さんは、ご本人のあり方というか、存在感がとにかく明るくて、優しくて、緊張をほぐしてくれるような存在です。なのに、マイク前でお芝居をするときはものすごくカッコよくて。本当に頼れるリーダーというか、「この人に付いていけば間違いないな」と思わせてくれる、キャプテンのような方だと思っています。
それでいて親しみやすく、私や後輩の方にも接してくれるので、すごく甘えてみたくなると言いますか。先輩ではあるんですけど、ちょっと寄り添いたくなるスペースも作ってくれる人なので、こんな先輩になりたいと思う方のひとりです。
松岡さんは、一言で表すのは本当に難しい方ですね……! 本当に“役者”というか、「松岡さんにできないことってないんじゃないか?」と思います。私にとって、デビュー当時に初めてヒロインを務めさせていただいた作品でご一緒する機会が多かったので、松岡さんのお芝居がなかったら自分の引き出しは開拓されなかったかもしれない、と思えるような台詞がたくさんあります。
松岡さんのお芝居に引っ張ってもらい、今の自分の芝居があると思うので、本当に芸の道の先輩であり目標のような存在です。毎回演技で楽しませてくれる方だと思います。
――本作はシリーズファンはもちろん、初めて『SAO』に触れる方にも楽しめる作品になっていると思います。それぞれどんなところに注目してほしいですか?
水瀬:『SAO』は長く愛されているシリーズで、原作もたくさん巻数が出ていますし、アニメも10年続いている作品です。もちろん日に日にユーザーさんは増え続けているとは思うんですが、今回の劇場版がまたひとつ新しい入り口になってくれたらいいな、と個人的に思っています。
シリーズファンの方にとっても、TVシリーズを観返していただくとキリトの目線、今回はアスナの視点で、贅沢な始まりが描かれていると思います。そこも男の子主人公を選んだルートと、女の子主人公を選んだルート、みたいなゲームみたいな感覚になっていますね。
同じ世界線でも、主人公それぞれの性格や行動によって物語は変わっていきますが、交わるところは一緒という点はより一層楽しんでいただけると思います。シリーズを観てくださっている方にも新発見があると思いますし、「やっぱり『SAO』は面白いな!」と思ってもらえる仕上がりになっていると思いますので、ぜひTVアニメと観比べていただきたいです。
[取材・文/篭法 撮影/鳥谷部宏平]
中学までは運動部だったが、だんだんインドア趣味になり、今では完全に陰の者。小説が好き。ライターを志すきっかけになったアニメは『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。その他に好きな作品は『91Days』『SSSS.GRIDMAN』『ワンダーエッグ・プライオリティ』など。アイドル系の作品にはあまり触れてこなかったが、1年ほど前から『シャニマス』にハマり、ライブにも足を運ぶようになった。
10月30日(金)全国公開!!
全世界での累計発行部数は2,600万部を突破!! 原作者・川原礫がアスナ視点で描く新たな《アインクラッド》編を、完全新作アニメーションで映画化!!!
第15回電撃小説大賞<大賞>を受賞した川原礫氏による小説『ソードアート・オンライン』シリーズ(「電撃文庫」刊)。次世代VRMMORPG《ソードアート・オンライン》を舞台に繰り広げられる主人公・キリトの活躍を描いた物語は、2009年4月の原作小説第1巻発売以来高い人気を誇り、2021年現在、全世界での累計発行部数は2,600万部を突破。
TVアニメは2012年に第1期が放送され、現在までに4シリーズ(全97話※1)が放送されている他、ゲーム、コミカライズなど、幅広いメディアミックス展開がなされている。2017年には『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』が公開。興行収入25億円を突破する大ヒットを記録した。
『ソードアート・オンライン プログレッシブ』は、《SAO》物語のすべての始まり、アインクラッド第一層からの軌跡を、深く掘り下げながら詳細に描く作者自身によるリブート・シリーズ。原作者・川原礫がアスナ視点で描く新たな《アインクラッド》編を、完全新作アニメーションで映画化。
これは、ゲームであっても遊びではない――。ゲームオーバーは現実の死に直結する。全ての原点であるデスゲーム『ソードアート・オンライン』が、劇場のスクリーンで新たに幕を開ける。
※1総集編および、「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」を除く
これは、《閃光》と《黒の剣士》が、その名で呼ばれる前の物語―。
あの日、《ナーヴギア》を偶然被ってしまった《結城明日奈》は、本来ネットゲームとは無縁に生きる中学三年生の少女だった。
ゲームマスターは告げた。《これはゲームであっても遊びではない。》ゲームの中での死は、そのまま現実の死につながっている。
それを聞いた全プレイヤーが混乱し、ゲーム内は阿鼻叫喚が渦巻いた。そのうちの一人であったアスナだが、彼女は世界のルールも分からないまま頂の見えない鋼鉄の浮遊城《アインクラッド》の攻略へと踏み出す。
アスナに訪れる運命的な《出会い》。そして、《別れ》―。
《目の前の現実》に翻弄されるが、懸命に戦う彼女の前に現れたのは、孤高の剣士・キリトだった―。
原作・ストーリー原案:川原 礫(「電撃文庫」刊)
原作イラスト・キャラクターデザイン原案:abec
監督:河野亜矢子
アクションディレクター・モンスターデザイン:甲斐泰之
キャラクターデザイン・総作画監督:戸谷賢都
サブキャラクターデザイン:秋月 彩・石川智美・渡邊敬介
プロップデザイン:東島久志
美術監督:伊藤友沙
美術設定:平澤晃弘
色彩設計:中野尚美
撮影監督:大島由貴
CGディレクター:織田健吾・中島 宏
2Dワークス:宮原洋平・関 香織
編集:廣瀬清志
音楽:梶浦由記
音響監督:岩浪美和
音響効果:小山恭正
音響制作:ソニルード
プロデュース:EGG FIRM・ストレートエッジ
制作:A-1 Pictures
配給:アニプレックス
製作:SAO-P Project
キリト:松岡禎丞
アスナ:戸松遥
ミト:水瀬いのり