『東京カラーソニック!!』プロローグからUnit.2までのストーリーをレビュー|関係性オタクは100%ハマる! 本当の“バディ”になった2人が生み出す音楽は鳥肌もの!【ネタバレあり】
「Unit.2 伊織×春飛」は執着心のある幼馴染関係
ユニットCD第二弾として登場したのは、宝田伊織(CV:斉藤壮馬)と加地春飛(CV:中島ヨシキ)の幼馴染バディ。
個人的にぐさりと胸に刺さったストーリーはこの2人でした。幼馴染だからこういう展開になるのかな?とある程度予想していましたが、その予想を大きく上回る展開に何度胸を打たれたことか……。複雑で執着心のある幼馴染関係が好きな方には、かなり突き刺さる内容だと思います。
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序盤は2人が高校生時代の頃のシーン。教室で春飛が言いかけたことにもっと早く気づけていたら……と意味深な伊織のモノローグが非常に不穏な空気を放っています。こういう不穏な空気からの始まり方、筆者としては大好物です。
伊織と春飛は人気だったインディーズバンド「グラビティ」を組んでいた過去があります。(ちなみに、宙はグラビディの大ファン)
伊織の母親が病気で入院をしているので、看病に専念するためにバンドは解散。実は、「東京カラーソニック」に参加するのも伊織は迷っていました。でも、幼馴染であり親友でもある春飛が一緒だったからこそ参加を決意。
いつも通りの2人なら良い曲を作ることができると思っていましたが、それがなかなか思い通りに制作が進みません。伊織は母親の看病と音楽の両立で悩み、春飛は自身の曲に対する向き合い方に苦しみます。
伊織には心配させまいと隠していましたが、以前のように心のこもった楽曲が作れなくなってしまったんです。これには「カラーレーション」本部で働いている両親と、交流がある駿河大臣が深く関係しているのですが……。
実は、両親が駿河大臣の企みにまんまハマってしまい、犯罪の片棒を知らないうちに担がされていたこと、それを告発しようとしたが目の前で両親が暴力を振るわれた姿を見てトラウマになり、駿河大臣の手先になってしまっていたこと。
辛すぎません……? それをずっと1人で抱えていたのだと思うと、できることなら今すぐにでも春飛を助けてあげたい気持ちでいっぱいでした。
一方で、伊織は母親の看病で手一杯な状態。大好きな音楽に集中できない日々が続き、自分が本当は音楽を続けてもいいのだろうか、と悩みが大きくなります。
そんな伊織の異変を察知し「もっと自分のことを優先してほしい」「もっとワガママに生きてほしい」と伊織へ伝える母親。もう素敵な母親すぎて、Unit.1の嵐の父親もそうですが、家族の話が入ってくると涙腺が弱くなってしまいます……。
母親の言葉が胸に残りつつ、曲ができたと自信たっぷりに言ってきた春飛の曲を聴いてみると、伊織は異変を感じるんです。完成度は高くても、心に迫るメッセージがない。春飛の気持ちが入っていないと。
図星を突かれた春飛は平気な装いで曲作りを再開しますが、少しずつ感じている伊織とのすれ違いに焦り始めます。その様子に気づいた田所先生から「お前がやっていることは作曲じゃない、作業だ」とハッキリと指摘され、ついに春飛が爆発。
悪いタイミングで(今はもう作れなくなった)昔の楽曲の譜面を出してきた伊織に、すべてを打ち明けます。すべて春飛の手のひらで踊らされていたことにショックを受ける伊織、楽曲に対して楽しさや嬉しさという感情を無くしてしまい悲しみに暮れる春飛。この2人のそれぞれの事情を知っているからこそ、本当に胸が苦しくなるシーンでした。
伊織と春飛はまだ若いのですべてを受け入れるには荷が重い……だからこそ、彼らを支える“先生たち”の存在が大きく感じられるんです。
母親の看病と音楽との両立で悩んでいる伊織に「君は優しすぎる」と、「自分に本当はどう生きていきたいのか問いかけるべき」と優しくアドバイスをする芦野先生。「自分に嘘をついたままでは良い歌が歌えない」という言葉が筆者の胸にも響きました。
そして、「東京カラーソニック」の辞退を申し出る春飛に対し、厳しくも優しい喝を入れる田所先生。個人的に、Unit.2の注目ポイントは先生たちとの会話だと思います。悩みや大きな壁にぶつかっているとき、そっと寄り添いつつも自分の進むべき道を照らしてくれる人は本当に大きな存在ですよね。
また、あくまで先生たちは彼ら自身で“答え”を出させようとしているところが素敵すぎます。「こうしなさい」「ああしなさい」ではなく、自分の道は自分で決めさせる。だけどその道を絶対に悪いところへ踏み外させないという強い意志が先生たちの言葉から伝わってくるんです。
伊織と芦野先生、春飛と田所先生、この2組の会話を聞くと自分自身の価値観や考え方も改められるような気がします。
さらに、幼馴染の2人が相手を想うばかりに言えなかった*本音をこぼすシーンは、斉藤壮馬さんと中島ヨシキさんの演技にも圧倒されるはずです。
そして、本当の“バディ”になれた2人が生み出した楽曲「measly」もストーリーを踏まえた上で聴けば、いろいろな感情が湧き出てくるでしょう。
まだまだ語りたいことはたくさんありますが、詳しく話しすぎると楽しみをすべて奪ってしまうことになるので、とにかく聴いてほしい!この一言に尽きます!!
彼らの物語を知れば、いくらでも語り合うことができるほど濃厚なストーリーです。すでにボイスドラマを聴いた方は周りに布教していただいて、一緒に『東京カラーソニック!!』を盛り上げていきましょう♩
次回は「Unit.3 永久×未來」と「Unit.4 海吏×神楽」のレビューをお届けします。こちらもお楽しみに!
[文・福室美綺]
作品情報
2080年代を舞台に、学生たちが音楽フェスの頂点を目指す、青春ストーリー。ボーカル担当と作詞・作曲担当がバディを組み自分たちの音楽を作りあげます。
キャスト
小宮山嵐:千葉翔也
霧島 宙:上村祐翔
宝田伊織:斉藤壮馬
加地春飛:中島ヨシキ
瀬文永久:梶原岳人
財前未來:木村良平
倉橋海吏:武内駿輔
高槻神楽:江口拓也
スタッフ
キャラクターデザイン:冨士原良