【ネタバレあり】TVアニメ『マブラヴ オルタネイティヴ』鑑純夏役 楠木ともりさんインタビュー後編｜BETAの秘密が明らかになる第7話、いま、BETAに抱いている感情は？【連載 vol.07】

06年発売のâge(アージュ)が企画・製作したアドベンチャーゲームを原作としたアニメーション『マブラヴ オルタネイティヴ』がフジテレビ「＋Ultra」ほかにて2021年10月6日より放送中。アニメイトタイムズでは、本作の出演声優陣を中心にインタビュー連載を毎週掲載している。

BETA侵略の歴史が明らかになる第7話。冒頭の平和な、心温まるシーンで登場したのが、楠木ともりさんが演じる鑑純夏。白銀武と純夏のアフレコでどんなことを思ったのか。そしてBETAについて、話を聞いた。

※本編のネタバレを一部含む内容となっているためご注意ください。

一緒に収録しているのに……生きている世界が違うからこその難しさ

――第7話では、白銀武が純夏のいる世界に来るのですが、収録は武役の神木孝一さんと一緒にできたそうですね。

楠木ともり(以下、楠木)：タケルちゃんが持っているものって、純夏の中にはまったくないものなんですよね……。それこそ第7話のアバンの武のセリフで「全て人任せで、自分たちで勝ち取ろうとしていない。大切なものを勝ち取る大切さを分かっていない」というのがあるんですが、それがそのまま純夏に当たる部分なんです。ですので私はなるべく神木さんのシリアスな芝居に引っ張られないようにしていました。

というのも、神木さんが私が思っていたよりもシリアスで、追い込まれているような演技をしていたので、私はなるべく明るくしようと意識しながら演技していました。

――武としても、純夏に引っ張られてしまったら戻れなくなってしまうような状況でしたからね。

楠木：そうなんです。一緒に録ってはいるけれど、気持ち的には別で録りたいぐらい、お互いが「引っ張られたくない」という気持ちだったと思います(笑)。

――掛け合っちゃいけないみたいな。

楠木：掛け合うとやはり聞いてしまうので、聞かないように意識するというか。タケルちゃんがシリアスな声で「純夏」って言ってくると「何？　どうしたの？」ってシリアスに返したくなっちゃうんです。でもそこは純夏のノリで、「な～に～？」ってゆるく言わなければいけないところがなかなか難しかったです。

――純夏としては、ずっとその世界にいた武と話しているわけですからね。

楠木：タケルちゃんの家に晩ご飯を作りに行くというところでしたからね。いつも通りの純夏でいることが大事だったし、それが武にとってズシンと来るシーンでなければいけなかったので、なるべく日常の楽しい気持ちでやっていました。

――逆に武の気持ちになると、すごく辛いですけどね。

楠木：恐らく自分でもわからないくらいの気持ちだったと思います。幸せなんだか辛いんだか……。意思を強く持っていないといけないけれど、目の前にはやっと会えた純夏がいて、いろんな気持ちが混ざり合ってわけがわからなくなっているのに、そのたびに純夏が近寄って「どうしたの？」みたいな感じで来るし、近寄らないでくれ！って思いますよ。考えるだけで本当に辛くなります。

――かなり長い期間会えていなかったわけですからね。抱きしめたいくらいの気持ちだったのに……。

楠木：　抱きしめてあげてって私も思っちゃうけど、そうもいかない。本当に強く心を持っているタケルちゃんが描かれていました。

――だから幸せなのに泣けるシーンでもあるという。

楠木：そうなんです！　でもタケルちゃんに感情移入するのは視聴者の皆さんで、私は純夏に寄り添いたいと思っていました。

ゲームだと、走り去っていくタケルちゃんのシーンで純夏は描かれていないんです。でもアニメだと「あ、タケルちゃん……」って寂しそうにしている純夏の表情も描かれていて、純夏にも感情移入できるようになっていたので、そこに愛を感じました。

――誰もがBETAのいる世界はイヤだと思うんですけど、ちゃんと戻る武はすごいです。

楠木：本当にすごいです。　私はあの世界には行きたくないです……。私だったら立ち直れない。

――この武と純夏のシーンのあとは、武と夕呼や霞とのやり取りがメインになるのですが、武役の神木さんには、どんな印象を持ちましたか？

楠木：第4話でご一緒したとき、元気に挨拶をしてくださったんですが、ものすごく腰の低い方なんです。でもハキハキしていて気さくな印象がありました。

私も収録が初めてだったので「どんな雰囲気なんですか？」と聞いたらすぐに答えてくださって、今は自分の演技でいっぱいいっぱいだとおっしゃっていましたが、慣れてきたらムードメーカーになりそうな素敵な方だなぁと思いました。あとは声が(ゲームでの武に)そっくりで「タケルちゃんだ！」って思いました。

――第7話でも一緒にアフレコをされていて。

楠木：たくさん質問を受けたので、先輩ぶって答えてしまったんです(笑)。

――どんなことを聞かれたのですか？

楠木：ほかのオーディションのときにどうしているのかなど主にお仕事の内容でしたが、私は現場だと後輩のことのほうが多かったので、相談を受けることなんてこれまでほとんどなかったんです。しかも私が沙霧役の興津和幸さんに3年前に質問したことと同じようなことを聞かれたので、興津さんに言われたことをそのままお伝えしました(笑)。興津さんには演技面でも精神面でも、本当にいろいろ教えていただいたので、素敵な先輩ですよと紹介もしました(笑)。でも、やっぱり同じようなことで悩むんだなと思いました。

――終わったあとに飲み会などがあれば、先輩に直接聞けるんですけどね……。

楠木：コロナ禍だから神木さんはマイクワークをあまりしたことがないとおっしゃっていましたし、収録後にご飯に行けないので先輩に相談もできず、本当に今の時期は大変だと思います。

ほかの人の演技を聞きながらできないので、聞いて勉強するということができないんですよね。私もそうですが新人にとっては過酷な状況になっているなと思います。

そのときは社霞役の高尾奏音ちゃんと3人で話していて、今回結構キャリアが近い方々と収録できているので、うれしかったです。

――楠木さんは、頼りやすいのかもしれないですね。

楠木：「姉さん」って言われました(笑)。でも、初主演で、これだけのセリフ量がある役は本当に大変だと思うんです。私も初主演作品を思い出しました。私もセリフ量が多いのに、演技経験がほとんどないまま現場に入っていったので、どうにかして緊張をとってあげたいと思いました。

――でも、その現場でもかなり落ち着いていましたけどね。

楠木：いやいやいや、あのときはボロボロでした……。そのときに先輩方から教えていただいたことを私は伝えることしかできないので、それを伝えて、少しでもリラックスしてアフレコしていただけたらと思います。