念願の“インターハイの3日目”がアニメ化! 坂道や真波たちの高ぶった気持ちをそのまま──アニメ『弱虫ペダル』の第5期シリーズに向け、山下大輝さん&代永翼さんにインタビュー
渡辺 航先生原作(秋田書店『週刊少年チャンピオン』連載中)の人気アニメ『弱虫ペダル』の第5期シリーズ「弱虫ペダル LIMIT BREAK」が2022年に10月にNHK総合で放送することが発表されました。
『弱虫ペダル』は、自転車競技初心者の小野田坂道が未知の才能と努力と、先輩たちのサポートにより、1年生でインターハイに初出場、所属する総北高校自転車競技部のメンバーとともに、レースでの勝利を目指す青春スポーツ作品です。
2013年にTVアニメ化し、4期に渡って放送、2015年には劇場用アニメになり、2016年にはTVドラマ、2020年には実写映画になっています。
今回のアニメ第5期シリーズは約4年ぶり。4期で描かれていた坂道にとって2年目のインターハイの最終日3日目のレースが描かれます。
今回は、アフレコ中の第5期について小野田坂道役の山下大輝さんと真波山岳役の代永翼さんにインタビュー! アニメ第4期までを振り返っていただきつつ、5期が決まった時の感想や意気込みなど語っていただきました。
※インタビュー中の場面カットは『弱虫ペダル GLORY LINE』より
レースの続きを早く演じたくて待ち遠しかった5期。喜びの反面、高ぶった気持ちに巻き戻す難しさを実感
――アニメの第5期シリーズが決まった時の感想をお聞かせください。
小野田坂道役 山下大輝さん(以下、山下):4期が終わった後、「もしかしたら続きができるかも?」とドキドキしていましたが、「きっとやってくれるはず」と信じていました。だから決まった時はすごく嬉しかったです。4期がインターハイの3日目が始まるところで終わったため、「早くスタートして!」という気持ちだったので、「遂にやってきたな」と。
4期から4年という月日が流れて、アニメでは時が止まっているけど、演じる僕らにとっては4年分の時間が経過しているので、ちょっとした同窓会的な雰囲気になるんじゃないかなと、みんなに会えることも楽しみでした。
真波山岳役 代永翼さん(以下、山下):嬉しさと同時に「早く!」という気持ちも強かったです。間隔が空いたため、4期の時の気持ちに戻すことの難しさもあって。坂道や真波たちは時間軸が進んでいないけど、僕らの時間軸はどんどん進んでいって。彼らは気持ちが高ぶったままなので、僕らもその気持ちに同調しなくてはいけないし。
5期をやるという話も何となく聞かされていましたが、いつになるのかはしばらくわからないままで。大輝や他の共演者の皆さんと他の現場で会うたびに「もうそろそろやるらしいよ」と話したり。
山下:いろいろな情報が錯そうしていて。
代永:「もしかして『やります詐欺』なの?」と思ったりして(笑)。本当にできるのかなという不安もありましたが、あそこで終わることがないのが『弱虫ペダル』なので。4期をご覧になってくださった皆さんも「早く見せて」と待ち遠しかったと思いますが、僕らも同じ気持ちで。
決着がまだついていないところで4期が終わっていたから、5期が決まった時は「できるんだ!」と本当に嬉しかったです。また真波を演じられる喜びと坂道たちに会えるという嬉しさでいっぱいでした。
――4期ではお互いに戦うことを望みながらも叶わなかったので、特に想いが強かったのでは?
山下:待ちに待っていた約束と戦いが実現するのがこの5期なので、絶対にやってほしいなと思っていました。「やってくれないとあの時のモヤモヤがいつまでも消せないよ」と。
代永:2人の思惑がうまくかみ合っていないというか。
山下:お互いに2年生に進級したことで生まれた新たな悩みとも戦わなくてはいけないし。でもレースで戦うことで心を通わせたり、進化していくのが『弱虫ペダル』の魅力だと思うので、とにかく早くやりたかったです。原作を読んでいてもやりかたったエピソードでもあったので、演じるのが楽しみでしかたありません。でも今はみんなが走っているのを見守っている状態なので(笑)。
代永:今年の8月に、『弱虫ペダル』と東武動物公園さんとのコラボの一環で、大輝とトークショーをやらせていただいて、久しぶりの『弱虫ペダル』のイベントで嬉しかったんですけど、お客さんの「5期の発表はまだ?」という圧がすごくて(笑)。
山下:超感じましたよね!
代永:皆さんがそれほど期待してくださっているんだと改めて実感しました。
山下:でも「ごめん! まだここでは言えないんだ」という申し訳なさもあって。
代永:決まってはいるけど、口にできなくて。だからやっと発表できてよかったです。
総北の青八木に引き継がれた田所イズム。忘れられない真波VS手嶋の終盤の名シーン
――3期と4期では坂道と真波にとって2年目のインターハイの様子を中心に描かれていましたが、印象深かったエピソードやシーンを教えてください。
山下:総北(総北高校)も箱学(箱根学園)も京伏(京都伏見高校)も、学年が上がるとチームのメンバーもガラっと変わるし、関係性にも変化が出てきて。1年目から見てくださっている方にはキャラたちの成長や、それぞれのキャラ同士の絡みから生まれる新たな表情がたくさん見られた気がします。
印象深いシーンはたくさんありますが、うちのチーム(総北)でいえば、手嶋(純太)さんがすごくて。1年前にチームを率いた金城(真護)さんは不動のリーダーで、ブレない強さやあきらめない心を具現化したような存在でしたが、手嶋さんはあきらめない心は持ちつつも弱い人の目線でも見られる、違った形でチームを引っ張っているのが人間らしくて素敵だなと思いました。
導き方は1つではなく、泥臭いけど人間味あふれていて、ついていきたいと思わせてくれるんですよね。手嶋さんならではだと思うし、そんなシーンがたくさんあったし、この5期に向けてのキーになると思うので、手嶋さんの頑張りをもう一度見直していただきたいです。
――総北は1年目に比べて厳しい戦いを強いられていますが、全員が共に支え合い、頑張っている感じがします。
山下:チーム総北は6人で1つなので、レース中に隣や後ろに誰かがいるとより強い力を発揮できるんですよね。困難に直面した時、1人では乗り越えられなくても、2人や3人なら乗り越えられるのが総北です。総北にとって今回のインターハイでは1日目、2日目と大事件ばかりで、よく巻き込まれがちで。1年目同様に(笑)。でもそこを乗り越えていくところがアツいんです!
1日目を乗り越えたからこそ2日目があり、2日目を乗り越えたからこその3日目とどんどんレベルアップして、成長が見えるのが総北の良さだと思うし。もちろん箱学にも同じような面があるけど、なんせ各メンバーが強いので(笑)。それもカラーの違いかなと思うし、それぞれのチームに違うカラーや個性があるからおもしろいですよね。
――箱学は強豪でエリートぞろいの印象がありますが、メンバーは個性的な人が多いですよね。
代永:確かにうちのチームは個性的ですね。新入生の(新開)悠人に加え、葦木場(拓斗)くんやバシくん(銅橋正清)も入ってきて、チームがガラっと変わったけど、うちは戦略家が2人いるので。うちが泉田(塔一郎)さんと黒田(雪成)さんの2人で戦略面を担当するけど、総北は手嶋さん1人で担わなくてはいけないから、申し訳ない気持ちもあって。手嶋さんをよく追い込んだりして(笑)。
3~4期では、総北の青八木(一)さんが体調不良で離脱しそうになった鏑木(一差)くんを救うために戻ったシーンは、1年目のレース途中で坂道が田所(迅)さんを迎えに行ったシーンと重なって、すごく感動しました。テストの時はみんな笑っていたけど、本番になったら青八木さんが鏑木くんを自分の後継者だと認め、それを伝える意味でもいい形でバトンを渡せたのかなと思います。
ちなみにそのシーンで、(青八木役の)松岡(禎丞)くんが「ヒメヒメ(劇中に登場するアイドルの姫野湖鳥の曲「恋のヒメヒメぺったんこ」)」を歌うんですが、待機場所で一生懸命練習してました。わからないところは大輝に「これで合ってる?」と何度も確認して(笑)。
山下:「合ってますよ! 大切なのは気持ちですから!」と(笑)。
代永:青八木さんが田所イズム、伊藤健太郎さんイズムを引き継いでいるところがあって、そこが総北の強みかなと。箱学は言葉では伝えず、行動で示す、ただ背中で「お前もついてこい」と語るのが強さでもありますが、坂道から他のメンバーが影響されて、想いが伝わったり、つながりを受け継いでいくところが総北の良さだと思います。
京伏は御堂筋(翔)が絶対的な存在のワンマンチームで、チームカラーの違いがより鮮明に見えた3~4期だったなと。
あと真波としては、手嶋さんとの戦いも印象深いですね。争って走っていた時に真波がトラブルで減速すると、手嶋さんは真波が来るまで待っていてくれて。「待ってなきゃ勝てたのに!」と。正々堂々と戦おうとするのがまたいいんですよね。
そのシーンは、僕と手嶋役の岸尾(だいすけ)さんと大輝の3人でスタジオに残って、最後に岸尾さんと「いい勝負だったね」と言い合えたのが印象的でした。
山下:わかります! 手嶋さんは普段、冷静で客観的な意見を言える人なのに、いざ当事者になるとそれができなくなって、熱くなっちゃうのっていいですよね。
代永:真波にとっては1年目のインターハイは自分のせいで総合優勝を逃したという悔しさがあったから、2年目にかける想いも強かっただろうし。でも空回りしてチェーンがはずれてしまって、「もうダメかもしれない」と思っていたら手塚さんが待っていて、「ティーブレイクしてたんだよ」と。「こういう見せ方があるんだな」と思いつつ、「渡辺(航)先生、すごいな」と改めて思わせてくれたシーンでした。
(C)渡辺航(週刊少年チャンピオン)/弱虫ペダル05製作委員会