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声優・アーティスト 羽多野渉 音楽活動10周年記念インタビュー【第1回】

役者ならではの音楽に気づいた『おれパラ』――羽多野渉さん音楽活動10周年記念連載企画『Wataru’s Music Cafe』Part,1「NOW&NEW」編

声優アーティストとして活躍中の羽多野 渉さんが2021年12月21日に活動10周年を迎えます。12枚のシングル、フルアルバムとミニアルバム3枚をリリースし、2015年のツアー以降、毎年ライブも行ってきました。

そんな羽多野さんの音楽活動を振り返りつつ、想いを語っていただく連載企画『Wataru’s Music Cafe』を4回に渡ってお届けします。

Part.1の今回は「NOW&NEW」と題して、10周年を振り返った感想や、11月24日にリリースされたばかりのシングル「Breakers」、そして早くも2022年2月にリリースされる新曲「ナニイロ」について語っていただきました。

常に「目の前の曲」と「次の1曲」を目標に続けてきたあっという間の10年

――音楽活動10周年おめでとうございます! 感想をお聞かせください。

羽多野 渉さん(以下、羽多野):「10年経ったらこれをやろう」とか目標を立てることはなくて。「1枚シングルを出させていただいたら次も出させていただけるように頑張ろう」と常に目の前のことだけ見て、続けてきた音楽活動なので、「えっ! もう10年なんだ!?」という驚きのほうが強いです。「この間、5周年企画をやったばかりじゃなかったっけ?」みたいな。だからあっという間の10周年で、僕の歌を聴いてくださったり、ライブに来てくださる皆さんやスタッフさんたちへの感謝しかありません。

また、この10年の間に同じ声優という仕事をしている仲間たちに、CDのサンプルをお渡しすると皆さん、温かい感想をくださって。仲間の間でも、僕が音楽をやっていることの認知が広がった気がします。後輩たちも続々と音楽をやるようになって、お互いに情報交換したり、完成したCDを渡し合ったりすることも多くなりました。

自分自身で見聞きしたことや自分の経験値だけで音楽活動していたら、アウトプットするばかりでどこかで空っぽになっていたかもしれません。でも、10年間で増えた仲間たちが刺激や影響を与えてくれたから常に新鮮な気持ちで臨めていると思うと幸せです。

――デビューシングルから3枚は3部作ということもあり、ある程度見えていたかもしれませんが、4枚目からは未知数だったのでは?

羽多野:そうですね。遥か先まで見据えてスタートしたわけではなかったので、常にいただいた楽曲に挑戦している感覚でした。

――聴き手としても「これが羽多野さんの音楽」と1つの音楽イメージに偏ることなく、常に驚きや新鮮さを感じられるのは、いつも新曲が予想外の方向なんですよね。

羽多野:意図してやっている部分と意図せず、結果的になった部分がありますが、新しいクリエイターさんとご一緒することが多くて。ずっと続けて関わっていただいている方もいらっしゃいますが、新たな出会いも多いし、大切にしたいところでもあって。そのおかげで自分の引き出しにない楽曲やジャンルに挑戦させていただきました。

そしてありがたいのがタイアップの存在で、基本的にタイアップの音楽制作に関しては細かいところまで自分のエゴを通すことはできないので、常に挑戦なんですよね。アニメ作品のために作られた楽曲にどう寄り添えるかで。役者として台本をいただいて、役を演じることとすごく似ていて、たぶん声優の感覚でトライできると思うんです。キャラクターソングとは別の角度の音楽表現に毎回挑戦させていただいて、その積み重ねはありがたいです。

自分にしかできない音楽やステージをやっていこうと思えたきっかけは『おれパラ』

――毎回出される課題を羽多野さんがクリアしてしまうので、「羽多野さんならこれくらいできるはず」と次々に難しい曲が来てしまうのでは?

羽多野:そう思ってもらえたら光栄です(笑)、毎回必死で、レコーディングの時はライブのことを考える余裕もなくて。「ライブでどう歌えばいいんだろう?」とか思いながらも、「今はレコーディングですべてを出し切ろう」と。そしてあとは音のプロを信じるだけで。実際にライブで歌ってみると新たに気づくことがあったり、数年歌っていく中でも新たな発見や変化があるのも続けてきた楽しさの1つなのかなと。

またキャラクターソングのお仕事で知り合った作曲家さんに、「自分名義の楽曲もいつか作っていただけませんか?」とお願いすると「やろうよ! やろうよ!」とOKしてくださって。すごい方たちですし、皆さんお忙しいのに。素晴らしい方々と一緒に作品を作れる喜びを感じる瞬間でもあります。

――声優アーティストとの交流という点ではいろいろなフェスへの出演も大きかったのかなと。

羽多野:ありますね。皆さん、カッコいいんですよね。MCで素の自分でおもしろおかしくしゃべった後に、いざ歌い始めると別の存在になったかのような。2014年に初めて『おれパラ』に出演させていただいた時はまだ自分のツアーもしたことがなくて。自分の楽曲をどう表現したらいいのか見えていなかった時に生バンドさんの演奏で、ホストの小野大輔さん、鈴村健一さん、森久保祥太郎さんが温かく迎えてくださって。本番では緊張感か、不思議な高揚感に包まれていたからか、全然違う声だったそうで、鈴村さんが「Hikari」の歌い出しで爆笑したと言ってました。「さっきまでのリハの声じゃないじゃん! どこからその声持ってきたの?」って(笑)。でも「カッコよかったよ」と言っていただけたことがすごく嬉しくて、役者だからこそ表現できるステージがあるんだなと実感できました。「アーティストとはこうあるべきだ」という固定概念ではなく、自分にしかできない音楽やステージをやっていこうと思えたきっかけになりました。

盟友・寺島拓篤さんの存在

――羽多野さんとラジオ番組のパーソナリティをされている寺島拓篤さんにリリースインタビューをするとよく羽多野さんの話題が出てくるし、逆のケースもあって。仲がいい友であり、共にソロで音楽活動をするもの同士で刺激を与え合うこともあるのでは?

羽多野:2010年に2人でラジオをやらせていただくことになって、最初の打ち合わせで「FMラジオの音楽番組みたいなおしゃれなノリのトーク番組をやってほしい」という要望がありましたが、恐れ多いことなんですけど、若気の至りで2人共、「嫌です」(笑)。「自分たちの好きなことだったらいくらでもしゃべれるんですけど」と話すと、「好きなものは?」と尋ねられて「アニメやマンガやゲームです! それならおじいちゃんになってもしゃべれます!」と。番組に並行して、2人で好きなアニソンをカバーできたら嬉しいなというところから始まったのが『羽多野・寺島 Radio 2D LOVE』です。音楽ユニット名の「M.O.E」の語源の「萌え」も今の子たちにはピンとこないかな(笑)。今年の10年目の節目にはカバー曲だけで単独ライブ(2021年2月7日『M.O.E. 1st Live「up」』)も行うことになりました。

「M.O.E」として活動していく中で、お互いにソロ活動するようになって、CDが完成すると渡し合うんですけど、だいたい僕のCDのサンプルを一番最初にもらっているのは彼で(笑)。最近、彼も自分のアカウントで自由にツイートするようになって、先日、10枚目のシングル「Breakers」を素敵な言葉で感想をツイートしてくれたのが嬉しくて、そのまま宣伝に使わせてもらいたいくらい(笑)。何年経ってもお互いが関わっている作品を見られる仲間というのはありがたいし、親友であり、ライバルなのは変わらないのかなと思います。

(C)ヤマシタトモコ/リブレ・さんかく窓プロジェクト
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