羽多野渉さん音楽活動10周年記念連載企画 『Wataru’s Music Cafe』Part,3「Anime←Artist&Cast」編│タイアップ曲を歌う上での想いや工夫とは?
声優アーティストとして活躍中の羽多野 渉さんが2021年12月21日に活動10周年を迎えます。12枚のシングル、フルアルバムとミニアルバム3枚をリリースし、2015年のツアー以降、毎年ライブも行ってきました。
そんな羽多野さんの音楽活動を振り返りつつ、想いを語っていただく連載企画『Wataru’s Music Cafe』を4回に渡ってお届けしています。
Part.3の今回は「Anime←Artist&Cast」と題して、タイアップ曲をどんな想いで歌われているのかやタイアップ曲を歌う喜び、そして各タイアップ曲の想い出を語っていただきました。
タイアップ曲を歌えるのは役だけでなく、歌でもアニメに関われてご褒美気分
――羽多野さんはタイアップ曲をたくさん歌われていますが、タイアップ曲を担当されるようになったのは、TVアニメ『バトルスピリッツ覇王』のED曲の「My Hero,My No.1」(1stシングル「はじまりの日」カップリング曲)からですね。どのような想いでタイアップ曲に向き合い、歌われているのでしょうか?
羽多野 渉さん(以下、羽多野):タイアップ曲を歌わせていただけることは幸せなことです。演技でも歌でも作品に関わることができるので、ご褒美みたいな気持ちです。演じることで作品に関わる時はキャラクターの視点で解釈していきますが、タイアップ曲を歌う場合は作品全体をふかんで見る必要があって、特定のキャラクターだけを表現するわけではないので、楽曲の資料や向き合い方も多少違うと思います。
――タイアップ曲を歌っている作品にすべて出演されているのもすごいですね。出演していることで作品の世界観をつかみやすいから、歌う時もプラスになることもありつつ、自身のキャラ的に見てしまう難しさもあるのでは?
羽多野:僕は役者的な心情とアーティスト的な心情それぞれで幸せを感じていて。例えば「You Only Live Once」を例に出すと、『ユーリ!!! on ICE』で僕が演じたギオルギー・ポポーヴィッチと「You Only Live Once」はまったく違う場所にあるし、「ナニイロ」でも小雨田の視点で聴いてしまうと全然違うメッセージになってしまうんですよね。それだけ演じるキャラクターと羽多野 渉のアーティスト像は180度違うので、あまり苦戦したことはありません。
主人公を演じながらタイアップ曲を歌う時は?
――主役を演じる時は歌詞とご自身のキャラの気持ちと重なることもありますよね? 例えば『さんかく窓の外側は夜』で演じた冷川理人はダブル主人公のような形で、「Breakers」でも彼の心情らしいものが見えました。
羽多野:『ハマトラ』や『Dance with Devils』でも主人公的な役柄を演じましたが、無理やり、キャラクターに寄せて歌ったりしないし、キャラクターソングではないので、割り切って歌えています。声色自体に大きな違いを感じないこともあるかもしれませんが、熱量の入れどころなどの工夫はさせていただいています。
――『Dance with Devils』ではOP曲のほかに、リンドのキャラクターソングもあり、しかもミュージカルアニメなので、劇中で歌ったりと、かなり難易度が高かったのでは?
羽多野:『Dance with Devils』のキャラクターソングはツッコミどころ満載で、とっても楽しかったし、アニメで脚本を担当されていた金春(智子)さんがミュージカルシーンで流れる曲も作詞してくださって。普通の楽曲ではあまりないような譜割なのも新鮮だったし、いい味になっていたと思います。
リンドくんのミュージカルシーンは玄関先で急に歌い出すのも象徴的なシーンで衝撃的でした。外は危険だから大切な妹は家に閉じ込めておかないといけないとか、妹を愛せるのは俺だけだという歌で、リンドの脳内で映っている妹がほとんど下半身というのもおもしろくて(笑)。その曲も「覚醒のAir」とは置きどころが違ったので、あまり苦労はありませんでした。