“愛”をテーマに掲げたTrySailのツアー「LAWSON presents TrySail Live Tour 2021 "Re Bon Voyage"」東京公演レポート
新曲「Lapis」を幻想的でアーティスティックに歌い上げる
ステージが真っ白になり、衣装のスカート部分が変化するという早替えをしてから、再びアルバム曲へ。ステージ左右にあるジャングルジムのような舞台セットを使って、しっとりとバラード曲「モノラル」を歌っていく。ここは神秘的な演出でもあって、3人の歌声も伸びやかでありながら情感たっぷりで、本当に素晴らしかった。青白い光で照らされた中で歌った「うつろい」は、疾走感の中に静かな熱を感じる。会場にいるからこそ感じる低音の響きを体で感じながら、3人のエモーショナルな歌声と表現に見入ってしまった。ステージに座って歌った新曲「Lapis」は、2022年に発売予定。この曲も光の表現が幻想的でアーティスティックだったが、その世界観に合わせて、3人も落ちサビで重なるように体を寄せ合って心を込めて歌ったり、そこから強く熱唱していったり、彼女たちの表現力の高さがあるからこそ成立する曲だと感じた。
続いて、TrySailの声に合わせ、手と足を使ってのコール&レスポンスを行う。難しいリズムだったが、それに何とか食らいついていく観客に「まだまだいける!」「君らならできる!」「もっともっと!」と声をかけるのが、ジムのトレーナーのようで面白かった。
3人の個性に合わせたカラフルな衣装で再びステージに登場したTrySail。後半戦も一気に突き進む。スタンドマイクでの「誰が為に愛は鳴る」は、四方八方に広がるライティングがロック感満載で、3人も拳を振り上げて観客を煽りまくっていた。さらに「Free Turn」も、サウンドに負けない力強いボーカルがエモすぎる!
3人のロックマインドを存分に見せつけたあとには久々のMC。「照明用のスモークなのか、皆さんの熱気からの水蒸気なのかわからない!」と夏川も言っていたが、熱気で会場が温かくなっていたのは明らかだった。また、今回のツアーのテーマが“愛”だとも語っていて、ファンやメンバー、スタッフさんからの愛を感じながらライブを成功させよう、そして「ここを日本一幸せな空間にしよう!」と伝える。
ファンと幸せを分かち合うを後半戦
楽しくて和むMCを終わると再びノンストップのライブがスタートする。ロックから一転、かわいらしくポップでキャッチーな「この幸せが夢じゃないなら」「未来キュレーション」と続けると、「まだまだ盛り上がっていくぞー!」と、クラップと共に歌った「CODING」、そこからシームレスに「マイハートリバイバル」へと繋げていく。この曲はAメロのラップ部分が最高に盛り上がるし、Bメロでニュアンスをたっぷり入れて歌いサビで爆発、間奏でのベース&ギターソロもゴリゴリという、ライブでこそ本当のパワーを発揮するタイプの曲だと確信した。
「最後の曲、みんなで遊ぶよ!!」と叫んで歌ったのは「Good Luck Darling」。今回のライブはすべてが盛り盛りだったが、この曲もステージが本当にカラフルに輝いていたし、TrySailもステージ狭しと動き、その歌声を会場の隅々にまで届けてステージを去っていく。
大きな拍手に応えてのアンコールでは、夕焼け色に染まった会場で「ひだまりの場所」を歌い、ファンと幸せを分かち合う。ファンへの想いを歌った歌詞がグッときたが、この曲を歌っている3人の幸せそうな表情もまた良かった。続く人気のライブ曲「Baby My Step」は、遊び心たっぷりに歌っていて、雨宮のセクシーな歌唱に夏川が笑って歌えなくなるというライブならではシーンもあった。「ナンちゃん、めっちゃ笑ってくれるから好き」「笑わせないでよ!」というやり取りも微笑ましい。そしてライブのラスト。「あっという間で名残惜しいんですけど、皆さん本当に楽しかったです。こんなに広い会場ですけど、近くで皆さんの笑顔が見られて本当に幸せです。また元気な姿でTrySailに会いに来てください!」と麻倉ももが叫び、アルバムでも最後を飾った「君となら」を心を込めて歌い、ライブを終えた。
コロナでライブをする意義や意味を見つめ直すような期間もあったが、ライブは多くの人が幸せを共有できる素晴らしいものなのだと再確認できた。これぞエンターテイメントだ!というのを感じさせてくれたエモ過ぎるライブ。魂で歌い続けた3人に心揺さぶられ、幸せを感じながら心の底から楽しむことができた、最高の夜だった。
[文・塚越淳一 / カメラマン・江藤 はんな (SHERPA+)]
Re Bon Voyage
完全生産限定盤:8,800円(税込)
初回生産限定盤:4,950円(税込)
通常盤:3,300円(税込)