芥川龍之介と中島敦、“if”でしかなりえない2人の姿とは?|映画『文豪ストレイドッグス BEAST』橋本祥平さん&鳥越裕貴さんインタビュー
文豪の名をいだくキャラクターたちが、架空の都市・ヨコハマで繰り広げる異能アクションバトルを描いた人気コミック『文豪ストレイドッグス』(原作:朝霧カフカ・作画:春河35)。
そのシリーズ初の実写映画化作品映画『文豪ストレイドッグス BEAST』が、2022年1月7日(金曜)に公開となりました。
「中島敦と、その宿敵である芥川龍之介。もし、2人の所属する組織が逆だったら……?」という“if”ストーリーが展開される本作。
今回、アニメイトタイムズでは、芥川龍之介役の橋本祥平さんと中島敦役の鳥越裕貴さんにインタビューを実施しました。
撮影初日、橋本さんの距離感に異変が……
ーーまだ映像になっていない“if”ストーリーが実写映画化されるということで、最初にお話を聞いたときの感想をお聞かせください。
芥川龍之介役・橋本祥平さん(以下、橋本):映画化が決まったとき、正直、舞台は舞台、映画は映画とキャストを一新するのかなと思っていました。でも、製作陣の皆さんが舞台のメンバーでと決めてくださって、すごく愛を感じましたし「文豪ストレイドッグス」の新たなる可能性を僕たちが引き出せたら良いなと。やっぱり嬉しい気持ちが1番でした。
中島敦役・鳥越裕貴さん(以下、鳥越):ここまで積み上げてきたものがありますし、役に対してもかなり踏み込んで演じてきたので、やるならぜひ僕たちで!と思っていました。僕たちが演じれば熱く愛のある深い作品にできると感じていたので、お話を聞いたときは「よっしゃ!」とガッツポーズでした。
ーープレッシャーはありましたか?
鳥越:一瞬だけありました。「え?これ映像化もされていない……僕らが初なんだ」と。でも、そこからは楽しみで仕方がなかったです。
橋本:プレッシャーというよりも、チームとしてずっとやってきたメンバーだったので安心感が大きかったです。
鳥越:その割には、撮影初日の……
橋本:その話はいいじゃないですか(笑)。
ーー何かあったのですか?
鳥越:撮影初日、何かいつもの橋本祥平じゃなくて、初めて参加する役者さんが来たのかな?くらいの距離感だったんです。「映画だからちょっと僕は違うんで」みたいな空気感が……。
橋本:(照れたように)プレッシャーは感じていました! とても!
一同:(笑)。
橋本:その理由を説明すると、この映画を別物としてチャレンジしたほうがいいのか、すごく迷っていたんです。でも、鳥越さんが現場に来られてからそういう迷いもなくなって、いつもの感じで心が軽くなりました。
鳥越:僕、見えましたもん。祥平から“緊張感”という異能力が(笑)。
橋本:(笑)。
鳥越:なかなか見られない姿だったので、すごく面白かったです。
ーーそんな初日を迎えつつ、現場の雰囲気はいかがでしたか?
橋本:舞台の時と変わらず和気藹々としていました。
鳥越:坂本監督をはじめとした現場スタッフの雰囲気がとても良くてやりやすかったです。だいたいどこの現場でも怒号の1発2発飛ぶことは珍しくないのですが、この坂本組ではそういうことはありませんでした。
坂本監督だけでなく、カメラマンさんはじめ、スタッフ全員が優しくて、愛のある現場だなと。だからこそ、僕らも伸び伸びやらせてもらえたと思います。そこでピリついていたら、キャスト陣もすごく緊張していたんじゃないかな。
橋本:間違いないですね。でも、本当に撮影スケジュールもスムーズでした。
鳥越:うんうん。初日だけちょっと押しちゃいましたが、それ以降はまったく押したことがなくて、何ならすごく巻くぐらいの順調ぶりでした。
映像技術を駆使した撮影にパンク状態!?
ーー今回の映画では、2人が所属する組織が逆という“if”ストーリーが描かれています。今までの役づくりと違いはありましたか?
橋本:基本は変わりませんでした。芥川として人物自体は変わらず、今まで作り上げてきた芥川でただ今回はいる環境が変わるだけです。そこから周りの人とどう絡むかでだんだん変わってくるので、作っていくというよりも現場で他のキャストさんたちから受けたものを返していくという感じでした。
鳥越:みんなそうですけど、舞台でこれまで積み重ねてきたものがあるので、「中島敦」という役を既にかなり掴めていたのかなと思います。
なので、“もし敦が○○だったらこうするかな”といった事を考えなが自然に演じる事が出来ました。もちろん難しかったところもありますが、特に役づくりで悩んだり詰まったりすることはありませんでしたね。
ーーこれまで積み重ねてきたものがあるからこそかもしれませんね。ちなみに、見どころがたくさんあると思いますが、特にご自身が印象に残っているシーンはありましたか?
橋本:今までいた環境とまったく違うので、全部のシーンが新鮮でした。毎日撮影がとても楽しかったです。
鳥越:みんな『文スト』愛があり、芝居愛もあるので、『文スト』という力を借りたこの世界観で、いつもの舞台とは異なる映像でのお芝居を楽しんでいるという感じがしました。
純粋かつ新鮮に楽しんでいるからこそ、どれも良いシーンなんです。それが作品にも繋がっていると思うので、完成した映像を皆さんも楽しんでもらえると思います。
ーーアクションシーンも見どころの1つですが、体づくりのほうで意識されたことは?
鳥越:撮影に入る前に、自分でできる限り体づくりをしました。いつも演じている舞台は激しく動くので筋肉がないと受け身が本当にしんどいんです。中島敦は孤児なのでそんなに筋肉はないとわかってはいますが、舞台だからある程度筋肉をつけないとどうしても動けない。でも、映画はそういう部分が必要なかったので、できるだけ筋肉を削ぎ落としました。
もしかしたら、体型でいえば、これまでの中で1番中島敦に近いかもしれません。
ーーおぉ!
橋本:中島敦と芥川龍之介のアクションシーンが多かったのですが、これまで何回もアクションを演じてきたということもあってすんなりと呼吸を合わせることができました。でも、やっぱり舞台と映像の違いを感じるところもあって……。
ーー具体的にどのようなところに違いを感じたのでしょうか?
橋本:例えば、パンチを当てるシーンでも映像だとわずか何cmの差で全然相手に当たっていないように見えてしまったり、舞台でやっている大ぶりなアクションでは通用しなかったり。映像ならではの難しさを感じつつ勉強しながらやらせてもらっていました。
ーーなるほど。ちなみに、アクションといえば、映像技術「VFX(視覚効果)」も活用した撮影だったそうですね。
鳥越:目に見えないものと戦っていたので、現場では1人アクションをしていました(笑)。
橋本:イメージとしてここに夜叉白雪がいて目線はここにあって、攻撃を避けて……というのを最初に教えてもらって本番に挑みました。僕は必死だったんですけど、鳥越くんから「何やってんだこいつ」みたいな目で見られて(笑)。
鳥越:僕も役者として理解しながらアクションシーンを演じてきましたが、ふと素の鳥越が出てきてしまうんです。「何やってるんだろう?この人?」と(笑)。
橋本:しかも、そのシーンがクランクインして最初のシーンで(笑)。
鳥越:だから、尚更大変そうだなぁと(笑)。
ーークランクインからハードなシーンだったのですね!
橋本:いきなり戦闘シーンでした。
鳥越:あのときの祥平の焦り顔はよく覚えています。
橋本:あはははは(笑)。アクションをその場で教えてもらってすぐリハから本番という流れだったのですが、次から次へと新しいことを教えてもらって頭の中に詰め込んでいったので、ものすごい現場だなと。ほぼパンク状態でした。
鳥越:逆に、僕はその様子を最初に見る事が出来たから気合いが入りましたね(笑)。
橋本:僕は、初日が怖かったですね。これからどうなるんだろうって(笑)。