この作品を見て考えてほしい。自分は未来に向かってどう感じてどう向き合おうとしているのかーーオリジナルアニメ『地球外少年少女』藤原夏海さん インタビュー
原作・脚本・監督:磯光雄、キャラクターデザイン:吉田健一、メインアニメーター:井上俊之によるオリジナルアニメ『地球外少年少女』が、前編大ヒット上映中、2月11日後編 各2週限定劇場上映/劇場公開限定版Blu-ray&DVD 2月11日発売/Netflixにて全世界配信中。
日本の宇宙ステーション「あんしん」で、地球移住のためステーションでリハビリをしていた月生まれの少年・登矢(CV.藤原夏海)と幼馴染・心葉(CV.和氣あず未)は、宇宙旅行で地球からやってきた子どもたちと出会うが、ステーションと彗星との衝突事故に巻き込まれてしまう。大人たちとはぐれてしまった子どもたちは、ときに反発し、時に助け合いながら困難に立ち向かう!
ムーンチャイルドの生き残りで、14歳の厨二病ハッカー! 相模登矢を演じる藤原夏海さんにインタビュー!
1話の注目シーンは登矢のスピーチ!? そこでのディレクションとは?
ーーオフィシャルサイトのコメントによると、磯監督の代表作『電脳コイル』を見ていたそうですね。
相模登矢役・藤原夏海さん(以下、藤原):はい。幼いながらに“電脳メガネ”欲しいなぁや、サッチー(違法電脳体を駆除するオートマトン)怖いな~って思っていました。
近未来な内容でしたけど、私もまだ幼かったので、当時はそこまでしっかり理解していなくて、ハイテクだなぁくらいに思いつつ、でもだんだん不穏な世界観になっていくのを、ただただ怖い!と思いながら見ていました。
ーーそこで磯監督のことを知ったんですね。
藤原:そうなんです。
ーーオーディションで相模登矢を見たときの印象はどんなものでしたか?
藤原:オーディションのときにいただいた資料で、登矢の立ち絵や表情を見たときは全然明るくなくて(笑)。1枚くらいは笑っている表情があったんですけど、ほとんどが難しい表情をしていたので、この子は何で明るい表情をしていないんだろうと興味を持ちました。
舞台が宇宙ということで、登矢が宇宙とどう関わっていくんだろう。月生まれということも含めて、どんどん興味が湧いてきたというのが第一印象でした。
ーー宇宙には、もともと興味があったのですか?
藤原:ありました! すごくガッツリ熱意があるかと言われたら違うかもしれないので、嗜む程度なんですけど(笑)、宇宙や星が好きなんです。いろんな星があって面白いんですよ! ガラスがブワーっと吹いている星だったり、アルコールを撒き散らす星があったり。そんなの存在するの?っていう感じで、宇宙に触れることも多かったので、宇宙への興味はあるんです。
ーーアニメでの宇宙モノとかではなく、本当の宇宙に興味があったんですね。
藤原:そうですね。アニメ作品としては、あまり触れる機会がなかったかもしれないです。それよりは星のことを解説する本とか雑誌をよく見ていた感じです。
ーーそうなるとキャラクターで宇宙に行くのは初めてくらいなんですね。そういう意味ではロボットが宇宙でバトルするような作品よりも馴染みやすかったかもしれない。
藤原:確かに! 結構すんなり入れました。和氣さんが、宇宙で戦うのではなく、登場人物たちが自分たちの目的のために協力しながら、道を切り開いていく作品だと話されているのを聞いて「なるほど! 確かに宇宙で戦う作品もあるんだよなぁ」って改めて思ったくらいだったので(笑)。
ーーTVアニメだと『プラネテス』とか『宇宙兄弟』みたいな作品もありますが、宇宙=ロボット・戦艦みたいなイメージはありますからね。では、登矢を演じるにあたり、大事にしたことはどんなことでしょうか。
藤原:収録を進めていく段階で、登矢は地球人に対して攻撃的で、口が悪かったり、わりとネガティブなセリフが多いんです。しかも登矢は頭にインプラントを埋め込まれているので、命の危険と隣り合わせになっているんですね。(同じくインプラントを埋め込まれている幼馴染の)心葉も、今すぐにでもいなくなってしまうかもしれないという危機感がある。
月生まれは登矢と心葉しかいないという孤独感や寂しさを抱えているし、弱い部分もある子なので「いやな子にはしたくないです」と言うディレクションはありました。私も確かにそうだよなと思い、改めて登矢の抱えている問題を再確認しながら演じていった部分はあります。
ーー口は悪いけど、その裏にはいろいろな感情があるというか。
藤原:話が進んでいくと、地球人に対してイヤな思いは持っていたけど、その地球人を責任感を持って守らなければいけないような立場になっていくので、みんなを引き連れていく!という変化も見られるんです。なので、そこもお芝居で変化をつけられるように、とは思っていました。
ーー最初は地球に隕石が落ちればいいのにって言っていたのに。
藤原:そうなんですよ(笑)。本当にすごいことを言っていたので、きっとそれをそのセリフのまま言ってしまったんでしょうね。私も、地球人にイヤなことを言われている登矢は、めちゃめちゃイヤだろうなと感じていたので。
ーー1話で登矢が、自分が地球人からどう思われているのかをおじさんに言うシーンもありましたからね。たぶんフォロワーが1億人もいると、誹謗中傷もあるでしょうから。
藤原:登矢はそれを乗り越えるけど、私は乗り越えられないかもしれないなぁと思って、ちょっと藤原の感情が出ちゃったのかもしれないです(笑)。
ーーそこを監督から指摘されたんですね。隕石落ちればとかは、思春期独特の厨二病的な発言とも取れますからね。
藤原:そうですね(笑)。
ーーなので、1話の登矢の歓迎スピーチが秀逸でした(笑)。すごくやる気のないスピーチで。
藤原:あはははは(笑)。あそこはやっぱり気になっちゃいますよね。あのシーンは何度もやり直しさせていただいた結果、出来上がったシーンなんです。
最初は私も、宇宙に来てくれた地球人のみんなに言葉を伝える意識が強かったんです。ディレクションでは「口を開けないでいいよ。何をしゃべっているかわからない程度で大丈夫」と言われたんですけど、それでもなかなか磯監督が求める感じになるまで時間がかかってしまって……。だから何度もテイクを重ね、時間をかけた結果のスピーチなので、初めて作品を見る方々がイヤな気持ちにならないかなっていう心配は少しありました(笑)。
ーーすごく良かったと思います。あれこそまさに厨二病。
藤原:お年頃な感じが出ていますよね(笑)。でも、あそこは結構注目してほしいところだったので、良かったです。