映画『ゴーストバスターズ/アフターライフ』日本語吹替版声優・梶裕貴さんが夢を語る|『ゴーストバスターズ』も、吹替作品も受け継がれていく
映画『ゴーストバスターズ/アフターライフ』が2022年2月4日(金)より、全国の映画館にて公開中です!
『ゴーストバスターズ』は1984年に公開され、その年の全米年間興行収入No.1、日本でも年間配給収入No.1(1985年)に輝く歴史的大ヒットを記録。さらに、1989年には続編となる『ゴーストバスターズ2』が公開され、80年代カルチャーを牽引する伝説のSFアクションシリーズとなりました。その続編となるのが本作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』です。
本作では、過去2作品の監督を務めたアイヴァン・ライトマンから、息子であるジェイソン・ライトマンがメガホンを受け継いだことも話題となっています。
【ストーリー】
30年間にわたり原因不明の地震が頻発する田舎町。そこへ母キャリー(キャリー・クーン)と兄トレヴァー(フィン・ウルフハード)の3人で引っ越してきた少女フィービー(マッケナ・グレイス)は、祖父が遺した古びた屋敷で暮らし始め、見たこともないハイテク装備の数々と、<ECTO-1>と書かれた改造車を発見する。
科学者だった祖父イゴン・スペングラー(ハロルド・ライミス)は、かつて≪ゴーストバスターズ≫の一員で、30年前にニューヨークを襲ったゴーストたちをこの町に封印していた。地震の原因がゴーストの仕業だと突き止めたフィービー。「なぜこんな場所に封印を? おじいちゃんが死んだ時、いったい何が…?」 祖父がこの町に隠した秘密に迫ろうとしたその時、ゴーストたちの復讐劇が始まる―‐。
本稿では、映画公開を記念して『ゴーストバスターズ/アフターライフ』の日本語吹替版で、トレヴァー役を演じている梶裕貴さんにインタビュー。子どもの頃の思い出から、吹替作品の魅力まで、たっぷりとお話をうかがいました。
※シーンなど、一部ネタバレと感じる部分もありますので、作品をご覧になっていない方はご注意ください。
梶裕貴さんの夢が叶った瞬間
――映画『ゴーストバスターズ』について、印象をお聞かせください。
トレヴァー役/梶裕貴さん(以下、梶):僕はもともと『ゴーストバスターズ』の大ファンで、子どもの頃はテレビにかじりつきながら放送を見ていました。世界観や楽曲、そのどれをとっても傑作ですよね。
父親が映画好きで、よく一緒にテレビで見ていたので、その当時の思い出がよみがえってきます。ノーゴーストのマークやつなぎ、ガジェットあたりがやはり印象的ですね。マシュマロマンがかわいくもあり、少し怖くもあり、登場するとドキドキワクワクしていたことを思い出します。それから、本シリーズはテーマ曲も耳なじみがありますよね。今でも無意識によく口ずさんでいます(笑)。笑いと感動がバランスよく詰まっている王道っぷりが、この作品の魅力ですかね。
僕にとって本シリーズは「洋画って面白い!」と感じたうちの一作です。なので、こうして続編が作られること自体にとてもワクワクしていましたし…まさか自分が参加させていただけるとは夢にも思っていなかったので、本当にうれしかったです!
――参加することにプレッシャーはありましたか。
梶:今回に関しては、プレッシャーというよりも、純粋に喜びの方が大きかったですね。もちろん、やらせていただく以上、より良いものにしたいという思いはありましたし、30年以上の時を経て、オリジナル版とストーリーがつながるわけで、その世界に恥じないようなお芝居をしなくてはという気持ちもありました。でもそれ以上に、こんなありがたい機会はまずないので、本当に本当に光栄だなと感じました。自分の未来に、まさかゴーストバスターズの孫になる世界線が存在したとは!(笑)子どもの頃に見ていた作品に自分が声優として参加する…まさに夢のようです。
――本作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』について、ファン目線から見た作品の印象をお聞かせください。
梶:いたるところにオリジナル版へのオマージュが散りばめられていて、もう最高でした! シリーズをこれでもかと言うくらいに愛して、大切に作られているのが感じられて、それがファンの一人としてうれしかったですね。それから忘れてはいけないのが、今作を撮ったジェイソン・ライトマン監督は、オリジナル版の監督であるアイヴァン・ライトマンさんの息子さんだということ。主人公フィービーやその兄トレヴァーが、初代ゴーストバスターズ・イゴン博士の孫であるのと同じように、この二人にも血で結ばれた絆があるというところにグッときますよね!今作だけを観ても十分満足していただけると思いますが、絶対に予習・復習してから映画館に行かれることをオススメしますね。その方が間違いなく楽しめると思います!
トレヴァーという少年はかっこがつかないキャラクター
――ご自身が演じられたトレヴァーは、どんなキャラクターだと思いますか。
梶:思春期らしく、ちょっと斜に構えていて、けれどウブなところもある少年。大人びたいけれど、どこかカッコがつかないというか、抜けている印象のあるキャラクターでしたね。それからトレヴァーは、あまり人付き合いが得意ではない少年なんです。けれど、そんな彼がラッキー(声・日笠陽子)との出会いを通して変化していく。それまで抑え込んでいたような感情を少しずつ吐き出していくんです。なので、僕が意図的に芝居を調整するというよりも、物語の展開に合わせて、素直に彼の気持ちをなぞっていくような形でしたね。大人びたい年頃だけれど、まだまだ自分の狭い範囲でしか物事を捉えられていない、等身大なティーンの雰囲気が出せればいいなと思いながら演じていました。
――トレヴァーが自分自身を開いていくようになるのは、どんな理由からだと思いますか。
梶:やはりラッキーとの関係性というのは大きかったと思いますね。それと、ECTO-1との出会い。よく知らないが故に、それまで疎ましくさえ感じていたイゴン・スペングラーという存在を、シンプルに「すごい人だったんだ」と思えたことが、彼にとってすごく勇気をもらえた出来事だったんじゃないかと感じています。もちろん彼だけでなく、フィービーも…もっと言えばお母さんもそう。考え方や視野が広くなった瞬間でもあったのかなと。
――トレヴァー役のフィン・ウルフハードさんのお芝居(魅力)をどのように感じられましたか。
梶:トレヴァー役を演じられているフィン・ウルフハードさんは、見て分かる通り、端正なお顔立ちと抜群のスタイルの持ち主。モデル業もされているようなマルチな俳優さんです。でも、やはりお芝居が素敵で。都会育ちで品の良い印象を与えつつも、思春期の少年らしい繊細さと不器用さを見事に表現されているなと。かっこいいのにかっこよくない、かっこつけたいのにかっこがつかない、その、程よくダサい感じが素晴らしいんです!(笑)最高でした。
――アフレコ収録ではどんなところに気を付けて収録されましたか。
梶:収録前に音響監督さんに言われたのは「“声優が演じる足し算の部分と、主役を演じる女優さんのナチュラルなお芝居との、ちょうど間を狙って調整できるとありがたい”ということでした。実に難しい注文ですよね…(笑)。しかも、収録順で言うと僕が一番最初。その絶妙なさじ加減を探りながらのアフレコでした。とはいえ本作は、あの「ゴーストバスターズ」の続編。自分が子どもの頃に触れた、あの憧れの“洋画吹き替えの世界観”も念頭に置きつつイメージを固めていきましたね。現代人らしい、どこか崩したような喋り方とミックスさせた雰囲気を目指して、お芝居していきました。