完全新作OADはキャラクターたちの関係性に変化が? 『のんのんびより りめんばー』発売記念 村川梨衣さん&阿澄佳奈さん 対談
蛍と小鞠は、OADでも相変わらずです(笑)
――そして、今回のOADでは最終話後の学年の上がった姿が見られます。変わった部分もあれば変わらない部分もあるかと思いますが、その姿を見た感想や見どころをお聞かせください。
阿澄:やっぱり、れんげに後輩ができる、というのは関係性として目新しいところだよね。
村川:確かに。『のんすとっぷ』でも、れんげはしおりちゃんに対してお姉ちゃんポジションを取っていましたが、学校という新しい環境の中で2人の関係性がどのように変わっていくのか。そこはひとつのポイントだと思います。
――蛍と小鞠に関してはいかがですか?
阿澄:我々は……相変わらずですね(笑)。
村川:そうですね。いつもと変わらずのポジションを担っています。小鞠は一番年上ですし、いつもお姉ちゃんなんですけど、蛍もちゃっかり一緒になって“お姉さん組”かのようにしていて(笑)。
阿澄:完全にこっち側だったね(笑)。そんなはずないんだけど。
村川:面白いポイントでしたね。
阿澄:「あ、そうやって(蛍と小鞠で)固まるんだ」みたいなのが、テレビシリーズの頃よりも安定してきたんだなって。
――お兄ちゃん(越谷卓)が卒業したから、旭丘分校では小鞠が一番上になるんですよね。
阿澄:中学3年生になったので、最上級生です。よりお姉ちゃんしなきゃ! という気持ちが小鞠の中にあるんでしょうね。
――先行カットで気づいた人もいると思いますが、『劇場版 のんのんびより ばけーしょん』に登場したあおいちゃん(新里あおい)が出てくるみたいで。
阿澄:またいつかアニメであおいちゃんを見たいと思っていたので、嬉しかったです。でも、なんか夏海がエモい感じになってずるい(笑)。
村川:そうなんですよ。あおいちゃんが出てきた! という感動とともに、エモさを爆発させているなって(笑)。
阿澄:2人の会話がいいんだよね。
村川:本当によかったです。
――たまにはエモさもないと、おバカな印象だけが強くなってしまいますし……。
阿澄:夏海はOADや映画では美味しいところ持っていきがちなんですよね。
村川:ラジオでも話したことがあるんですけど、夏海は我々の中では“『ドラえもん』での映画版ジャイアン”っていうポジションになっていますから(笑)。
阿澄:ポジションとしてはそうだよね(笑)。
村川:ここまで映画版ジャイアンになれるキャラクターはなかなかいないですよね。
阿澄:しかも女の子でね。こういう女の子たちのほんわか日常系の作品でジャイアンって普通いないのに、いつの間にか夏海はジャイアンになっていたんだなと(笑)。
――今回のOADに限らず、『のんのんびより』全体を通しての蛍と小鞠の印象は最初の頃と変わりましたか?
村川:印象がガラッと変わったことはないですけど、直近の『のんすとっぷ』でいえば、やっぱりカレーを作る回(第9話)はこまちゃん(小鞠)の成長が描かれていましたよね。
阿澄:明確に小鞠の成長を描くことってあまりなかったからね。小鞠的には「自分はお姉さんでいるつもりでも、お姉さんできていない」というのが、ひとつのスタンスとして貫かれてきましたけど、『のんすとっぷ』で一歩進んだ姿が描かれたなと感じました。
村川:お母さんも(美味しいカレーを作りたいから手伝ってと)声をかけられた時に、ハッとしていましたよね。
阿澄:いい親子関係だなって。
村川:素敵です。
――ちなみに、前回のインタビューでは、阿澄さんは蛍の印象について「不憫な子なのかなと思います」と答えていました。
村川:不憫に思われていたんですか?(笑)
阿澄:うん。不憫に思っていたみたい(笑)。
――内面は子供なんだけど大人っぽく見られてしまうのが不憫だと。
阿澄:それに関しては確かにそうですね。でも、見返してみるとわかりますが、最初の頃はしっかり(蛍とほかのメインキャラクターとで)距離があるんです。そこから4人の関係性がちょっとずつ近づいてきて、蛍の中でも安心してこの仲間たちに溶け込めている、というのが特に最後の方は感じられましたね。
村川:それこそ『のんすとっぷ』であかねちゃん(篠田あかね)が輪に加わったときに、あかねちゃんが人見知りなのを抜きにしても、蛍はちゃんと輪の中に入った上であかねちゃんを迎え入れていて。その状況が素敵だなと思いました。4人の築いてきた関係値が、あかねちゃんが来てくれたことによって見ることが出来ました。皆さんにも関係性を感じ取ってもらえたんじゃないかなと思います。
小鞠が卒業してしまったら、2人はどうなるのか気になります
――蛍と小鞠のやり取りが好きな人も多いと思いますが、演じているおふたりは、この2人の関係はどう感じていますか?
阿澄:蛍からの好意がちょっと特殊だもんね(笑)。
村川:アーティスティックですからね。
阿澄:小学5年生が中学2年生のお姉さんに、すごくかわいいっていう気持ちを抱いているだけだよね?
村川:サイズ感にですよね。
阿澄:現実ではなかなかない特殊なシチュエーションだけど、それは最初からずっと変わらないもんね。
村川:一貫していますね。しかも、これがいいんですけど、こまちゃんっていい意味でポンコツを極めているじゃないですか(笑)。『のんすとっぷ』でメカこまぐるみが大冒険しちゃってあかねちゃんに謎の生命体がバレそうになったときも、こまちゃんのポンコツ名探偵っぷりたるや。
阿澄:どスルーできる逆の能力がすごいよね(笑)。
村川:あかねちゃんはあかねちゃんでちょっと惜しいんですよね。
阿澄:あえてやっているの? ってぐらいだよね。それで蛍が右往左往していて。
村川:めちゃめちゃ頭をフル回転させて頑張っている、その攻防戦が面白かったですよね。結局はこまちゃんに助けられるっていう。
阿澄:ポンコツ具合にね。
村川:それで事なきを得るところが、やっぱりこまちゃんだなって思いました。
阿澄:でも、事実を知ってしまったとしても、小鞠は(事実を)ちょっとズラして納得しそう(笑)。
――そういった関係は、これからも変わらなそうですかね。
村川:どうなんでしょう。先にこまちゃんが卒業しちゃうんですよね……。
阿澄:そのとき、どうなるんだろう?
村川:どこか遠くに進学となったら、今までのように広い野原で遊ぶこともなくなるかもしれないじゃないですか。こまちゃんってミーハーな部分があるから、オシャレな女の子と友達になって、その子たちに合わせてファッションを頑張りそう。
阿澄:高校デビューしかねない。
村川:そうなったら、(実家に帰って)いつもみたいに遊ぼうと言われても、「私はもうそういうのでは遊ばないからさ」みたいなことを言いそうで。
阿澄:ひかげとちょっと似ているよね(笑)。
村川:確かに、ひかげルート行きそうですよね(笑)。
阿澄:もしそうなったら、蛍は必死で食い止めそう。小鞠に気付かれないように、いかにみんなで遊ぶのが楽しいのか、田舎が素晴らしいかをアピールして。
村川:この村をデザインし始めるかもしれないですね。「この村をオシャレにすれば!」とか思って。
阿澄:もしくは自分が追いつこうとするかな? そうなったら、あっという間に小鞠は追い越されそうだけど(笑)。そりゃあ、蛍が本気を出したらね。
村川:確かに。
阿澄:でも、中3から高校生、小6から中学生への変化のときは、ちょっと気になりますね。妄想が膨らみます。